「名ばかり管理職」のコラムが記事になりました。
「日本海庄や」((株)大庄)で起きた過労死裁判で、長時間労働を放置してきた責任を理由に、会社だけでなく初めて役員にも損害賠償が認められたケースとなりました。
事件の概要
平成19年、新入社員だったAさん(当時24歳)が、入社5カ月目の8月、就寝中に急性心不全を起こして過労死。裁判所は、会社及び役員に7,860万円の支払いを命じました。
Aさんの月給は19万4500円でしたが、基本給12万3200円+役割給7万1300円で、役割給が80時間分の残業代だったとのこと。そもそも月80時間の残業時間は、厚生労働省の過労死認定基準と等しく、それを固定残業代として組み込んでいたのです。更に会社は、「外食産業界においては(略)1カ月100時間とすることは、むしろ一般的」と反論していました。
過度の価格競争も原因か
日本は失われた20年の間に経済のグローバル化や非正規雇用者の増大等により、ものの値段が下がるデフレに陥っていました。そのような中で、消費者も価格の安いものを求め、特に外食産業では、牛丼戦争、100円バーガーなど過度の価格競争を余儀なくされていました。このようなことが今回の事件の根底にあるように思います。過度に値段を下げても利益を得るためには、どこかにしわ寄せをしなければなりません。それが、人件費ということになったのでしょう。
国内でもフェアトレードが必要?
発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す運動をフェアトレードと言いますが、国内においても我々消費者が、過度な低価格を求めてしまうことで、労働者にしわ寄せが行ってしまわぬよう、適正な価格で購入することも大事ではないでしょうか。ただ、今回、役員にも損害賠償判決が出たことで、業界全体にも一石を投じ、適正価格(もちろん努力した上での低価格は大いに結構ですが)へ向けて過酷な労働条件が改善されていくと良いと思います。
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