意外に重要な経営者の仕事は、資金調達のための銀行との関係構築! 

松本尚典

松本尚典

テーマ:資金調達 レバレッジ 創業融資 連帯保証



1、資金調達力は、売上利益向上力とともに、経営者の力量の車の両輪


中小企業の経営者の力量は、二つの要素の関数だと僕は思っています。


売上をあげて、原価や経費を管理し、利益を出すチカラ
事業を運転し、新規事業に投資する資金を調達するチカラ


自分のビジネスの構想をたてて、商品・サービスを販売し、資金を管理して利益を出すチカラは、わかりやすい経営の力量だと思います。

しかし、これだけでは、実際、企業は健全に存続しません。

事業には、常に先行するキャッシュアウトが伴い、企業には固定経費が発生します。そのため、これを健全に賄うには、利益管理以前に、流動性管理、つまり現金の管理が不可欠であり、その調達能力が必要です。

売上と利益をあげるチカラと、資金調達のチカラは、経営者の力量の車の両輪をなすものです。

2、投資を受ける調達に向く企業 融資を受ける調達に向く企業


経営者が行う資金調達には、純資産に投資を受ける方法と、融資を受ける方法があります。

どちらが優れた資金調達法であるか、という問題ではなく、経営者の企業経営の最終目的によって、どちらを選択するかを決めることになります。

第三者から資金を調達する方法を進めるには、投資ファンドや事業会社から投資を受けることになります。当然、投資を受けるということは、資本の持ち株を渡す必要があり、会社の役員選任を含む意思決定の権限を投資家に渡すことになります。非公開会社に投資する投資家の目的は、エグジットとしての株式公開またはM&Aによる売却となります。したがって、第三者からの投資を受ける場合、最低でも、10年以内に売上高を20億円以上で最終利益率が売上高の10%以上を出せる規模に上昇させられる事業である必要があります。これができなければ、投資家は、投資失敗として、経営者の交代を要求するか、会社を第三者に売り抜けて捨てていきます。

現在、東京証券取引所は、プライム市場の企業を大きく絞っており、スタンード以下の市場に、従来の一部上場企業が、今後、落ちてきます。したがって、今後の株式公開は、2000年代のはじめのような安易な基準で、行えるわけではありません。

一方、融資を受ける方法は、上記のような上場やM&Aでエグジットを目指すような企業でなく、オーナー社長が、会社を自分のものとして経営をしてゆく会社に向く資金調達方法です。

多くの日本の中小企業は、こちらの資金調達法に向くということになります。

そこで、以下は、銀行からの融資による資金調達について、経営者がそれを行うための要件について、書いて参ります。

3、銀行からの融資のポイントは、「借り戻し」の可否にある


企業に対する銀行融資で、個人の住宅ローンなどと最も違う点は、通称「借り戻し」と呼ばれることを行うことができるかどうか、という点です。

この点は、意外に、どこの経営のノウハウ本にも書いてありません。「借り戻し」とは、銀行が企業に事業融資を行い、企業が遅延なく返済を続けていく場合、融資が完済されていなくても、返済済の枠を、最初の借入額まで戻して借りることができることです。

借り戻しの実務例

例えば、3000万円の融資を銀行から受け、元本返済を毎月50万円ずつ行っていて、2年間返済を滞りなく続けたとします。そうすると、2年目で、借入金の元本は、1200万円返済されて、1800万円まで圧縮されています。

この時点で、借り戻しを行う場合、銀行は、再度、3000万円の貸し付けを行い、その実行日に、残金1800万円を一括返済する手続きを行います。そうすると、借入企業は、元本返済50万円という条件は変わらずに、資金を1200万円新たに調達できたことになります。


現在の日本は、超低金利であり、かつ本社を置く自治体によっては、金利をすべて自治体が支払ってくれる制度がありますので、実質的には、企業の借入金に、金利がかからない調達が可能です。そうなると、返済期間を延ばすだけで、返済の資金を再調達することができるのです。

企業というのは、ゴーイングコンサーンであり、個人のように命があるわけではありません。事業承継を適切に行えば、100%オーナ-社長であっても、個人のローンのように、オーナー社長がすべて返済する必要はありません。これは、個人保証をオーナーが行った場合でも同様です。

そのため、借入期間を延ばし続けることで、返済分の資金調達をノーコストで行うことができる借り戻しは、中小企業の経営者の、極めて重要な資金調達手段なのです。

4、「政策金融公庫から借ります」で、今後の経営は大丈夫?


会社を新たに創業した経営者が借入を検討する場合、政策金融公庫をはじめとした公的融資を検討すると思います。

確かに、公的融資は、個別の銀行融資のように、銀行との個々の取引がなく、銀行との関係が薄い段階では、有効な資金調達法です。

しかし、公的融資の場合、銀行との借入返済実績による、信用の積み上げができないため、借り戻しに応じてくれる可能性が非常に限定されてしまうことを忘れてはなりません。

地銀や信用金庫の中には、今でも、企業別の担当者をつけ、日常的に担当者との間で、情報交換を行うことができる体制をとっているところがあります。銀行が主催する企業の会などに入ったり、保険や証券の運用などを銀行で行って、担当者が成績をあげることに協力すると、担当者は、こちらに有益な情報の提供をしてくれたり、融資の手続きに、しっかりしたアドバイスをくれたりします。

こちらの資金調達に対して、銀行内で審査が通しやすいようにアドバイスをくれることもあります。そして、借り戻しの手続きにも積極的に応じてくれます。

このような銀行を見つけ、その銀行との信用関係を厚くしてゆくことが、資金調達の大きな力になります。

個別の銀行との取引を厚くすることで、公的な融資にない、大きなメリットを銀行から引き出すことも、また経営者の実力なのです。

5、銀行との関係を構築する重要なポイント


このように銀行との関係を構築することは、重要な経営者の仕事なのですが、その関係構築の方法というのは、通常の取引先などと、少々異なります。

銀行の支店長や担当者は、取引先との関係癒着を防ぐため、定期的に必ず異動があります。一つの支店で勤務する期間は、おおよそ、3年です。したがって、支店長や担当者と個人的な人間関係を作っても、それは、銀行との関係構築には繋がりません。



銀行との関係構築ポイント
・借入金や金利返済は、必ず期日に満額行うこと
・決算後、税務申告をしたら、必ず、銀行の担当者とアポをとって訪問し、決算報告をすること
・当方の業績や、今後の事業戦略を明確に担当者に報告を続けること
・会社の現金や、オーナー社長の資産のうち、余剰資金を当該銀行の口座に預金し、証券や債権投資・生命保険などを、その銀行を経由して行うこと
・銀行が主催する企業の会などの加盟すること


このようなことを行うことで、銀行による与信が確実にあがり、その結果、こちらに資金が必要なときに、機動的かつスピーディに、資金を融資してくれる関係が、支店長や担当者が変わっても、構築することができるのです。

URVグローバルグループの各社でも、このようなポイントの積み重ねで、今では、資金が必要になると、借り戻しなどの返済原本がアップしない手法で、即、融資を決定してもらえる状態になっています。

6、関係構築ができやすい銀行を選ぶ視点


一方、現在の日本の銀行は、日銀の超低金利政策への移行後、収益の基本であった金利での利益が減少し、人員の削減や店舗縮小が相次いでいます。また、ネットバンキング専門銀行も多数登場しています。

ネットバンキング専門銀行との取引の意味


結論から言うと、企業にとって、ネットバンキング専門銀行との取引の意味は、ほとんどありません。

まず、ネットバンキング専門銀行は、創業間もない企業の口座開設が、実は、メガバンクよりもしにくいのです。よく、創業間もない企業の経営者が、メガバンクでは口座が開設できないと思い、ネットバンク専門銀行なら、より法人口座を開設しやすいと思い込んでいることがありますが、そんなことはありません。

また、手数料が優遇されていると思い込んでいる経営者もいますが、銀行の手数料は、サービス内容によって許認可制であるため、サービス内容が同じであれば、手数料は変わりません。

そして、ネットバンキング専門銀行は、担当者がつくことはありませんから、融資が非常に硬直的です。

しかも、ネットバンキング専門銀行の口座を取引先の振込口座に指定すると、大手企業からの信用がえられないという、企業にとって、「いいことが何もない」のが、ネットバンキング専門の銀行です。

メガバンクは取引先との入金・出金口座としては不可欠


メガバンク3行のうち、いずれかの普通預金口座は、取引先との取引では必須です。

しかし、メガバンクが担当者をつけてくる企業は、相当な規模の企業に限ります。売上高が、10億円程度の企業には、今は、メガバンクでは担当がつきません。そのため、融資の融通はききませんし、借り戻しにも、ほとんど応じてくれません。

当座預金を保有し、貸し越し融資契約ができる企業であれば、メガバンクは非常によいのですが、そうでない企業の場合、融資などでは、メリットはありません。

関係を深めるべき銀行を知る方法


では、経営者が関係を構築するべき銀行は、どのように選べばよいのでしょうか?

基本は、地域密着型の銀行や信用金庫で、担当者を中小企業にもしっかりつける方針の銀行、という条件で選びます。

では、そのような銀行が、どこの銀行なのか、どうすればわかるでしょうか?

最もよいのは、地域の法人会や商工会の交流会などで知り合う、その地域で長く経営をされている経営者の方などに、銀行の評判をお聞きすることです。

そのような企業の経営者の方から、銀行を紹介してもらうのも、よい方法です。

地域で長く経営をされている経営者の方は、その地域で一番、中小企業の立場に立って動いている銀行を、よくご存知です。こうした経営者の方からいただく情報が一番信頼できます。

このような銀行をご紹介いただき、その銀行としっかり関係を構築するのが、最終的に、資金調達で成功することに繋がります。


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松本尚典
専門家

松本尚典(経営コンサルタント)

URVグローバルグループ 

経営者の弱みを補強して売上を伸ばし、強みをさらに伸ばして新規事業を立ち上げるなど、相談者一人一人の個性を大切にしたコンサルティングで中小企業を成長させる。副業から始めて、独立で成功したい人も相談可能。

松本尚典プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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