SNSの悪評を恐れない経営戦略|口コミを売上に変える中小企業のマーケティング思考

松本尚典

松本尚典

テーマ:マーケティング イノベーション 違い

評判を気にしすぎる経営者


飲食業やネット販売業など、BtoCで販売を行う事業の経営者は、現在、消費者の口コミに非常に敏感になっています。

特に、SNS等における否定的な投稿が一切行われないように細心の注意を払い、実際にマイナス評価の投稿を見つけると、大きな精神的負担を感じる経営者も少なくありません。

一方で、SNS上の好意的な評価を獲得するために、インフルエンサーマーケティングへ多額の費用を投入する企業も増えています。

確かに、BtoCビジネスにおいて、消費者からの評判は極めて重要です。顧客の声を軽視する経営が適切でないことは、SNSが普及する以前から変わりません。

しかし、SNS時代においては、消費者の評価がインターネット上に拡散し、しかも長期にわたって残りやすくなりました。一度、否定的な評価や批判的な記事が書き込まれると、それを容易に消すことはできません。昭和・平成の時代に比べ、令和の現在では、インターネット上の口コミが事業に与える影響は、確実に大きくなっています。

ただし、その一方で、大きな成果を上げる経営者は、SNSの拡散力を受け身で恐れるのではなく、事業成長のために戦略的に活用しています。急成長する企業やブランドは、しばしば強い個性や明確な主張を持っているため、すべての消費者から好意的に受け入れられるわけではありません。むしろ、賛否両論が生まれることを前提に、その注目度をマーケティングに活かしているケースも少なくありません。

今回は、大きく成長する経営者が実践している、口コミの逆転的な活用法について解説します。評判を過度に気にしすぎている経営者にとって、SNS時代の口コミとの向き合い方を整理する機会になるはずです。

よい評判ばかりの口コミは、逆に信用されない?


現在、SNSを利用する多くの人々は、SNS上でステルスマーケティングが行われていることを理解しています。

SNSの利用者が急増していた時代には、「広告は信用できないが、SNS上の投稿は信用できる」と考える人も少なくありませんでした。しかし、SNS活用が社会に広く浸透し、ユーザー自身もその仕組みに慣れてきた現在では、SNS上の情報をそのまま鵜呑みにする人は減っています。

多くのユーザーは、自分が視聴したコンテンツや関心を持った情報に近い投稿が、アルゴリズムによって次々と表示されることを理解しています。つまり、SNSは、利用者の関心や視聴傾向を強化する方向に情報を表示する仕組みを持っています。否定的なコンテンツばかりを視聴するユーザーには、さらに否定的なコンテンツが表示されやすくなるのです。

しかし、そのようなユーザーが大量のマイナスコンテンツを発信し、大規模な炎上を引き起こさない限り、少数の否定的な投稿だけで、一般消費者全体の購買行動を大きく動かす力は、以前ほど強くありません。

むしろ、現在の消費者は、過剰に好意的な評価ばかりが並ぶ口コミに対しても、一定の警戒感を持っています。すべての投稿が絶賛一色である場合、「本当に自然な評価なのか」「広告ではないのか」と疑われることもあります。

賛否両論で盛り上がる口コミが、最も注目を集める


SNSの大きなプラス面は、圧倒的な注目度を短期間で生み出せる点にあります。

そして、その注目度を生み出しやすいのは、必ずしも好意的な投稿だけが並んでいる状態ではありません。むしろ、賛否両論がSNS上に多く掲載され、議論が盛り上がっている状態こそ、多くのユーザーの関心を集めやすいのです。

多くのインフルエンサーが特定のブランドや商品を一斉に絶賛すると、ユーザーの期待値は急激に高まります。しかし、その期待値が高まりすぎた状態で、実際に商品やサービスを利用したユーザーが期待外れだと感じると、ステルスマーケティングを疑い、かえってブランドや商品に対して批判的になることがあります。

一方、賛否両論があるブランドや商品の場合、ユーザーは「実際のところ、どうなのだろう」という好奇心を持ちます。その結果、過度に期待値を高めすぎることなく、比較的フラットな視点で商品やサービスを購入し、評価する傾向が生まれます。

そして、

「思っていたより、いい」

という感想を持てば、そのユーザーはブランドや商品のファンになっていきます。

このように、SNS上で賛否両論が生まれている状態は、必ずしも悪い状態ではありません。むしろ、適切に設計された商品やサービスであれば、賛否両論は注目度を高め、購買行動を促すきっかけになり得ます。

したがって、経営者は、賛否両論の状態を過度に恐れる必要はありません。

中小企業が大ヒットを生み出す法則


中小企業が生み出すヒット商品は、すべての人に好かれる商品である必要はありません。

むしろ、10人中1人でも、

「これは、絶対に買いたい」

と強く感じる顧客が存在する商品こそ、ヒット商品になる可能性を持っています。

仮に、日本国内の消費者の10%が「ぜひ買いたい」と感じる商品であれば、それだけで大きな市場規模になります。中小企業にとって重要なのは、万人受けを狙うことではなく、強く支持してくれる顧客層を明確に獲得することです。

したがって、否定的な意見をすべて打ち消すことに過度な労力を使うべきではありません。それよりも、

「誰が何と言おうとも、自分はこの商品を買いたい」

と感じてくれる顧客を増やすマーケティングを目指すべきです。

中小企業のマーケティング戦略では、広く浅い好感度よりも、狭くても深い支持を獲得することが、売上拡大の起点になります。

絶対に避けたい、ステルスマーケティングの活用


SNSの発展によって、現在、経営者やマーケティング担当者が最も注意しなければならないものの一つが、ステルスマーケティングです。

特に、インフルエンサーの中には、短期的な収益目的で、写真・コメント・動画などを発信している人も少なくありません。そのようなインフルエンサーを組織化し、金銭その他の経済的利益を提供したうえで、提供企業の広告的な情報を、あたかもインフルエンサー自身の自発的な評価であるかのように発信させる手法が、ステルスマーケティングです。

これは、視聴者に対し、広告であることを明確に示さず、インフルエンサー自身の体験や本音の評価であるかのように見せるマーケティング手法です。

先に述べたように、消費者は、インフルエンサーの発信が、経済的な便益を受けて行われているものかどうかを外形的に判断することが困難です。そのため、インフルエンサーの推薦によって、企業や商品に対する期待値が過度に高まることがあります。

当然、その期待値が高くなればなるほど、購買後の評価も厳しくなります。

その結果、実際の商品やサービスが、消費者の高まった期待値に適合しなかった場合、消費者は失望し、場合によっては強い批判に転じます。これが、SNS上の炎上リスクを高める要因になります。

インフルエンサーに商品やサービスに注目してもらい、それを発信してもらうこと自体は、非常に有効なマーケティング手法です。しかし、それはあくまで、商品やサービスに対する自然な関心や評価に基づく発信であるべきです。インフルエンサーに対して、確実に好意的な情報として発信することを約束させるものではありません。

好意的な投稿を獲得するために、経済的な便益を提供し、その関係性を明確にしないまま発信させる方法は、極めてリスクの高いマーケティング手法だと考えるべきです。

賢い経営者、そして長期的に成功する経営者は、消費者の信頼を損なうマーケティングを選択しません。

SNS時代のマーケティングで重要なのは、見せかけの好評価を集めることではありません。商品やサービスの価値を明確にし、賛否両論を恐れず、強く支持してくれる顧客との関係を築くことです。

URVグローバルグループでは、企業の広告・広報・Webサイト・SEO対策・SNS活用・ブランド設計を、単発の施策としてではなく、経営戦略と連動したマーケティング支援として行っています。

口コミやSNS上の評判に振り回されるのではなく、自社の強みを明確にし、選ばれる理由を設計することが、これからの中小企業経営には不可欠です。

マーケティング戦略の見直し、Webサイト改善、SEO対策、SNS活用、ブランド発信に課題を感じている経営者の方は、以下のページもぜひご覧ください。

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松本尚典(経営コンサルタント)

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