潰れない経営とは何か?

松本尚典

松本尚典

テーマ:年商5億円 売上5億円 組織


潰れてゆく経営者を、僕が何人も見てきた中で・・・


僕が大学卒業後、新卒で都市銀行に入行し、銀行系シンクタンクに着任したのは23歳の時でした。そこから現在58歳になるまで、経営コンサルタントとして、規模も業種も異なる数多くの経営者を支援してきました。
同時に、副業から本業へと自身の事業を立ち上げ、現在ではURVグローバルグループに属する国内3社・海外15社の企業を経営しています。

この30年以上の経験の中で、多くの経営者を成功に導いてきました。
しかし残念ながら、潰れていく経営者も見てきました。
はっきり言えば、僕の力では救えなかった経営者もいらっしゃいました。

もちろん、それは僕自身の力不足でもあります。
ただし現実の現場では、それだけでは説明できない「潰れる経営者の共通点」が存在していました。

経営コンサルタントは、あくまで助言者です。
意思決定をするのも、PDCAを回すのも、すべて経営者自身です。
創業段階のプロジェクトを受託することはありますが、その場合でも、事業が始まった瞬間から経営の責任は100%、経営者に移ります。

これは例外のない原則です。
つまり、経営コンサルタントは「支援」はできても、「強制」はできません。
助言を聞くかどうかは、すべて経営者次第です。
若い頃、本人の将来を思い、あえて厳しい言葉で改善を促した結果、契約を打ち切られたことも何度かありました。

しかし、不思議なことに――
そうした経営者は、ほぼ例外なく、数年以内に事業を大きく縮小するか、立ち行かなくなり、最終的には市場から姿を消しました。
姿を消した経営者は、その後インターネット上で名前がまったく出てこなくなります。つまり、再起できた人はいません。
経営者は、成長するのも、潰れるのも、すべて自己責任です。
それが経営という世界です。

現実の数字を見てください。
日本における個人事業主を含む経営者の存続率は、
創業10年後:6%
創業30年後:0.2%
1000人が起業しても、30年後に残っているのは、わずか2人です。
これが、データが語る起業の現実です。

この数字を前にすれば、30年以上この仕事をしてきた僕の周りで、潰れていく経営者が現れるのは、むしろ当然とも言えます。

潰れてゆく経営者には、共通点がある


では、潰れていく経営者と、伸び続ける経営者の違いは何でしょうか。
才能でしょうか。
運でしょうか。
業界でしょうか。

違います。
決定的な違いは、経営者本人の「考え方」と「姿勢」です。
大企業と中小企業では、経営者が潰れる理由がまったく異なります。
大企業が潰れる場合、多くは「教科書通り」の失敗です。
構造的問題、外部環境、組織の硬直化――
個人の資質だけで潰れることは、ほとんどありません。
しかし、中小企業、とりわけ年商5億円に満たない会社が潰れる場合、原因はほぼ一つです。
経営者自身の問題です。

年商5億円に満たない段階で会社を潰す経営者には、驚くほど明確な共通点があります。
そして僕の経営コンサルティングは、その「潰れる共通点」を、経営者本人から削ぎ落とすことを最重要テーマにしています。

潰れる経営者に共通する4つの特徴


中小企業が潰れるとき、そこには必ず経営者の共通パターンがあります。
以下の4つです。

① いいわけをする経営者


最も多く、そして最も致命的なのが、「いいわけ」をする経営者です。
会社を成長させる経営者は、経営の結果をすべて自分の責任として受け止めています。
一方で、潰れていく経営者は、原因を必ず外部に求めます。
•コロナ禍のせい
•景気のせい
•発注元に切られたせい
•従業員のせい
•時代が悪かったせい
こうした言葉が出始めた瞬間、経営者としての成長は止まります。
断言します。
外部要因を理由にする経営者は、必ず同じ失敗を繰り返します。

経営者の最大の資質は、能力ではありません。
自己責任を引き受ける覚悟です。
従業員の人生、株主や債権者の信頼。
それらを背負い、意思決定の結果を一身に引き受ける。
それが中小企業の経営です。
その覚悟がない経営者は、どうしても言動が軽く見えます。
そして会社が傾いた瞬間、必ず責任転嫁を始めます。
結果は一つです。
会社は潰れます。

② 専守防衛志向の経営者


多くの経営者は、こう考えています。
「攻めの経営は難しい。だから、まずは守りを固めたい」
しかし、これは大きな誤解です。

守りの経営は、攻めよりもはるかに難しい


僕自身の経験から断言できます。
守り切る経営は、戦略的に攻める経営よりも、圧倒的に難しい。
守りとは、何十年にもわたって、同じ事業を、同じ価値で維持し続けることです。
社歴30年を超える企業がほとんど存在しないという事実が、その難しさを雄弁に物語っています。

攻防の視点で考えると、答えは明白


軍事においても、防衛は攻撃より難しい。
攻撃側は弱点を探し、一点突破すればいいからです。
一方、防衛側は、全方位・常時・完璧を求められます。

経営も同じです。
既存事業を守ろうとした瞬間、そのビジネスモデルは新規参入者に徹底的に研究されます。
新規参入者には、守るものがありません。
失敗すれば撤退すればいいだけです。
一方、守る側は削られ続けます。
気づいたときには、市場での立ち位置は失われ、商品ライフサイクルは終焉を迎えています。
だから、専守防衛志向の経営者は、静かに、しかし確実に潰れていくのです。

③ 戦略と計画のない経営者


「攻めなければならない」と感じた瞬間、今度は思いつきで動き始める経営者が現れます。
これも、潰れる経営者の典型的行動です。

朝令暮改。
本人は「スピード経営」のつもりです。
しかし第三者の目には、それは単なる短慮で無計画な行動にしか映りません。
『孫子』は、その冒頭でこう言い切っています。
「兵とは国の大事なり。
死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。」
経営も同じです。
経営者の一つの判断が、社員の人生と企業の未来を左右します。
熟慮なきスピードは、ただの暴走です。戦略も計画も持たない経営者は、遅かれ早かれ、自滅します。

④ 数字に弱い経営者


そして、事業の内容に関わらず、数字に弱い経営者は事業を潰します。
経営とは、「国語で考え、算数で検証する」ものです。
事業の戦略や計画を立てる際には、ストーリーやロジックが重要ですが、その結果は、必ず数字で検証されなければなりません。

数字による検証を踏まえ、数字による計画を立案し、その目標に向かって事業を回し続ける。
これが経営の基本です。
組織は、成長性以上に固定費が膨らみやすい構造を持っています。
したがって、固定費と、収益を得るために投下される変動費を管理し、それを上回る収益を継続的に生み出す数字目標を回し続けなければ、経営は立ち行きません。

中小企業は、「社長の弱いところ」から潰れる


中小企業、特に年商5億円以下の企業では、業績に与える社長のキャラクターの影響が非常に大きくなります。
この規模の会社が衰退し、最終的に潰れるとき、その原因は外部要因ではなく、「社長の弱いところ」にあります。

営業が強い社長は、経理・財務管理の甘さから会社を潰します。
生産管理に強い社長は、営業力やマーケティング感覚の欠如で会社を潰します。
自信過剰な社長は、人事・組織管理の失敗から会社を潰します。
企画力の高い社長は、現場感覚の欠如から会社を潰します。

年商5億円を超え、組織力で成長できる段階に至る前に会社を潰す経営者は、例外なく、自身の弱みが露呈する形で会社を潰していきます。
逆に言えば、経営者が自分の弱点を自覚し、その弱点を部下や、僕のような外部人材で補い、そのうえで自分の強みを最大限発揮できれば、会社は安定的に成長を続けます。

誤訳された「選択と集中」という言葉


日本は1990年代以降、「失われた30年」と呼ばれる長期不況に陥り、1980年代に謳われた「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という経済大国の地位から、徐々に転落してきました。
その過程で、日本の中小企業には、縮小均衡で生き残ろうとする発想が広がり、成長よりも節減を重視する経営が増えていきました。

英語の focus という言葉を誤訳し、「選択と集中」という守りの姿勢こそが理想的な経営であるかのように喧伝する、迎合的なコンサルタントも増えました。

しかし、英語の focus とは、本来そのような意味ではありません。

この戦略が広く知られるようになった背景には、巨大化したコングロマリット企業であるゼネラル・エレクトリック社の事例があります。
同社は、膨大な事業群の中から、勝ち組となった事業に経営資源を集中させるため、勝てる見込みの薄い事業をM&Aによって切り離し、企業価値を現金化し、その資源を成長事業へ再配分しました。
つまり focus とは、「勝てない事業から撤退し、勝てる事業に集中する」ための成長戦略であり、中小企業が縮小均衡型の経営を取るべきだという思想ではありません。
経営コンサルタントにとっては、企業の成長に責任を持つ指導よりも、経費削減や本業集中を勧める方が、はるかに容易に報酬を得られます。

しかし実際の企業経営において、守りに徹し、攻めの姿勢を失った企業が長期に存続することは、極めて困難なのです。

成長企業の経営者は、戦略的で、高生産的で、攻撃的で、数値に強い


潰れる経営者と対極にいる、会社を成長させ続けられる経営者は、潰れる経営者とは正反対の志向を持っています。
彼らは、場当たり的な判断や現場への埋没を避け、戦略に基づき、計画的に意思決定を行います。
スピードがあり、高生産的で、防御的ではなく攻撃的です。
そして何より、数値に非常に強い。

このような志向へ自らを修正していくことが、潰れるリスクから脱却することに直結します。
僕が提供している経営者支援は、こうした志向に経営者自身を近づけていくための、総合的なメンタリングサービスです。

今、マイクロコングロマリット企業を目指せ


日本は今、「失われた30年」を脱却しつつあります。
人口減少という構造問題を、移民政策、海外展開、AIによる生産性向上によって補い、背後から追い上げてくるインドを引き離し、再びアメリカや中国と経済力で競えるかどうかが問われています。
その日本経済を支える中小企業の経営者も、デフレに慣れた体質から脱却し、「潰れないための経営」から「成長するための経営」へと、発想を切り替える必要があります。

好況はインフレを伴い、賃金格差を生みます。

不況期とは異なり、勝ち組と負け組の差は、これまで以上に拡大します。
僕は今、クライアントの経営者の皆さんに対し、「潰れる経営者の発想」を取り除き、「成長軌道に乗る経営者の発想」へと転換する支援を行っています。
そして僕自身がオーナーを務めるURVグローバルグループで実践している、マイクロコングロマリット企業戦略を、そのまま現場で使える形で指導しています。

具体的な方法にご興味のある方は、無料相談をご活用ください。
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松本尚典
専門家

松本尚典(経営コンサルタント)

URVグローバルグループ 

経営者の弱みを補強して売上を伸ばし、強みをさらに伸ばして新規事業を立ち上げるなど、相談者一人一人の個性を大切にしたコンサルティングで中小企業を成長させる。副業から始めて、独立で成功したい人も相談可能。

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