企業の存続に不可欠な、マーケティングとイノベーションとは?
目次
評判を気にしすぎる経営者
飲食業やネット販売業など、BtoCで商品やサービスを販売する経営者にとって、現在、インターネット上の口コミやSNSでの評価は無視できない存在になっています。
特に、SNSに否定的な投稿が書かれることを必要以上に恐れ、実際に低い評価や批判的な投稿を見つけると、大きな精神的負担を感じる経営者も少なくありません。
一方で、SNS上で好意的な評価を増やすことを目的に、インフルエンサーマーケティングや広告へ多額の費用を投入する企業もあります。
確かに、BtoCビジネスにおいて、消費者からの評価は非常に重要です。
顧客から繰り返し指摘される品質上の問題、接客上の問題、商品説明と実際の商品との乖離などがあるのであれば、経営者は真摯に受け止め、改善しなければなりません。
しかし、ここで経営者が理解しておくべき重要なことがあります。
すべての消費者から高く評価される商品やサービスをつくることと、自社が狙う顧客から強く支持される商品やサービスをつくることは、同じではありません。
むしろ、中小企業が限られた経営資源で大企業と競争するのであれば、後者の発想が重要になります。
ターゲットを明確にし、その顧客が強く求める価値に商品やサービスを尖らせれば、当然、その価値を必要としない人からは評価されないこともあります。
例えば、品質を重視して高価格帯に位置づけた商品に対して、「値段が高い」という口コミが書かれることがあります。
しかし、その価格に見合う品質を求める顧客をターゲットとしているのであれば、「値段が高い」という評価だけを理由に値下げをすれば、かえってブランドの方向性を崩してしまう場合があります。
重要なのは、悪い口コミがあるか、ないかではありません。
その口コミが、経営上改善すべき問題を指摘しているのか、それとも、自社が意図的に設定したターゲットや商品特性とのミスマッチから生じているのかを、経営者が判断することです。
SNS時代の経営者には、口コミに振り回されるのではなく、口コミを市場から得られる経営情報の一つとして読み解く力が求められます。
今回は、中小企業の経営者が、SNSや口コミの評価とどのように向き合い、それをマーケティングに活用すべきかについて考えてみたいと思います。
よい評判ばかりの口コミは、逆に信用されない?
現在の消費者は、SNS上の情報が必ずしも完全に中立な情報ではないことを理解し始めています。
企業による広告、インフルエンサーによる広告投稿、一般消費者による口コミなど、さまざまな情報が同じSNS上に掲載されています。
また、自分が閲覧したコンテンツや興味を示した情報に近い投稿が、SNSの仕組みによって繰り返し表示されることも珍しくありません。
そのため、SNS上に表示された情報だけを見て、それが市場全体の評価だと判断することは適切ではありません。
ここで経営者が注意したいのが、悪い口コミをなくすこと自体をマーケティングの目標にしてしまうことです。
商品やサービスには、通常、それぞれ長所と短所があります。
価格を下げれば品質やサービスに使える原資には限界が生まれます。
高品質な原材料を使えば価格は上がります。
専門性を高めれば、万人には理解されにくくなる場合があります。
個性的なデザインを採用すれば、それを強く好む人が生まれる一方で、好みに合わない人も生まれます。
それが市場です。
したがって、すべての口コミを好意的な評価だけにしようとする発想そのものに無理があります。
むしろ、実際の利用者によるさまざまな評価が存在することで、これから購入を検討する人が、
「自分には合う商品なのか」
「自分が求めている価値と一致しているか」
を判断する材料になることがあります。
例えば、
「価格は高いが品質は非常に良かった」
という評価があれば、価格を最優先する消費者には向かない一方、品質を重視する消費者には魅力的な情報になります。
経営者が目指すべきなのは、すべての人から100点をもらうことではありません。
自社が設定した顧客に対して、明確な価値を提供できているかどうかです。
口コミは、その確認をするための重要なマーケティング情報なのです。
賛否両論で盛り上がる口コミが、注目を集めることがある
SNSの大きな特徴の一つは、商品やサービスについて消費者同士の会話が発生することです。
そして、人の関心を集める商品やブランドには、必ずしも好意的な評価だけが集まるとは限りません。
特徴のない商品は、批判されにくいかもしれません。
しかし同時に、強く支持される理由も生まれにくくなります。
一方、明確な商品コンセプトや独自の価値を持つ商品には、
「非常に好きだ」
という人が生まれる一方で、
「自分には合わない」
という人が生まれることもあります。
その結果として、SNS上でさまざまな意見が出てくることがあります。
ここで重要なのは、企業が意図的に炎上を起こすことではありません。
炎上そのものをマーケティング手法として利用することは、企業の信用を毀損する大きなリスクがあります。
重要なのは、批判されることを恐れるあまり、商品やサービスから個性をなくさないことです。
例えば、ターゲットを明確にした商品について、
「高すぎる」
「自分には必要ない」
という評価が出たとしても、それだけで商品戦略が間違っているとは限りません。
一方で、ターゲットとしている顧客から、
「この価格でも買いたい」
「他の商品では代替できない」
「また利用したい」
という強い支持を得ているのであれば、その商品には市場における独自の位置が生まれています。
経営者が見るべきなのは、単純な好評価と悪評価の数だけではありません。
誰が、どのような理由で評価しているのか。
誰が、どのような理由で評価していないのか。
そして、自社が本来顧客にしたい層から、どのように評価されているのか。
ここまで分析して、初めて口コミがマーケティング情報になります。
賛否が生まれること自体を目的にする必要はありません。
しかし、明確なポジショニングの結果として賛否が生まれることまで恐れてしまえば、中小企業の商品は次第に特徴を失い、価格だけで比較される商品になってしまいます。
中小企業が大ヒットを生み出す法則
中小企業が商品やサービスを開発するとき、すべての消費者から好かれることを目標にする必要はありません。
むしろ重要なのは、
「この商品だから買いたい」
「ほかの商品ではなく、これを選びたい」
と強く感じてくれる顧客を明確にすることです。
中小企業には、大企業と同じ広告予算も、販売網も、人的資源もありません。
したがって、広い市場に薄くアプローチするよりも、自社の商品を強く必要とする顧客層を特定し、そこに経営資源を集中する方が有効な場合があります。
そのためには、商品やサービスを設計する段階から、
誰が顧客なのか。
その顧客は何に困っているのか。
競合商品では解決できない何を、自社は提供できるのか。
なぜ顧客は、自社を選ぶのか。
を明確にしなければなりません。
この答えが明確になればなるほど、商品は万人向けではなくなっていきます。
しかし、その代わりに、特定の顧客から強く支持される可能性が高まります。
これが、中小企業の商品開発やブランディングにおける重要な考え方です。
否定的な意見をすべて消すことに経営資源を投入するよりも、自社の商品を本当に必要とする顧客から、より強い支持を得ることに経営資源を投入する。
そして、その顧客が満足し、再購入し、他の顧客へ商品を紹介してくれる状態をつくる。
口コミマーケティングの本質は、単に高評価の投稿数を増やすことではありません。
顧客が他人に紹介したくなるだけの商品価値をつくることにあります。
絶対に避けたい、ステルスマーケティングの活用
SNSマーケティングを行う経営者が注意しなければならないのが、ステルスマーケティングです。
日本では、広告であるにもかかわらず、一般消費者が広告であることを判別することが困難な表示は、景品表示法上の規制対象となっています。
インフルエンサーを活用したマーケティングそのものが問題なのではありません。
企業がインフルエンサーに報酬を支払ったり、商品を提供したりして広告やプロモーションを依頼することも、マーケティング手法の一つです。
重要なのは、企業が表示内容の決定に関与している広告である場合、その関係を消費者が明確に認識できる形で表示することです。
広告であるにもかかわらず、あたかも完全に自発的な個人の口コミであるかのように見せることは、避けなければなりません。
これは法令上の問題だけではありません。
マーケティング戦略として考えても、消費者との信頼関係を損なう可能性があります。
インフルエンサーによる発信によって商品への期待値を必要以上に高めれば、実際に商品を購入した顧客が感じる価値との間に大きな差が生じることがあります。
広告でつくった期待値が、実際の商品価値を大きく上回れば、その差は顧客の失望につながります。
マーケティングとは、商品を実際以上によく見せる技術ではありません。
本来の商品価値を、必要としている顧客に正しく伝える活動です。
インフルエンサーを活用するのであれば、単にフォロワー数だけで選ぶのではなく、自社の商品やブランドとの相性、そのインフルエンサーを支持するフォロワー層、発信内容の信頼性まで検討する必要があります。
SNS時代のマーケティングで重要なのは、見せかけの好評価を集めることではありません。
商品やサービスの価値を明確にし、自社が選ぶ顧客に対して、その価値を一貫して伝えることです。
口コミやSNS上の評判に振り回されているのであれば、口コミ対策だけを行うのではなく、その前に、自社の商品、ターゲット、ブランド、広告、Webサイト、SNSの発信が、一つのマーケティング戦略として整合しているかを見直す必要があります。
URVグローバルグループでは、企業の広告、広報、Webサイト、SEO対策、SNS活用、ブランド設計を、それぞれ独立した施策としてではなく、経営戦略と連動したマーケティング支援として行っています。
「SNSでは知られているのに、売上につながらない」
「口コミの評価に振り回され、ブランドの方向性が定まらない」
「広告、Webサイト、SNSが別々に動いており、マーケティング戦略が一貫していない」
「自社が誰から選ばれるべき会社なのかを、改めて整理したい」
このような課題を抱えている経営者の方は、口コミ対策という部分的な施策ではなく、マーケティング全体を経営戦略から見直してみてください。
URVグローバルグループのマーケティング支援事業については、以下のページでご案内しています。
URVグローバルグループ マーケティング支援事業
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