日本の富裕層インバウンドビジネスの成功地 ニセコを視察する

松本尚典

松本尚典

テーマ:売上あげる 売れる化 コツ



「ニセコ化」とは?


ニセコ化という言葉を御存知でしょうか?

ニセコは、北海道のスキーリゾート地です。ニセコ化とは、外国人富裕層のインバウンドを対象に絞り込んだ結果、地域が急速に国際リゾート化・高価格化していくことです。

ニセコがたどった観光地としての変化が象徴的だったため、このような地方の現象を他の地域に当てはめて「ニセコ化」と呼ぶようになりました。

ニセコは、オーストラリア人の方が仕掛けたスキーリゾート戦略が評判をよび、外国人観光客・居住者が急増し、次第に、欧米・豪州・アジアの富裕層が長期滞在して、主にウインターリゾートを楽しむようになりました。


ニセコ化


英語表記・英語対応が当たり前になり、日本にいながら「海外のような街並み」が出来上がっていきました。

そして、円安が進行する中、物価・地価・家賃が高騰します。不動産価格が地元住民の手の届かない水準に至り、カフェやレストランの価格が都市部・海外並みにあがります。

その結果、地元向けの店が減少します。地元の人が住めなくなるという、負の側面も指摘されます。

長期滞在者の、高級リゾート・コンドミニアムが増加し、外資系ホテル・高級別荘の建設が進みました。そして、投資目的の不動産購入が活発化しました。

街は観光客向けサービス中心の街へ変化し、地域経済が活性化し、雇用も大きく増えました。インフラやサービスの質が向上し、ニセコは、世界の富裕層に知られる観光地に変貌しました。実際、ニセコは「日本の地方でも世界と戦えるリゾート」の成功例とも言われます。

北海道の千歳から、ニセコを目指す


2025年10月。

フィリピンで開業の準備を、株式会社URVグローバルミッションで業務受託している高級焼肉店の取り扱い食材の仕入れ商談のため、僕は北海道の食品商社の社長さんの案内で、北海道の北西部を車で走りました。

その際、ニセコに醸造所を置くワイナリーの生産者の方との商談を目的にして、僕は、初めてニセコに行くことになりました。

その商談の成功ももちろんですが、僕としては、世界に日本の高級インバウンドウインターリゾートとして知れ渡ったニセコを自分の目で視察するとともに、そこにおけるインバウンドビジネスの可能性を探り、着想をえることも目的でした。

新千歳空港から、高速に乗り、小樽を通って、ニセコに向かいます。

思っていた以上に、新千歳空港から距離があり、インバウンドの外国人が冬に、ここに押し寄せるというのは、非常に驚きでした。ニセコは、札幌市から南西へ直線距離で約100kmほどの場所にあるのです。


ニセコ どこ?


当日は、生憎の雨天。
天気が良ければ、蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山が、その雄姿をまぢかに観られるのですが、この日は、羊蹄山は霧に隠れて、どこにあるのかもわからない状態でした。

ニセコがウインターリゾート地として注目された最大の理由は、世界屈指の「パウダースノー」にあります。雪の量が豊富で、非常に軽い粉雪(パウダースノー)で、年間平均 15m以上の降雪量があります。

ニセコユナイテッド と呼ばれる4つのスキーエリア(グラン・ヒラフ、ハナゾノ、ニセコビレッジ、アンヌプリ)がリフトで繋がり、広大な滑走エリア を形成しています。

ナイター(夜間)スキー やパウダー重視のバックカントリーも人気があります。

一方、北海道ならではの快適な夏。自然環境を活かしたアクティビティも豊富です。

ゴルフ、ハイキング、ラフティング、サイクリングなどアウトドアが楽しめます。特に、
羊蹄山(ようていざん/通称・蝦夷富士) の絶景を望むトレッキングも人気があります。


羊蹄山が広がり、広大な別荘がゆけども、ゆけども広がるニセコへ


ニセコの風景は、その他の北海道の街の景色とまったく異なりました。
クルマで走ると、いけども、いけども一軒が大きな欧米流の別荘が続いています。

季節による来客の差が激しいからかもしれませんが、街路に面した飲食店は非常に少なく、企業が入るビルなどの建物も見当たりません。

地元に詳しい方の話によれば、別荘の建築を担っているのは、札幌の建設業者のようです。
つまりは落ちる高額なおカネに対して、地元の供給が伴っておらず、価格の高騰は、このような供給の不足や、物流コストなどの要因が大きいのかもしれません。

エリア全体を観る中で、僕自身、確かにここでのビジネスのポテンシャルは、結構高いのではないかという印象を持ちました。

日本の未来とニセコ化を考える


今、日本では、欧米のあとを追うように、外国人排他的な世論が起きています。

確かに、日本に来ているインバウンドや、一定の定住者の中には、住民税を踏み倒したり、日本での生活ルールを守らない外国人もいることは事実であり、このような外国人に次の渡航のビザを制限したり、在留期間の延長を否定する政策は、必要だと思います。

都内のハンバーガーショップで、長時間スマホを、ボーといじっているインバウンドの姿をみると、そのようなおカネを持たずに日本にやってくるインバウンドは、何のために、日本に来ているのだろう、このヒトたちを、日本は果たして受け入れ続けるべきなのか、と、僕も疑問に感じることがあります。

ただ、日本に非常に多くのおカネを落とすインバウンドや、真剣に日本に勉強に来る留学生、高い能力を持って高い生産性を持って真面目に働く外国人などは、今後、少子高齢化の道を歩むしかない日本にとって、重要な人口ボーナスなのではないかとも思います。

急速に進化するAIを駆使すれば、日本企業は、少子高齢化と労働力不足を乗り越えて生産性を向上し続けることはできるでしょう。

しかし、重要なことは、AIには、消費はできない、という事実です。
生産性を向上させても、消費が増え続けなければ、日本の内需を支えることはできません。

外国人を一律に論じ、あるいは一律に排斥する発想を持っても、日本の未来は成り立ちません。

その意味で、ニセコに集まる超・富裕層の外国人たちは、日本にとって、重要なお客様であると思います。そして、また、自分のビジネスの中に、その人たちのニーズを満たし、課題を解決する事業の発想も、必要なのではないかと、僕は思います。

そのような観点で、ニセコを観てきたわけです。

そして、ニセコ化は、他の衰退する地方エリアにとっても、重要なヒントを与えてくれるのはないかと僕は思っています。

ニセコ化をビジネスに活かすには?


日本企業にとって、日本人の少子高齢化による日本人の人口減少・消費減退は、最早避けられません。したがって、日本人だけをマーケットに捉えるビジネスは、今後、供給過多のレッドオーシャン化に晒されてゆくことは、間違いありません。

会社の衰退を避けるためには、海外進出による海外マーケットや、インバウンド富裕層のマーケットなど、日本人以外の消費を求める発想に切り替えをしてゆかねばなりません。

ニセコ化は、その中で、ビジネスにおける大きなヒントになると思います。

ニセコに集まっている外国人の消費性向は、日本人の富裕層の消費レベルを大きく超えており、日本国内で、それを実感できる成功事例として、ニセコに注目をしてゆくことは、非常に有意義でないかと思います。

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松本尚典(経営コンサルタント)

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