飲食業の中で、最も簡単に見えて、実は非常に難しい、「焼肉」ビジネス
1、今の飲食業経験者の多くは・・・
経営コンサルタントの本業と、副業の飲食業経験
僕は、23歳の1990年の時に、実姉の独立を支援するために、本業の経営コンサルタントの仕事に並行して、副業で飲食事業を姉と協働してスタートし、以来、今に至るまで、この副業ではじめた飲食業を拡大して参りました。
2017年に、その副業飲食業を、一旦、M&Aの形で売り抜けて、大きな資金を作りました。その後は、URVグローバルグループの事業として、飲食六次化事業を発展させてきております。
そのような経緯から、もう、34年間、飲食業の経営者として、そして、依頼を受けての飲食経営のコンサルタントとしての指導を通して、この飲食業の世界を見続けて参りました。
こんな僕を、飲食業経営に興味を持つ、多くの方が注目をされてきました。
「飲食業って、どうやって、松本さんのように副業で経営するのですか?」
「自分も飲食をやってみたいのですが、経験がなく、経営できるのでしょうか?」
こういったご質問を、過去、多くの方から頂戴してきました。
ずばり! 飲食業の経営は、それを本業にしてこなかった方に向きます
僕は、大学新卒で就職をした直後から、40歳でM&Aで飲食事業を一旦売却するまで、20年弱の間、副業で飲食事業を経営してきました。もちろん、経営コンサルタントが本業の僕にとって、飲食業の厨房で働いた経験は一切ありませんが、経営者として、8店舗で年商10億円をこえる事業を経営してきました。
そしてその間、多くの飲食事業に携わるヒトや経営者をみてきました。そして、今でも、飲食業に対するコンサルタングや直営店経営を行っています。
そのような僕の経験から、ずばり申し上げます。
飲食業の経営者の成功は、一切、飲食業で働いた経験と関係ありません。 むしろ、飲食業で働いているヒトの多くは、飲食業の経営に向きません。
逆に、飲食業の経営に成功するのは、それを本業にせずに、別の企業で経験を積んできたヒトなのです。
2、投資型事業である飲食業で成功する要素とは?
飲食事業で成功する経営者の資質は、我慢強さにある!
では、飲食事業の経営に向くヒトというのは、どんな資質を有するのでしょうか?
これを検討するためには、まず、飲食事業というのは、投資型事業であるということを押さえておく必要があります。
飲食事業の開業には、店舗が必要であり、厨房とホールという、2つのエリアで働くヒトを雇用する必要があります。店舗を借り、それを来客に相応しい店にするためには、投資が必要であり、かつ、開業後も、常に修繕と改装が必要になります。
仮に、非常によい条件の居抜き物件に恵まれたとしても、それは店としては、「中古品」であり、まともに営業をするためには、厨房設備やデザインに投資が伴います。
そして、求人をするには、一人当たり、平均で約3か月分の給与に相当する求人費用が必要です。
このようにして開業をする飲食業は、開店前にイニシャルの投資がかかる投資型事業です。したがって、開業後、その大きな投資を、まずは利益で回収してゆく必要があります。飲食業は、仕入れや人件費・広告費が非常にかかる業態であり、かつ、来客数も平均しません。そのため、税引き後利益率は、業界平均の売上高の7%程度と、非常に低い業態です。経営者が、厨房ホールで、自分が働かない限り、その経営者の取り分は、この税引き後利益となります。
従って、開業に対する大きなイニシャルの投資を回収するには、5年から10年かかります。
この回収の損益分岐点を越えてはじめて、飲食の経営者には、利益が蓄積しはじめるのです。
投資型事業というのは、このように、非常に長期的な視点で利益計画をたてなければならない「我慢強さ」が必要な事業形態なのです。
ここから言えることは、飲食事業は、外から見える姿とは全く異なり、成功するのは、我慢強さが必要な事業形態なのです。
飲食業界で働くことを希望するヒトは、最も我慢ができないタイプが多いという現実
一方で、僕の経験からみると、飲食業に転職をしてくる方や、アルバイトをする方のタイプは、
「面白そう」
「仲間とわいわい仕事ができる」
「自分はオフィスで務める仕事には向かないから」
といった、外見からの「楽しそうな」イメージをもって、飲食業に来る方が多いのです。
実際、飲食業界では、ヒトが採りにくいため、楽しい、わいわい、と言ったイメージ発信を採用広告で出しがちです。そのため、今、飲食業界で働くことを希望するヒトは、最も我慢ができないタイプが多くなっています。
残念ながら、飲食業の現実は、労働時間が長く、毎日が同じ作業を強いられ、勤務時間中は、かなり身体が疲れる仕事です。ですから、楽をしたい、楽しみたい、といった方には、向きません。それが、飲食業に就職をしたヒトが、飲食業で続かない理由です。
多少、つらい仕事でも、しっかり継続できる方でなければ、飲食業の仕事には向きません。
そして、飲食業経営も、しっかりと投資を行い、それを回収して、次の投資を続けるという、とても、根気のいる事業です。
僕が飲食事業で成功できた最大の要因は、しっかりと仕事を継続できる従業員しか採用せず、その従業員を、次の経営層に育てて店を任せ、自分も、本業で成功しながら、余剰の資金を投資し続けて、事業を拡大してきたから、です。
3、企業価値論が教える投資型事業開業の鉄則
事業家は、何を目標に、事業を成長させ、拡大させるのでしょうか?
人類が、株式会社という仕組みを16世紀末に発明して以来、大きなコングロマリットが多数、現れる中で、経営学は、こう問い続けてきました。
企業価値論は、株主に求められる際限なき要求に応えるため、経営者は、企業価値を高めるために利益を投資し続ける、という答えを導きます。
僕の「年商5億円を超えるための経営コンサルティング」という活動も、究極的には、企業価値を高める、「わかりやすい一里塚」として、年商5億という目標を、一旦掲げているに過ぎません。
個人事業主が、自分や自分の家族の家業の仕事として、毎日働き、自分の役員報酬をあげるための活動をするというレベルの活動は、株式会社の企業価値を高めるという活動と、似て非なる異質なものです。
会社のオーナーとしての株主の自分と、経営者の自分を一旦切り離し、自分の会社の企業価値を最大限高めるために、経営者としての自分が事業を進めるという領域に達した経営者だけが、「自分の会社を大きく売り上げを伸ばしたい」という目標を立てることができるのです。
このような領域に達した経営者は、利益を自分が贅沢に消費するという領域を超えて、利益を次の事業のために投資するという活動に入ります。
飲食事業は、投資型事業の典型的なものだけに、このような領域に達した経営者にとって、最適な投資案件になります。
企業価値を決定する、バリュードライバー公式は、企業価値を構成する要素が、成長率と投資収益率からのみ成り立っていることを教えます。換言すれば、企業価値を高める活動とは、既存事業のマーケティングに励んで売上高と利益を向上させる活動と、その新規事業に利益を投資して、高い投資収益をあげる活動によっていることを教えています。
僕が、長年、副業で飲食事業に取り組んできたのは、僕の本業である経営コンサルティング業によって、僕の生活費を遥かに超える利益を生み出す活動を基礎に、その生み出された利益を、投資型事業である飲食業に投資してきた活動の両立が、僕の企業価値を最大化させるからです。
飲食事業は、その意味で、本業として始めるよりも、本業で稼いでいるヒトが、その利益を更に大きくするための、投資型事業である点に、大きな価値があると、僕は思っています。
飲食事業をおおきくした事業家・経営者は、みんな、この飲食事業の特性を利用してきた方々です。
4、企業を成長させたいヒトは、投資型事業に参入せよ
事業を成長させ、売上高と利益を大きくしようとする経営者は、物販やコンサルティング・サイト制作などの代行業では、その売上に天井が見えてしまうという特徴があります。
例えば、僕は、金融系の経営コンサルタントとして、20代から経験と実績を積んできました。URVグローバルグループを創業して、10周年を迎える2024年9月現在でも、中小企業の経営支援事業や、海外進出支援事業で、20社以上の顧問先企業様をコンサルタントとして支援させていただいております。
しかし、この活動は、経営コンサルティングや海外進出コンサルティングが、僕の人生のライフワークであることから、一貫して実行させていただいておりますが、その売上規模は、年商3000万円程度にしかなっておりません。URVグローバルグループ全世界の法人の売上高は、日本円換算で33億円を突破していますので、コンサルによる売上は、全売上の0.1%にも達しません。
コンサルという仕事は、非常にやりがいがあり、楽しい仕事ではありますが、それは、僕個人の身体と時間の制約にされるがゆえに、売上が伸びる事業ではありません。
URVグルーバルグループの企業としての売上をおおきく稼ぎ出しているのは、製造業や飲食事業・貿易事業などの投資型事業です。
飲食事業は、企業の売り上げ規模を大きく伸ばしたいと考える経営者にとって、非常に優れた事業であることは、間違いありません。
本業で利益をあげ、その利益を投資して、事業を大きく成長させるためには、飲食事業は、やり方を間違えない限り、非常に有効な事業なのです。
5、厨房人材との提携・ホール人材の確保ができれば、飲食業は未経験経営者でも投資ができる
飲食事業の経営とは、飲食を個人事業で営むこととは全く別です。
サラリーマンをやっている方が、飲食で独立をしようとするのは、小さい店を借り、そこの厨房に自分で立って、酒や料理・飲み物を出す個人経営の飲食業が多いのです。
この形態は、個性的な料理や、独自の接客・来客層の人脈など、個人の力量によって収益状況がかわりますが、顧客単価が安く、客数も制限されるだけでなく、店の回転率も非常に悪いため、売上が非常に低くなります。飲食業の場合、その商品原材料が食材という、耐久期間が非常に短いものであるため、売上が低い店の仕入れ原価は、結果的に非常にあがります。そのため、このような小規模飲食店は、売上も利益率も悪く、結果的に、低利益事業となります。
そうなると、オーナー事業主は、ロスの食材を、食べているだけの事業に陥ってしまうのが、普通です。
道楽で、飲食をやるのでない限り、この手の事業は、絶対に継続しません。
飲食事業で利益をあげるためには、経営者が自分で厨房にたったり、ホールでサービス提供をする形態の事業ではなく、厨房人材とホ-ル人材の人件費を支払っても利益が出る形態の事業に投資し、その利益を再投資して、店を拡大する形態をとるべきなのです。
この形態の飲食業の経営者には、厨房経験も、ホールサービス経験もいりませんし、むしろ、有害です。
飲食事業の場合、未経験者で経営能力があるヒトほど、事業を大きくできるのは、このような事業構造によっているのです。
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