54【不動産投資】FIRE大家FPの動画6分「サラリーマンのムダとFIRE生活」

コラム212
1億円でFIRE。本当に人生は「上がり」ですか?
最近、FIREに関する記事をよく見かけます。
ただ、少し傾向が変わってきたように感じます。
以前は、
「資産を作って早期退職」
「会社に縛られない自由な生活」
といった、FIREを肯定的に紹介する記事が多かったように思います。
最近は、
「FIREしたけれど暇になった」
「社会とのつながりがなくなった」
「想定外の支出が発生した」
「結局、再び働き始めた」
といった記事をよく見かけます。
そして最後は、
「やっぱり働くことにも意味がある」
という話に着地する。
もちろん、実際にそう感じる人もいるでしょう。
一方で、このような記事が読まれやすい理由も分かる気がします。
FIREした人より、会社員として働いている人の方が圧倒的に多いからです。
「FIREしても大変」
「働くことにも意味がある」
「会社員も悪くない」
そう思える記事には、多くの読者にとって安心感があります。
ただ、それとFIREという選択そのものの良し悪しは、別の話です。
先日読んだ記事も、その一つでした。
■48歳、独身、金融資産1億円でFIRE
記事で紹介されていたのは、48歳の独身男性です。
会社員として働きながら節約と株式投資を続け、金融資産1億円を形成。
独身で子供はなく、
「これだけあれば一生働かなくても大丈夫」
と考えて会社を退職しました。
ところが、その後、80歳を超えた母親が転倒。
高齢の父親だけでは介護が難しくなり、介護サービスなどの費用も必要になります。
さらに父親から、
「自分たちの資産が底をついたら援助してほしい」
という話も出ます。
男性は、自分の生活だけでなく親の生活まで考える必要性を感じ、FIRE生活を見直して再び働き始めた。
大まかには、このような内容でした。
記事では、
「人生には予想外の出来事がある」
「FIRE後も柔軟に人生設計を見直すことが大切」
という趣旨でまとめられていました。
確かにその通りです。
しかし私はこの記事を読みながら、少し違うことを考えました。
■そもそも1億円でFIRE?
まず思ったのが、これです。
48歳で金融資産1億円。
もちろん、立派です。
普通の会社員が1億円の金融資産を作るのは簡単ではありません。
ただ、
「1億円もある」
と考えるのか、
「1億円しかない」
と考えるのか。
私は後者です。
48歳なら、人生はまだ40年以上続く可能性があります。
仮に90歳まで生きるとすれば42年間。
1億円を42年間で単純に割れば、年間約238万円です。
もちろん、実際には資産運用を続けるでしょう。
しかし、その一方で物価も上がります。
医療費や介護費が増える可能性もあります。
住宅、車、家電など、大きな支出もあります。
株価が大きく下落することもあるでしょう。
そう考えると、
「1億円あるから、もう一生働かなくても大丈夫」
と48歳で判断するのは、私は少し早いと思います。
■ストックより、フローを見る
そして私がFIREを考えるときに重視するのは、資産額だけではありません。
ストックとフローです。
1億円というのはストックです。
では、会社員を辞めたあと、毎年いくらのフローが入ってくるのでしょうか。
そして、
そのフローだけで十分な生活ができるのか。
私はここを重視します。
フローだけで生活できるのであれば、基本的にはストックを取り崩す必要がありません。
一方、生活するために毎年ストックを取り崩さなければならないのであれば、1億円という数字は少しずつ減っていきます。
さらに、フローが生活費を上回れば、余ったお金を再投資することもできます。
すると、
FIREした後も資産を増やし続けることができます。
私自身、会社員を辞めて10年になりますが、基本的にはこちらです。
資産から生まれるフローで生活する。
余ったお金は再び投資する。
だから私は、
「いくら貯まったらFIREできるか?」
よりも、
「働かなくても入ってくるフローだけで十分に生活できるか?」
の方を重視します。
FIREとは、貯めた資産を少しずつ食べていく生活である必要はありません。
資産形成を続けながら、会社員を辞めることもできます。
■同じ1億円でも意味は違う
もう一つ、少し言いにくいことを書きます。
この男性は独身で、子供もいません。
もちろん、結婚するかどうか、子供を持つかどうかは個人の自由です。
ただし、資産形成という数字を評価するときには、
これまで誰の生活を支えてきたのか
という視点も必要だと私は考えています。
自分一人の生活費を負担しながら作った1億円。
妻や子供の生活費を負担し、住宅費や教育費を払いながら作った1億円。
数字は同じ1億円です。
しかし、私は同じものだとは思いません。
妻子を養い、子供を育てるには、かなりのお金がかかります。
そして、お金だけではありません。
時間も使います。
責任も負います。
その負担を背負いながら資産を作るのと、自分一人の人生を前提として資産を作るのでは、難易度が違います。
だから、この男性が48歳で1億円を作ったことは立派です。
しかし、
「1億円作った。人生はもう上がりだ」
とまで考えるのであれば、
私は、
「ちょっと待った」
と言いたくなります。
■親の介護は本当に「想定外」なのか?
今回、FIRE生活を見直すきっかけになったのが親の介護でした。
しかし、48歳の本人に80歳を超えた親がいる。
親に介護が必要になる可能性は、果たしてそれほど予想外でしょうか。
むしろ、かなり予測可能な出来事だと思います。
もちろん、
「いつ」
「どの程度」
介護が必要になるのかは分かりません。
しかし、高齢になれば介護の可能性が高くなること自体は分かっています。
そして私は、ここでFIREの別のメリットも感じました。
それは、
時間です。
もしこの男性が会社員を続けていたら、仕事をしながら親の介護をしなければなりません。
場合によっては介護休業や時短勤務。
さらには介護離職という問題まで出てきます。
実際、親の介護をするために会社を辞める人もいます。
ところが、この男性はすでに会社を辞めています。
時間があります。
つまり、
FIREしていたからこそ、親の介護に対応しやすかった
とも言えるのではないでしょうか。
親の介護によってFIREが失敗した。
私は、そんな単純な話ではないと思います。
むしろFIREによって得た時間的自由が役に立った場面とも考えられます。
■借金なら線を引けるのに、介護になると曖昧になる
そして私がこの記事で一番気になったのは、
親と自分の人生の線引き
です。
親子のお金について、借金なら線引きは比較的分かりやすいと思います。
例えば親から、
「借金が500万円ある。代わりに払ってほしい」
と言われたらどうでしょうか。
もちろん事情にもよりますが、
「それは親の借金で、自分の借金ではない」
と考える人は多いでしょう。
ところが、
「介護費用が足りない」
「生活費が足りない」
となった途端、線引きが急に曖昧になります。
同じお金の問題なのに、
「親なんだから何とかしてあげなければ」
という感情が入るからでしょう。
今回の記事でも、父親から、
「自分たちの資産が底をついたら援助してほしい」
と言われています。
もちろん、親です。
助けたいと思うのは自然です。
私も親が困っていれば、できる範囲で助けるでしょう。
しかし、
「助けること」と「最後まで自分が払うこと」は違います。
親には親の年金があります。
資産があります。
介護保険などの公的制度もあります。
それでも最低限の生活を維持できなくなれば、生活保護を含めた公的なセーフティネットもあります。
そのうえで、
子供が自分の余力の範囲で、どこまで援助するのか。
ここを考えるべきだと思います。
むしろ、借金より介護費や生活費の方が難しい面もあります。
借金500万円なら、金額は500万円です。
しかし、毎月10万円の生活援助なら、いつまで続くのか分かりません。
5年なら600万円。
10年なら1,200万円です。
介護が重くなれば、お金だけではありません。
時間も必要になります。
だからこそ、
親だから助けることと、親と家計を一体化することは違う。
私は、ある程度の線引きが必要だと思います。
ここを曖昧にすると、共倒れになりかねません。
■見切ったはずの親から逃げられない
ここからは、記事には書かれていない私の想像です。
この男性は、なぜこれほど節約し、投資を続け、48歳で1億円を作ったのでしょうか。
記事を見る限り、両親は老後資金にそれほど余裕があるようには見えません。
もしかすると、この男性は幼い頃から、
「お金に余裕のない親」
を見て育ったのかもしれません。
そして、
「自分はこうなりたくない」
と思った。
だから節約した。
投資した。
1億円作った。
会社まで辞めた。
経済的には、
親とは違う人生を手に入れた。
本人はそう思っていたのかもしれません。
ところが、80歳を超えた親の介護が始まり、
「資産がなくなったら援助してほしい」
と言われる。
そして再び働き始める。
もしそうだとすれば、少し皮肉です。
親のようにならないために作った1億円が、親を支えるためのお金になっていく。
もちろん、これは私の想像にすぎません。
ただ、少なくともこの男性自身も、
「親の人生と自分の人生は別」
という整理が十分にできていなかったように感じます。
会社からは自由になった。
お金の不安からも自由になったつもりだった。
しかし、親との関係からは自由になれていなかった。
経済的自立とは、単にお金を貯めることだけではないのかもしれません。
■親を見ながら、30年後の自分を見る
ただし、今回の介護経験には大きな意味があります。
この男性は48歳。
独身で子供はいません。
いま80歳を超えた親を見ています。
母親が転倒する。
父親だけでは対応できない。
介護サービスを探す。
お金の心配をする。
誰かが手続きをする。
誰かが判断する。
では、約30年後。
自分が80歳になったとき、誰がそれをしてくれるのでしょうか。
ここは真剣に考えた方がいいと思います。
もちろん、
「老後のために結婚しましょう」
「老後のために子供を作りましょう」
という話ではありません。
子供がいても、介護してくれるとは限りません。
遠くに住んでいるかもしれません。
子供自身にも生活があります。
だからこそ、独身で子供がいないのであれば、
それを前提として老後を設計する必要があります。
お金だけではありません。
判断能力が落ちたときの財産管理。
入院時の対応。
介護施設への入居。
緊急時の連絡。
そして最終的には死後の手続き。
金融資産が1億円あっても、
自分で判断できなくなったときに、誰が動いてくれるのか。
これは金融資産残高には出てこない、大きな問題です。
今回、親の介護を経験したことで、この男性は初めて、
「30年後の自分」
を具体的に見ることができたのかもしれません。
■定年退職も、ある意味FIREです
そして、最近のFIREに関する記事を読んでいて、もう一つ不思議に思うことがあります。
FIREすると、
「社会との接点がなくなる」
「毎日やることがなくなる」
「働くことの大切さに気づく」
といった話がよく出てきます。
しかし、これはFIREした人だけの問題でしょうか。
会社員として定年まで働いた人も、いつか会社を辞めます。
毎月振り込まれていた給与がなくなり、年金やそれまでに蓄えた資産などで生活するようになります。
そして、それまで仕事に使っていた膨大な時間が自由になります。
これも、ある意味ではFIREと同じ状態です。
違うのは、
48歳で来るのか。
65歳で来るのか。
そして、自分で時期を選んだのか、定年という会社の制度によってやってきたのか。
それくらいです。
むしろ若いうちにFIREしたのであれば、まだ体力があります。
新しいことも始めやすい。
働きたくなれば、また働くこともできます。
一方、65歳になって突然、
「明日から毎日自由です」
と言われる方が、戸惑う人は多いのではないでしょうか。
だから、
「FIREすると暇になるから、会社員の方がいい」
という話には、私は少し違和感があります。
会社員を続けていても、
いつか同じ日はやってきます。
■私はFIREしたのか、プロ大家になったのか
私は45歳で会社員を辞めました。
一般的な言葉でいえば、FIREしたことになります。
ただ、自分ではあまり、
「FIREした」
という感覚はありません。
むしろ、
会社員を辞めて、不動産賃貸業を本業とする「プロ大家」になった。
という感覚の方が近いかもしれません。
もっとも、大家業を「仕事」と呼ぶのも少し違います。
私にとって大家業は、
趣味であり、生活の一部です。
物件を見る。
買う。
リノベーションする。
貸す。
家賃を見直す。
必要なら調停もする。
裁判もする(笑)。
そして、また面白そうな物件を探す。
そのほかにも、FPとして講師をしたり、記事を監修したり、コラムを書いたりしています。
そのため、ときどき、
「竹下さん、結局めっちゃ働いてますよね(笑)」
と言われることがあります。
確かに、外から見ればそうなのかもしれません。
でも私自身は、あまりそういう感覚がありません。
仕事と趣味と生活の境目が、かなり曖昧になったからです。
私は45歳で仕事をやめたのではありません。
会社員をやめただけです。
■私には、もう「定年」という概念がない
会社員を辞めてから10年が経ちました。
仮に65歳定年の会社員に置き換えるなら、
私はすでに75歳です(笑)。
ただ、実際には少し違います。
私には、もう、
「定年」という概念がありません。
大家業に定年はありません。
65歳になったから家賃収入がなくなるわけでもありません。
年齢に合わせて活動量は変わっていくでしょうが、おそらく今と同じような生活を続けていくと思います。
私は45歳で、
「資産形成期」から「資産取り崩し期」
に移ったわけでもありません。
資産から生まれるフローで生活し、余剰資金があれば再投資する。
資産形成を続けたまま、会社員だけを辞めたのです。
私にとってFIREとは、
定年を20年早めたことではなく、「定年という概念そのものをなくしたこと」
なのかもしれません。
ある意味、
FIREというより、プロ大家への転職だった。
こちらの方が、私の実感には近いと思います。
■どんな生き方が正しいのか
ここまで書くと、
「やっぱりFIREした方がいい」
と言っているように聞こえるかもしれません。
でも、私はそうは思っていません。
会社員として働き続ける。
組織の中で出世する。
一人ではできない大きなスケールの仕事をする。
多くの人とつながりながら仕事をする。
それも、とてもステキな生き方です。
実際、会社員でなければ経験できないことはたくさんあります。
逆に、私のような生き方が合わない人もいるでしょう。
毎月決まった給料が入ってくる方が安心できる人。
組織の中で仲間と仕事をすることが楽しい人。
責任ある立場になり、大きな仕事を成し遂げることに喜びを感じる人。
それぞれでいいと思います。
大切なのは、
「FIREすること」でも「会社員を続けること」でもありません。
自分は何をしていると楽しいのか。
どんな働き方なら無理なく続けられるのか。
何に時間を使いたいのか。
そして、どんな人生を送りたいのか。
自分に合った生き方を模索すること。
私は、それが一番大切だと思っています。
■FIREは「働かないこと」ではない
FIREというと、
「一生働かなくていい状態」
と思われがちです。
私は少し違うと思っています。
大切なのは、労働時間がゼロになることではありません。
働くことを自分で選べること。
働かなければ生活できないから働く。
嫌な仕事でも給料のために続ける。
それと、
面白いから働く。
人とつながりたいから働く。
自分の経験を生かしたいから働く。
では、同じ「働く」でも意味が違います。
だから、FIREした人が再び働いたからといって、
FIREに失敗したわけではありません。
逆に、会社員として働くことを自分で選び、その仕事を楽しんでいるのであれば、それも十分に自由な生き方だと思います。
働くか。
働かないか。
どれくらい働くか。
何をするか。
誰とするか。
その答えは、人によって違います。
■人生からはFIREできない
1億円を作る。
会社を辞める。
毎日好きなことをする。
それも一つの人生です。
しかし、会社を辞めても人生は続きます。
親は年を取ります。
自分も年を取ります。
病気になるかもしれません。
物価も上がります。
人間関係も変わります。
そして、自分が80歳になったときには、今とはまったく違う問題が待っています。
だから私は、
FIREとは人生のゴールではなく、人生の選択肢を増やすための手段
だと思っています。
そしてこれは、FIREを目指している人だけの話でもありません。
FIREしなくても、いつか定年はやってきます。
そのとき、
「会社を辞めた後、あなたには何がありますか?」
という問いから逃げることはできません。
会社からはFIREできます。
嫌な仕事からもFIREできます。
満員電車からもFIREできます。
しかし、
人生からFIREすることはできません。
そして、それでいいのだと思います。
人生は一回。
FIREするのもいい。
会社員として働き続けるのもいい。
組織の中で大きな仕事をするのもいい。
自分で商売をするのもいい。
どれが正解という話ではありません。
大切なのは、誰かが決めた「普通の人生」をそのまま歩くことではなく、
自分に合った生き方を、自分で模索すること。
そして、できることなら、
「これから何をするかを、自分で決められる人生」
にしたいものです。
52 【不動産投資】FIRE大家FPの動画5分「お金持ちの定義とFIREの基準」
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174 【不動産投資】FIRE後10年の答え合わせ 45歳と55歳 動画6分
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