右肩あがりの成長戦略に必須の戦略 ~歩留率を獲得率が追い越すマーケティング~
1、独占禁止法違反判決と、Google解体論
アメリカ合衆国で、2024年8月に、地方裁判所から、Googleが事業の主力のネット検索で独占禁止法に違反しているとの判決が出ました。
これを受けて、司法は、司法省とGoogleに是正案を求め、2025年8月までに審理結果を出すことになりました。
これに対して、司法省は、Googleの事業分割案という厳しい措置を出すと言われています。
つまり、世界の検索エンジンを主導してきたGoogleが国家権力によって、解体される可能性が出てきたのです。
2、ライバルに勝ち目のない、Googleの存在は、維持できない
Googleは、3つの領域で、独占状態を司法省から告発されています。
- 広告枠を供給するメディアの管理サービス
- 広告主を管理するサービス
- メディアと広告主をマッチングするサービス
Googleは、ライバルに勝ち目のないサービス領域で手数料をつりあげていると指摘され、広告枠の管理サービスと、マッチングサービスを分割して、解体を進めるべき、というのが、司法省の主張です。
上記の3つの領域は、そのどれもが独占にあたると判断された場合、大きな問題になるわけですが、Googleは同時に3つの領域で、独占を指摘されているという、相当にきつい包囲網をかけられている状態なのです。
Google側は反論して対抗していますが、裁判所の判断はかなり厳しいと予想されるわけです。
3、シカゴ学派 vs 新プランダイス派の論争
独占禁止法という経済法の解釈論は、時代や政権によって、大きな揺れが出てきます。自由主義を強調すれば、経済的な勝者が弱者の参入を阻んで独占事業を展開することは、正当化されます。アメリカでは、1970年代まで、消費者の利益を損なわない限り、寡占や独占を自由主義のイデオロギーのもとに容認する「シカゴ学派」が通説的な解釈論を形成していました。
しかし、この自由主義的な解釈は、2000年代に入ると、規制当局の社会経済政策の立場から、寡占や独占を規制することを正当化する「新ブランダイス派」が優勢になってきました。
バイデン政権では、この「新ブランダイス派」の考え方に従い、司法省や連邦取引委員会が、大企業を監視し、規制を強化しています。
4、検索エンジン独占の25年の歴史に幕が下り、戦国時代が到来するか?
Web2.0と呼ばれた21世紀の初頭、創業間もないGoogleは、検索エンジンというインフラのマネタイズの方法として、新たな広告業を事業の中枢に据えました。そして、そこから、25年で、Googleは、様々な事業に乗り出しながらも、検索エンジン広告で、最早、他の企業を寄せ付けない領域のレベルまで市場を寡占するに至りました。
米国の行政や司法は、既に、独占禁止法による国家的強制力をもって、Googleを解体しなければ、この独占状態を解消する手段はないと考えるに至ったということでしょう。
一方で、Googleという寡占企業の独占が解消されれば、これまで参入が難しかった検索エンジン広告業界に、一斉に企業が参入し、新たな戦国時代が幕をあけるのではないかとも考えられます。
5、リスティング広告や、SEOは、大きな変革の時代に突入する
21世紀の初頭、Googleの検索エンジンは、Web2.0という新たな潮流を世界に齎し、それまで効果測定が不可能だった広告の世界で、費用対効果の測定が完全に可能となりました。
この革命的な出来事から、四半世紀で、Googleは、その独占的な地位が、他の競争を阻害するという驚異的な規模にまで拡大することを、今世紀のはじめに予想した人は誰もいませんでした。
今、そのGoogleが合衆国の権力によって、解体される可能性が出てきたことから、Googleは、今後、今の形を維持することは許されなくなっています。
これは、検索広告の世界に、Googleに挑む企業との間の大競争時代が来ることを予感させる出来事です。
マーケティングの世界で生きる僕たちは、このGoogle解体論の行方を、慎重に見守る必要が出てきたといえるでしょう。
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