年商5億円の壁を超えるには?「安定収益×成長収益」で売上を伸ばす経営戦略
目次
多くの中小企業経営者を見てきて感じる、「危ない会社」に現れる共通点
中小企業では、社長自身が最大の経営資源であり、最大の経営リスクにもなる
中小企業は、「社長の弱いところ」を放置したところから崩れやすい
「選択と集中」は、縮小するためではなく、経営資源を強い場所へ動かすためにある
成長する経営者は、「攻撃的」ではなく「変化を恐れず、数字で判断する」
この記事でわかること
・中小企業の経営を危うくする4つの経営者行動
・なぜ小規模な会社ほど「社長の弱み」が経営リスクになるのか
・会社を潰さないために、経営者が自分自身をどう補完すべきか
・自社の経営リスクを確認する自己診断チェックリスト
多くの中小企業経営者を見てきて感じる、「危ない会社」に現れる共通点
私が大学を卒業し、都市銀行へ入行したのは23歳のときでした。
その後、銀行系シンクタンクで経営支援に携わり、自分自身でも事業を立ち上げ、現在まで30年以上にわたり、さまざまな規模・業種の経営者と仕事をしてきました。現在は、URVグローバルグループのオーナーCEOとして自ら企業経営を行う一方、中小企業のオーナー経営者に対する経営コンサルティングを続けています。
その長い経営人生の中では、順調に会社を成長させていった経営者だけでなく、残念ながら事業を縮小したり、撤退したり、経営を継続できなくなった経営者も見てきました。
もちろん、会社が経営危機に陥る原因を、一つだけに決めつけることはできません。経営者自身ではコントロールできない外部環境が、会社へ大きな打撃を与えることもあります。
しかし、経営者が、「外部環境が悪かった」という事実を確認することと、「だから自分には何もできなかった」と考えることは、まったく別だということです。
経営者は、景気を変えることはできません。為替を操作することもできません。競合の参入を止めることもできません。
しかし、固定費を変える、商品を変える、価格を変える、販売先を変える、資金調達を行う、事業から撤退する、新規事業へ進む、人材を採用する、外部人材を活用する、経営計画を変更する、という意思決定はできます。会社の存続を左右するのは、「悪いことが起きたかどうか」だけではありません。悪いことが起きたとき、経営者が何を見て、何を決め、どれだけ早く会社を変えられたかです。
中小企業では、社長自身が最大の経営資源であり、最大の経営リスクにもなる
中小企業、とりわけオーナー社長が強い意思決定権を持つ会社では、経営者本人が会社へ与える影響が非常に大きくなります。重要な意思決定の多くを、社長が担っています。したがって、社長の強みは、そのまま会社の強みになりやすいのが中小企業です。
しかし同時に、社長の弱みを誰も補完していなければ、その弱みも会社の弱みになりやすい。これが、小規模なオーナー企業の大きな特徴です。
会社が大きくなれば、専門人材が、経営者の能力を補完できるようになります。
しかし、その体制を作る前の会社では、どうしても社長一人に経営能力が集中します。
だからこそ、
中小企業経営で重要なのは、「弱みのない完璧な社長になること」ではなく、「自分の弱みを認識し、それを人・組織・専門家・仕組みで補完すること」です。
会社を危うくする経営者の4つの特徴
僕がこれまで多くの中小企業経営者と仕事をしてきた中で、特に注意すべきだと感じている経営行動があります。
以下の4つです。
① 外部要因だけで業績悪化を説明する経営者
第一は、業績悪化の原因を、すべて自分の外側で説明してしまうことです。
例えば、
「景気が悪いから売れない」「人が採れないから成長できない」「原材料が上がったから利益が出ない」「大口顧客に切られたから仕方がない」「社員が働かないから業績が悪い」
こういう説明です。
これらは、実際に事実である場合があります。人手不足も、物価上昇も、取引先の喪失も、現実の経営リスクです。
問題は、そこで思考を止めてしまうことです。
例えば、「人が採れない」のであれば、採用条件を変えられないか、仕事そのものを減らせないか、外注できないか、AIやシステムで代替できないか、給与を上げられるだけの付加価値を作れないかと考えるべきなのです。
「原材料が上がった」のであれば、価格転嫁できないか、商品構成を変えられないか、仕入先を変えられないか、粗利益率の高い商品へ集中できないかと考えるべきです。
経営者の責任とは、自分では変えられない事実と、自分が変えられる経営判断を分け、後者について責任を引き受けることです。
外部環境の説明だけで終わる経営者は、改善行動へ進めません。
一方、「この状況の中で、自分たちに何ができるか?」と問い続ける経営者には、次の一手が生まれます。
② 「現状維持」を安全だと思っている経営者
第二は、「何もしなければ、大きく失敗しない」と考える経営者です。
これは非常に危険です。
会社を取り巻く環境は、経営者が何もしなくても変化します。
顧客が変わる。競合が変わる。技術が変わる。人件費が変わる。物価が変わる。検索・広告環境が変わる。AIが普及する。社員が高齢化する。取引先の戦略が変わる。
つまり、会社が止まっていても、市場は止まってくれません。したがって、現状維持とは、「現在の位置を維持すること」ではないのです。自社が同じ場所に止まっている間に、競合や顧客が前へ進めば、相対的には後退します。
「守る経営」と「変化しない経営」は違う
私は、「経営者は常に無謀に攻めなければならない」と言っているわけではありません。会社を守るために、キャッシュを厚くする、借入を抑える、不採算事業から撤退する、投資を延期する、在庫を圧縮するという判断が必要な局面もあります。
これは立派な経営戦略です。問題なのは、「変化しないこと」そのものを安全策だと思うことです。
経営における「守り」は、停止ではありません。
③ 戦略と計画を持たず、思いつきで動く経営者
第三は、現状維持の反対側にある問題です。それが、「とにかく動けばよい」という経営です。
新しいSNSが流行ったから始める、AIが話題だから導入する、競合が海外進出したから自社も海外へ出る、補助金があるから設備投資する、知人から事業を紹介されたから参入する。
このような意思決定を繰り返します。
本人は、「スピード経営だ」と思っているかもしれません。もちろん、経営にはスピードが必要です。すべての情報が揃うまで待っていれば、機会を失います。しかし、
速く決めることと、考えずに決めることは、まったく違います。
優れた経営者は、
目的を決める。
仮説を立てる。
最低限の情報を集める。
数字を確認する。
実行する。
結果を測る。
違っていれば修正する。
というサイクルを速く回します。
「計画を作るから遅い」のではありません。戦略と計画があるからこそ、何を決めればよいかが明確になり、意思決定を速くできるのです。
④ 数字を「経理の仕事」だと思っている経営者
第四は、数字です。僕は以前から、「経営は、国語で考え、算数で検証する」と申しあげています。
事業を考えるとき、言葉によるストーリーや論理が必要です。しかし、最後には数字で確認しなければなりません。
数字を税理士や経理担当者へ任せること自体は問題ありません。会計処理は専門家へ任せればよいのです。しかし、経営判断に必要な数字まで、経営者が理解しなくてよいわけではありません。
売上。
粗利益。
営業利益。
固定費。
変動費。
損益分岐点。
月末キャッシュ。
借入返済額。
主要事業別の採算。
を、経営者自身が把握する必要があります。「決算が出てから数字を見る」では遅いのです。
中小企業は、「社長の弱いところ」を放置したところから崩れやすい
経営者には、それぞれ強みがあります。
営業が得意な経営者。
技術に強い経営者。
財務に強い経営者。
人をまとめるのが上手な経営者。
企画力がある経営者。
現場力が強い経営者。
すべてを一人で高い水準にできる経営者は、ほとんどいません。
問題なのは、弱みがあることではありません。弱みを認識せず、誰にも補完させていないことです。
例えば、営業が非常に強い社長でも、財務管理が不得意で、売上だけを追い続ければ、資金繰りを悪化させる可能性があります。
技術力が高い社長でも、顧客獲得やマーケティングを軽視すれば、優れた商品を売上へ変えられません。
新規事業を作るのが得意な社長でも、撤退判断が苦手なら、不採算事業が増え続けます。
数字に強い社長でも、人材や組織を軽視すれば、社員が定着せず、成長できないことがあります。
だからこそ、
自分が得意なこと。
自分が不得意なこと。
自分が好きな仕事。
自分が避けている仕事。
を経営者自身が理解する必要があります。
そして弱い領域については、
幹部。
社員。
外部専門家。
業務委託。
システム。
AI。
などで補完します。
年商1億円、その先の5億円へ会社を成長させる過程では、「社長自身を万能にする」のではなく、「社長が万能でなくても成長できる会社」を作ることが重要です。
「選択と集中」は、縮小するためではなく、経営資源を強い場所へ動かすためにある
経営戦略では、「選択と集中」という言葉がよく使われます。
この言葉が、「新しいことはせず、本業だけを守る」「不採算部門を削り続け、会社を小さくする」という意味で使われることがあります。
しかし、それだけが選択と集中ではありません。
私が経営で重要だと思うのは、「どこから経営資源を引き揚げ、どこへ再配分するか」です。
例えば、
成長性の低い商品を終了する。
↓
そこで使っていた人材と資金を、成長商品へ移す。成果の出ない広告を停止する。
↓
成果の出ているチャネルへ広告費を集中する。将来性の低い事業から撤退する。
↓
新規事業へ経営資源を投入する。
このような判断です。
つまり、
選択と集中とは、「何もしないために捨てること」ではなく、「より重要なことをするために、重要度の低いものを捨てること」です。
経営資源が限られる中小企業ほど、この判断は重要です。
成長する経営者は、「攻撃的」ではなく「変化を恐れず、数字で判断する」
成長する経営者は、無謀にリスクを取る人ではありません。
リスクを把握する。
数字を確認する。
小さく検証する。
必要なら投資する。
失敗すれば修正する。
勝てないと判断すれば撤退する。
そして、可能性が大きければ資源を集中する。
こうした意思決定を続けます。
優れた経営とは、「守るか、攻めるか」の二択ではありません。会社を存続・成長させるために、その時点で最も合理的な資源配分を続けることです。
私が考える「マイクロコングロマリット戦略」も、成長戦略の一つ
私自身は、URVグローバルグループの経営において、一つの事業だけに依存するのではなく、複数の事業を持ち、それぞれの事業間で経営資源や顧客、ノウハウを共有する、「マイクロコングロマリット」という経営を実践しています。
これは、私自身の経営経験から作ってきた一つの戦略です。
マイクロコングロマリット戦略は、「何でもやる経営」ではありません。自社が持つ経営資源を活かしながら、複数の収益源を戦略的に構築する方法の一つです。
潰れる経営者・4つの特徴 自己診断チェックリスト(経営者向け)
ここまで取り上げた4つの経営リスクを、自社に当てはめて確認してみてください。
※このチェックリストは、会社の倒産可能性を判定するものではありません。
※Yesの数よりも、「重要な項目に該当していないか」を確認することが大切です。
① 外部要因だけで業績悪化を説明していないか
☐ 業績が悪化した理由を、最初に景気・人材・取引先などの外部環境だけで説明している
☐ 外部環境が変わった後、自社が何を変更したか説明できない
☐ 業績悪化について、自分自身の意思決定を振り返る習慣がない
☐ 「自社で変えられること」と「変えられないこと」を分けて考えていない
☐ 失敗した施策について、原因と次の改善策を言語化していない
3つ以上当てはまる場合
→ 外部環境の分析だけで終わらず、自社が変えられる領域を整理する必要があります。
② 現状維持を安全策だと思っていないか
☐ 新規投資や改善よりも、「何もしないこと」を安全だと考えている
☐ 主力事業の3年後・5年後の市場変化を検討していない
☐ 競合・新規参入・技術変化について定期的に確認していない
☐ 利益は出ているが、顧客数や成長率が継続して低下している
☐ 新商品・新販路・生産性向上などの投資を数年間ほとんど行っていない
3つ以上当てはまる場合
→ 「守るために、何を変える必要があるか」を検討する時期です。
③ 戦略と計画なしに動いていないか
☐ 思いつきで新しい施策を始めることが多い
☐ 会社の重点課題が短期間で頻繁に変わる
☐ 新規事業や投資について、目的・予算・期限・責任者を決めていない
☐ 3年程度の経営目標と、その実現方法が言語化されていない
☐ 施策を開始する際、撤退・見直し条件を決めていない
3つ以上当てはまる場合
→ スピードを落とすのではなく、「判断基準を決めてから速く動く」経営へ変える必要があります。
④ 経営数字を把握できているか
☐ 月次の売上・粗利益・営業利益を把握していない
☐ 固定費と変動費のおおよその構造を説明できない
☐ 利益目標・キャッシュ目標を持たず、売上だけを追っている
☐ 投資回収期間を計算せずに設備・採用・広告投資を決めることがある
☐ 数か月先の資金繰りを定期的に確認していない
3つ以上当てはまる場合
→ 財務・会計処理そのものではなく、「経営判断に必要な数字」を理解することを優先してください。
総合確認
Yes 0〜3個
→ 現時点では大きな偏りは少ない状態です。ただし、各項目の重要度も確認してください。
Yes 4〜7個
→ 経営上の弱点が複数領域に存在する可能性があります。優先順位を決めて改善することをおすすめします。
Yes 8個以上
→ 経営者個人の努力だけではなく、経営体制・数字管理・組織・戦略全体を一度整理することをおすすめします。
このチェックリストで重要なのは、「何個Yesがあったか」ではありません。
自分が避けてきた経営課題が、どこにあるかを発見することです。
年商5億円の壁を突破するための経営者伴走コンサルティング
年商3000万円から4億円程度のオーナー社長を対象に、2026年3月期・グループ総売上高48億円の企業グループを経営する現役オーナーCEOである松本尚典が、経営戦略・事業計画・組織・マーケティングから海外展開まで、経営判断と実行に継続して伴走します。
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/
初回120分経営カンファレンス
継続的な経営コンサルティングをご検討いただいているオーナー経営者を対象に、現在の売上・利益、戦略、組織、数字管理、今後の成長目標を整理し、会社の成長を止めている経営上のボトルネックと、今後優先して取り組むべき課題を確認します。
https://direct.mbp-japan.com/menu/detail/936
URVグローバルグループの中小企業経営者 成長経営支援
経営戦略、事業計画、新規事業、売上・利益、組織、人材、マーケティング、財務、海外展開など、企業の成長に伴って複雑化する経営課題を、経営全体から支援します。
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