年商5億円の壁を超えるには?「安定収益×成長収益」で売上を伸ばす経営戦略

松本尚典

松本尚典

テーマ:年商5億円 売上5億円 組織


1、年商5億円は、「会社の経営方法」が変わる一つの節目


事業家の目標は、「夢」から具体的な経営目標へ落とし込む


会社を経営している以上、

「もっと会社を成長させたい」

「もっと大きな事業を作りたい」

という目標を持つことは、とても大切です。

しかし、経営者が描く夢は、単なる夢想ではありません。

いつまでに。

どの市場で。

何を売り。

どれだけの顧客を獲得し。

どのような組織を作り。

どれだけの売上・利益を生み出すのか。

という具体的な経営目標へ落とし込んでいく必要があります。

僕は、中小企業経営者の方を支援する際、一つの成長目標として、

「年商5億円の壁を超える」

という目標を置くことがあります。

もちろん、すべての会社が年商5億円を目指す必要はありません。

会社の目的も、経営者の人生観も、それぞれ異なります。

高い利益率を維持しながら、あえて小規模で経営するという選択も、立派な経営戦略です。

それでも、年商3000万円から4億円程度の会社が、さらに事業規模を拡大しようとする場合、年商5億円という数字は一つの重要な節目になります。

なぜなら、その規模へ進むにつれて、

社長自身が営業する。

社長自身が商品を作る。

社長自身が重要顧客へ対応する。

社長自身が社員へ指示する。

という経営方法だけでは、会社を動かしきれなくなってくるからです。

年商5億円の壁とは、単なる売上高の壁ではありません。

「社長自身が会社を動かす経営」から、「組織と仕組みを通じて会社を動かす経営」へ移行する壁です。


「一国一城の主」という比喩で考える


僕は以前、小規模企業の経営者の方へ会社の成長段階を説明するとき、

「一国一城の主」

という歴史上の言葉を比喩として使っていました。

戦国時代から江戸時代にかけて、大名は一定の領地と家臣団を持ち、自分一人で領地を運営していたわけではありません。

家臣。

財政。

土地。

行政。

軍事。

情報。

などを組織として動かしていました。

現在の企業経営とは制度も経済構造もまったく異なりますので、石高を現在の売上高へ単純換算することはできません。

しかし、

「ある規模を超えると、一人の能力ではなく、組織を通じて全体を動かさなければならなくなる」

という比喩としては、分かりやすいと思っています。

最低1万石の「売上」を目指せ

年商5億円前後まで会社を成長させようとすると、

営業組織。

マーケティング。

管理職。

人材採用。

財務管理。

IT・情報管理。

外部専門家。

業務標準化。

などが必要になってきます。

経営者本人が、すべての業務を直接担当することはできません。

その意味で僕は、

年商5億円とは、「社長が優秀なら伸びる会社」から、「社長以外の人と仕組みが動くから伸びる会社」へ移行する一つの目安


だと考えています。

年商5億円は「成功者の資格」ではない


ここで、もう一つ大切なことを申しあげておきます。

年商5億円を超えているから、優れた経営者。

年商1億円だから、まだ経営者として未熟。

という話ではありません。

売上高そのものには、企業の優劣を決める意味はありません。

年商10億円でも赤字の会社はあります。

年商1億円でも、高い利益率を維持し、強い財務基盤を持つ会社もあります。

僕が年商5億円という数字を重視するのは、

企業規模の拡大に伴って、経営者自身の仕事、組織、収益構造、資金管理の方法を大きく変える必要がある領域だから

です。

会社を大きくしたい経営者にとって、一つの具体的な目標として分かりやすい。

そのように位置づけています。

2、年商5億円企業は、一朝一夕では誕生しない


年商5億円は、「難しいが分解できる経営目標」


年商5億円は、簡単に到達できる数字ではありません。

しかし、

「何をしてよいか分からないほど遠い夢」

でもありません。

例えば、

顧客数。

客単価。

購買頻度。

商品数。

店舗数。

営業担当者数。

一人当たり売上。

新規顧客獲得数。

既存顧客継続率。

といった要素へ分解していけば、

「今の会社から何を変えれば5億円へ近づくのか」

を考えることができます。

僕自身も、事業家として一足飛びに現在の事業規模へ到達したわけではありません。

飲食事業を長期間かけて複数店舗へ拡大し、その後M&Aを経験し、独立後は複数の事業会社・海外現地法人を含むURVグローバルグループの事業を拡大してきました。

2026年3月期には、グループ総売上高48億円となりました。

しかし、売上高そのものを経営の最終目的だとは考えていません。

企業にとって重要なのは、

売上。

粗利益。

営業利益。

キャッシュ。

生産性。

財務基盤。

顧客基盤。

組織力。

を総合的に強くしていくことです。

売上高は、その企業が市場からどの程度の取引を獲得しているかを示す重要な指標の一つではありますが、それだけを追えばよいわけではありません。

企業成長には、「竹の節」のような壁がある


僕は、中小企業の成長には、竹の節のような「壁」があると考えています。

例えば、

年商3000万円前後。

年商1億円前後。

年商5億円前後。

では、経営者が乗り越えるべき課題が違います。

年商3000万円前後

社長一人の力だけで仕事を回す状態から脱し、社員・外注・仕組みを使って「組織」を作り始める。

年商1億円前後

社長の努力量だけで売上を伸ばす経営から脱し、商品・市場・マーケティング・組織・財務を「戦略」で動かす。

年商5億円前後

社長がすべてを直接管理する経営から脱し、幹部・組織・制度・数字を通じて会社全体を動かす。


会社が成長するたびに、

過去に成功した方法

そのものが、次の成長を妨げる場合があります。

例えば、年商5000万円まで、

社長がすべての営業を担当することで成功した。

とします。

その成功体験に固執して、

年商2億円になっても社長がすべての重要商談へ出席していれば、社長の時間が会社の成長上限になります。

過去の成功を捨てる必要はありません。

しかし、

「ここまで成功した方法」と、「ここから成長するために必要な方法」は違うことがある。

この認識を持つことが重要です。

右肩上がりとは、「毎年必ず売上が増える」という意味ではない


僕がいう「右肩上がりの経営」は、

毎月必ず売上が増える。

毎年絶対に前年を上回る。

という意味ではありません。

経営には、

景気変動。

競争。

人材不足。

為替。

原材料価格。

技術革新。

法制度。

災害。

など、自社ではコントロールできない要因があります。

新規事業へ投資すれば、一時的に利益が減ることもあります。

不採算事業から撤退すれば、売上高そのものは減ることもあります。

それでも、

顧客基盤。

収益力。

組織力。

財務基盤。

事業ポートフォリオ。

を長期的に強くし、企業価値を高めていく。

これが、僕の考える「右肩上がりの経営」です。

3、年商5億円を超えるには、「収益構造」を設計する


何を売るかだけでなく、「どう売上が発生するか」を見る


新しい事業を考えるとき、

自分の強みを活かせるか。

市場が伸びるか。

競合に勝てるか。

ということはもちろん重要です。

しかし、それと同じくらい重要なのが、

「その事業では、どのような仕組みで売上と利益が発生するのか」

という収益構造です。

ここでは分かりやすく、

継続・反復型収益。

案件・取引型収益。

という二つの収益構造を考えてみましょう。

継続・反復型収益とは


継続・反復型収益とは、一度顧客との契約や関係を作ると、その後も一定期間にわたり反復して売上が発生する収益です。

例えば、

不動産管理。

月額顧問契約。

保守契約。

サブスクリプション。

定期購入。

継続利用型のサービス。

などです。

この収益構造のメリットは、

翌月の売上をある程度見通しやすいこと。

顧客との関係を長期化しやすいこと。

営業活動をゼロから毎月やり直す必要が少ないこと。

にあります。

ただし、

「継続収益だから安全」

とは限りません。

利益率が低い。

解約率が高い。

特定顧客への依存度が高い。

サービス提供コストが高い。

のであれば、継続売上があっても経営は安定しません。

したがって、

売上額だけでなく、

粗利益。

解約率。

顧客維持率。

一顧客当たりの利益。

まで見る必要があります。

案件・取引型収益とは


一方、案件・取引型収益とは、

一件の売買。

一つのプロジェクト。

一件の仲介。

一回の商品購入。

など、個別の取引が成立することで売上が発生する収益です。

例えば、

不動産売買仲介。

M&Aアドバイザリー。

Webサイト制作。

建築工事。

コンサルティングプロジェクト。

設備販売。

小売・飲食店での販売。

などがあります。

案件・取引型収益には、

一件当たりの利益を大きくできる。

急速に売上を拡大できる場合がある。

新規市場へ展開しやすい。

というメリットがあります。

その一方で、

今月大型案件があっても、来月はない。

というように、業績の変動が大きくなる場合があります。

4、「安定収益×成長収益」のポートフォリオを作る


経営で重要なのは、どちらか一方を選ぶことではない


僕が経営者に考えていただきたいのは、

「継続型がよい」

「案件型は危険」

という単純な二者択一ではありません。

重要なのは、

異なる収益特性を持つ事業を、どのように組み合わせれば、企業全体として安定性と成長性を両立できるか。

という発想です。

例えば不動産事業なら、

不動産管理による継続収益

を基盤にしながら、

仲介。

リーシング。

売買。

開発。

などの案件収益を積み上げる方法があります。

経営支援事業なら、

継続的な顧問契約

を基盤にしながら、

M&A。

事業計画。

マーケティング。

海外進出。

などのプロジェクト型業務を組み合わせることができます。

製造業なら、

設備本体の販売

だけでなく、

保守。

消耗品。

メンテナンス。

ソフトウェア利用料。

を組み合わせられる場合があります。

つまり、一つの商品だけを見るのではなく、

顧客との取引全体から、異なる収益源を設計する

という発想です。

飲食事業も、「店舗売上だけ」に依存しない方法がある


飲食店を例に考えてみましょう。

通常の店舗売上は、

お客様が来店する。

注文する。

その都度売上が発生する。

という取引型の収益です。

天候。

曜日。

季節。

立地。

競合。

などの影響を受けます。

しかし、飲食企業でも、

法人向けの定期ケータリング契約。

食品の定期販売。

ECによるリピート販売。

会員制度。

業務用商品の継続供給。

ライセンス。

などを組み合わせることで、収益構造を多様化できる場合があります。

もちろん、すべての飲食企業がこうした事業を行うべきだという意味ではありません。

自社の商品力、ブランド、人材、資金、顧客との関係を踏まえて、

「店舗以外でも、継続的な顧客関係を作れないか」

という視点を持つことが重要です。

固定費を「安定した粗利益」でどこまで賄えるかを見る


収益ポートフォリオを考えるときに、僕が重視するのは、

売上高

だけではありません。

粗利益とキャッシュです。

例えば、月額1000万円の継続売上があっても、その事業の粗利益が100万円しかなければ、固定費1000万円を支えることはできません。

一方、継続売上が月500万円でも、粗利益が400万円あり、固定費の多くを安定的に賄えるのであれば、経営上は大きな意味があります。

そこで、

固定費のどこまでを、継続性の高い粗利益でカバーできるか。

その基盤の上に、どの程度の案件・取引型収益を積み上げるか。


という形で考えます。

継続型の粗利益が会社の土台を作る。

案件型の利益が成長投資の原資を作る。

その利益を、

人材。

広告。

システム。

新商品。

新拠点。

M&A。

海外展開。

などへ再投資する。

そして、その投資から新しい継続収益を作る。

この循環ができると、企業の成長は強くなります。

5、年商5億円を超えるための「収益成長サイクル」を作る


年商5億円を超えて、さらに会社を成長させていくためには、

「今年、何を売れば5億円になるか」

だけを考えてはいけません。

より重要なのは、

継続収益を積み上げる



固定費を安定的に吸収できる粗利益基盤を作る



案件・取引型事業で成長利益を獲得する



利益を、人材・商品・マーケティング・システム・新規事業へ再投資する



新たな顧客・商品・収益源を作る



その一部を再び継続収益へ変える


という循環です。

この循環を何年も回すことで、会社の基礎体力そのものが上がっていきます。

僕が考える「右肩上がりの経営」は、このような経営です。

売上を右肩上がりにする経営者が見るべき5つの数字


この考え方を実際の経営へ落とすなら、少なくとも次の数字を定期的に確認します。


  • 継続・反復型収益の売上高と粗利益
  • 案件・取引型収益の売上高と粗利益
  • 固定費を継続的な粗利益でどこまでカバーできているか
  • 既存顧客からの継続率・追加受注・リピート率
  • 成長投資へ回せるキャッシュがどれだけ残っているか


さらに、

特定顧客への依存。

特定商品への依存。

特定社員への依存。

特定チャネルへの依存。

も確認します。

売上が増えていても、一社の大口顧客が売上の半分を占めているのであれば、経営基盤は必ずしも強くありません。

逆に、顧客・商品・収益源が適切に分散され、継続的な粗利益が積み上がっているのであれば、次の成長投資をしやすくなります。

6、年商5億円の壁を超える経営とは、「売上を追うこと」ではなく「成長する仕組みを作ること」


年商5億円という数字だけを追いかけても、強い会社にはなりません。

大切なのは、

誰に何を売るのか。

なぜ顧客から選ばれるのか。

どのように継続的な顧客関係を作るのか。

どの収益を会社の土台にするのか。

どの事業で成長利益を獲得するのか。

その利益をどこへ再投資するのか。

そして、その規模を支える組織をどう作るのか。

を一体として設計することです。

年商5億円の壁を超えるために必要なのは、「もっと社長が働くこと」ではありません。

社長がすべてを直接動かさなくても、顧客・商品・組織・収益・投資が循環し、会社そのものが成長する仕組みを作ることです。


僕自身も、事業家として会社を成長させる過程で、

事業を作る。

伸ばす。

見直す。

撤退する。

売却する。

新しい事業へ投資する。

という意思決定を繰り返してきました。

会社の成長とは、一直線に売上を増やし続けることではありません。

過去の成功に固執せず、その時々の会社の規模と市場環境に合わせて、事業と組織を作り替え続けることだと考えています。

7、年商5億円の壁を超えるために、経営全体を見直したいオーナー経営者の方へ


「売上は伸びてきたが、利益が思うように増えない」

「社長が動かなければ、売上が止まってしまう」

「大型案件が取れた月と取れない月で、業績の差が大きい」

「継続収益を作りたいが、どの商品から着手すべきか分からない」

「次の成長事業へ投資したいが、既存事業とのバランスを判断できない」

「年商1億円までは来たが、その先の成長方法が分からない」

こうした問題は、単なる売上施策だけでは解決できません。

経営戦略。

商品。

マーケティング。

営業。

収益構造。

組織。

人材。

財務。

投資。

を一体として見直す必要があります。

年商5億円の壁を突破するための経営者伴走コンサルティング

年商3000万円から4億円程度のオーナー社長を対象に、2026年3月期・グループ総売上高48億円の企業グループを経営する現役オーナーCEOである松本尚典が、経営戦略・事業計画・組織・マーケティングから海外展開まで、経営判断と実行に継続して伴走します。

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初回120分経営カンファレンス

継続的な経営コンサルティングをご検討いただいているオーナー経営者を対象に、現在の売上・利益・収益構造・組織・今後の成長目標を整理し、年商5億円の壁を超えるために、どこへ経営資源を集中すべきか、本コンサルティングが課題解決に適しているかを双方で確認します。

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松本尚典
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松本尚典(経営コンサルタント)

URVグローバルグループ 

年商3,000万円から4億円程度のオーナー社長を対象に、次の成長ステージへの経営を伴走支援。現役オーナーCEOとして、経営者の意思決定を継続的に支え、年商5億円の壁の突破を目指します。

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