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影山正伸

労務管理(給与計算含む)と人事・賃金体系整備に精通した社労士

影山正伸(かげやままさのぶ) / 社会保険労務士

影山社会保険労務士事務所

コラム

定額残業代の再点検を(2)~定額残業代(固定残業代)を否定する裁判例が増えています。

2013年12月13日

テーマ:残業問題

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 働き方改革

前回「定額残業代の再点検を(1)」では、定額残業代(固定残業代)を営業手当の名目で
支給していたケースをご紹介しましたが、今回は「組込み方式」で支給していたケースです。

◆テックジャパン事件(最高裁一小 平成24.3.8判決)

「基本給41万円、1ヶ月の総労働時間が180時間を超える場合には1時間あたり一定額が
支払われる」とする雇用契約に基づく取扱いとして、月間180時間以内の労働時間に含まれる
時間外割増賃金は基本給に含まれるとされたことを不服として、派遣社員が派遣会社に
対して通常の計算による時間外手当の支払を求めた事案です。

最高裁は、月額41万円の全体が基本給とされており、その一部が他の部分と区別されて
割増賃金とされてはいない上、1ヶ月の時間外労働の時間は月によって所定労働日数が
異なること等により相当変動しうるものであるから、月額41万円の基本給について、通常の
労働時間の賃金に当たる部分と時間外割増賃金に当たる部分とを判別することはできず、
月額41万円には時間外割増賃金は含まれていないとして、月間180時間以内の労働時間中の
時間外手当についても月額41万円の基本給とは別に割増賃金を支払う義務があると判断しました。

◆再点検のチェックポイント

ここまで細かく支給実態が問われる背景には、定額残業制であることを理由に適正な労働時間管理
が行われず、実際の時間外労働時間が把握されていないために潜在的な未払い残業代があったり、
また労働者に対する制度の周知と説明が不十分であるため労働者自身が制度内容をよく理解して
いなかったりすることが少なくないという問題があります。
この機会に貴社の定額残業制度の内容と運用には問題がないか、あらためて点検されてはいかが
でしょうか。

以下に主なチェックポイントを挙げましたので、点検の際に是非ご活用下さい。

□ 定額残業代を割増賃金として支払う旨が明確に就業規則及び雇用契約書に定められ、その内容
 を従業員に周知していますか?
□ 支給時に支給対象の時間外労働の時間数と残業手当の額が明示されているか、少なくとも予測
 できるようにしていますか?
□ 定額残業代を超えた時間外労働があった場合は、超過分を別途支給していますか?
【手当方式の場合】
□ どの手当でいくらを定額残業代として支払うのか明示していますか?
□ 実質的にその手当が時間外労働の対価としての性格を有していますか?
【組込み方式の場合】
□ 基本給等に法定の割増賃金が含まれているとするために、通常の労働時間の賃金分と割増賃金分
 とが明確に区別されていますか?


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