評価は育成のための手段にすぎない
承認とは、相手が気付かない優れた能力、資質、業績(貢献)、成長、可能性などについて、
その事実を本人に伝え、自覚させることです。
ほめるとの違いは、ありのままを本人に認識させることにあります。
相手を尊重するのであれば、「ほめる」よりも「認める」ことの方が誠実な態度とも言えます。
例えば、ほめるというと、どうしても上の立場の者が下をほめる、
という構図になってしまいます。
しかし、承認は、上下の関係ではなく、横の関係になります。
「君のあいさつはいつも笑顔で、私は気持ちいいよ」というように。
ここでは、相手である部下の挨拶について、
「いつも笑顔である」という事実を伝えています。
そのうえで、「私は気持ちが良い」という自分自身の素直な感情を伝えています。
事実を伝え、ありのままの感情を相手に伝えることで、対等な関係性となっています。
「君のあいさつはいつも笑顔で、立派だ」と言うと、
「立派である」という評価が入ってしまい、これだと上下の関係になってしまいます。
皆さんは、「私は気持ちが良い」と言われるのと、「あなたは立派だ」と言われるのは、
どちらに心動かされるでしょうか。
相手との関係性や場合にもよりますが、
上下の関係になりがちな「ほめる」よりも「認める」ということを
意識してコミュニケーションをとってみると、相手との関係性がもっと良くなる場合があります。
ただし、「承認」と「ほめる」が全く別のものというよりは、
言ってみれば、「承認」の一形態が「ほめる」と考えもらうと分かりやすいかもしれません。
さらに、承認、認める、というのは、スキル(技術)です。
訓練すればだれでも身に付けることができます。
そのポイントは、「観察」です。
承認は、相手が気付かない優れた能力、資質、業績(貢献)、成長、可能性などについて、
その事実を本人に伝え、自覚させることです。
部下との関係では、そもそも部下の言動をよく観察しておかないと、事実をつかむことができません。
観察するためには、部下に興味を持っておくことが必要ですし、無関心であってはなりません。
部下をしっかり「観察」して、つかんだ事実を相手に伝える、
という訓練を繰り返すことで、承認力はアップします。