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松本尚典

年商5億円の壁を突破したい社長のための経営コンサルタント

松本尚典(まつもとよしのり) / 経営コンサルタント

URVグローバルグループ 

コラム

企業の資金調達入門! レバレッジという発想を知ることから、はじめよう

2021年4月9日 公開 / 2022年9月20日更新

テーマ:資金調達 レバレッジ 創業融資 連帯保証

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 資金調達プロ資金調達 方法事業計画書


企業の資金を借入で調達する


企業の資金を借入(デット)で調達する方法は、その目的によって、設備投資資金の調達と運転資金の調達、に分かれます。

※デットファイナンスに関する説明は、成長する企業のための資金調達法をご覧ください。

設備投資資金の調達の場合、必ず銀行から、その設備の見積もりや工事の見積もりを要求され、資金の払い込みまで確認されます。用途が限定されていますが、他方、その後の売上げの直接の源泉となるので、比較的、大きな金額の資金調達が可能となります。

一方、運転資金の調達は、その利用の用途が限定されておりません。過去3年の業績(貸借対照表と、納税のための申告資料から判断されます)と、事業計画による、借入能力が判断されます。

企業が経営をしていくうえで、運転資金は不可欠なものです。企業経営の理想は、常に利益が生み出すキャッシュで、企業の運転資金を賄うことですが、そのようなことは、ほぼできません。月末の月次決算時点で、会社の売上の2~3か月分のキャッシュを現預金に持っていなければ、企業は流動性破綻の可能性が出てしまうので、これを、借入金で賄うことは、決して悪いことではありません。

しかし、他方で、資金の運転を借入に依存しすぎることは、非常に危険な経営です。経常的に営業利益に赤字が続き、借入金を月次のキャッシュフローにあわせるために使い果たすということは、必ず近いうちに、キャッシュがショートし、返済が不能となってしまいます。

このような状態で、借入を更に増やすことは、仮に一時的に資金が借り入れられたとしても、そのような経営が長く続けられるわけではありません。銀行は、いつか、貸し付けを止め、回収を早めてきます。

一般に、金融の世界で言われている運転資金の調達という方法には、企業のキャシュフローを維持するための資金借入の他、事業投資のための借入を含んでいます。寧ろ、積極的に活用すべきは、この事業投資のための借入です。

そして、その事業投資のための借入を行う場合、資金調達戦略で欠かせない発想が、レバレッジという考え方です。

レバレッジとは何か?


では、ここで、レバレッジという言葉の意味を解説いたしましょう。

あなたが、事業を行うために、会社を設立したとします。資本金を300万円とし、会社設立時に払い込みをしたとしましょう。この資金を元手に、会社をスタートします。

一方、この資金だけではとても足りそうにないため、銀行から700万円の創業融資に成功したとします。

そうすると、この事業の元手は、資本金、つまり純資産の部に計上される現預金資産と、長期借入金という勘定科目で負債の部に計上される現預金資産、合計で1000万円の現預金資産となります。

さて、この現預金を元手に、あなたは商品を仕入れ、その他の販売費および一般管理費を使って、売上をあげます。その結果、1年後の決算時に、あなたの会社の売上が500万円となり、仕入れや、あなたの役員報酬を含む販売費及び一般管理費の合計が450万円になったとしましょう。

そうしますと、あなたの会社の年間の営業利益は、50万円となります。

この50万円は、あなたが一生懸命働いた結果、残った利益です。しかし、他の見方をすれば、スタート時点の元手である1000万円を会社という装置の中で運用して、得た利益と考えることもできます。

このような観点から、事業の元手資金をベースに、年間にどれだけの利益を稼ぐことができたか、という指標が、資産利益率です。1000万円の資産で、50万円の利益を稼ぐことができたわけですから、資産利益率は、5%ということになります(50万円÷1000万円=5%)。

しかし、一方、この元手のうち、株主持ち分、つまり、あなたが出資した持ち分は、資本金(会計では、これを資産と区別して、純資産と呼びます)である300万円です。そうすると、あなたの出資した元手がどれだけの利益を稼ぐことができたかという指標、純資産利益率は、16.7%に上昇します(50万円÷300万円=16.7%)。

純資産利益率が、資産利益率を大きく上回りましたね。何故でしょうか?

そう、これは、借入金の効果です。自分の出資した資金は300万円しかないのですが、これが700万円の借入金を借りることで、仕入れや販売費及び一般管理を大きくすることができ、その結果、事業が大きく成長して、より多くの利益が残ったのです。

この効果を生み出す仕掛けが、レバレッジです。

恐れるのは、社長個人の連帯保証ではなく、借入金の使い道だ


借入金というものは、投資を受けいれるように、「経営の支配権を譲り渡す」ことがないかわりに(つまり、投資を受けいれるということは、相手の都合のよいように事業を利用されることを意味します)、元本を返済しなければなりません。

したがって、消費をするために借入金によって入手した資金を使用することは、厳に慎まなければなりません。借入金で得た資金は、事業投資に回し、その金利を上回る利回りで投資から利益を回収できるのでなければ、非常に危険なのです。

よく、事業の借入金に、社長の連帯保証をとられることを恐れる方がいます。しかし、恐れるのは、社長個人の連帯保証ではなく、金利を上回る利回りで投資から利益を回収できないこと、すなわち、事業計画が甘いことです。

先ほどの例で言うならば、資産利益率が5%で運用できているわけです。現在は、超・低金利時代ですから、創業の信用がまったくない企業でも3%程度、事業実績がある企業であれば、1%未満の低金利で資金調達が可能です。このような状態であれば、資産利益率が5%あれば、純資産に対するレバレッジを大きくして、借入金で資金調達し、事業に投資すれば、自分の貯蓄が少なくても、大きな利益をえることができます。

つまり、おカネ持ちの社長が、儲かるのではありません。

ディティールまで考え抜かれた事業計画があり、それを実行するチカラがある社長が、自分の信用力を最大限活用して、レバレッジを効かせて資金を借り入れで調達し、投資ができることが、儲かる条件です。


連帯保証を恐れているという社長は、自分の事業計画に自信がなく、借入た資金を投資でなく、消費に浪費して、逃げ道を確保しておきたいヒトです。

それでは、事業は絶対に成功しませんし、そういう借入の仕方では、必ず、いつか破滅してしまいます。

充分、気を付けてください。

エクイティファイナンスを活用する


本稿の目的は、デットファイナンス、つまり借入の際の考え方を説明することにありました。

一方、借入は、レバレッジをかけて利益を生み、そこから利息を付して返済をする必要があります。結局は、利息を払って、返済をする資金調達です。

そこで、返済をしなくてよい資金調達、つまりエクイティファイアンスに、中小企業の経営者はもっと注目をしなければなりません。

日本の経営者は、世界的にみて、非常に、エクイティファイアンスが下手であると言われています。アメリカのシリコンバレーの経営者は、エクイティによる資金調達に、非常に積極的でうまく活用をします。

このエクイティファイアンスの最も利用的な方法は、ベンチャーキャピタルや、投資意欲の高い大企業から、投資を受ける方法です。僕が投資をして経営する、URVグローバルグループの、株式会社URVプランニングサポーターズでは、この方法を、「成長企業M&A」
と呼んでいます。

成長企業M&Aとは?


今、日本では、M&Aというのは、事業承継をする年齢が高い経営者が、従業員の引き取り先を探す手法として、主に使われています。

しかし、アメリカでは、M&Aという手法は、成長する企業がその資金を調達する手法として、主に使われています。もちろん、M&A後、社長である経営者は、代表取締役を続けます。

資本と経営の分離がしっかりしているアメリカでは、チカラのある経営者は、大企業や投資家から、どんどん資金調達を受け、その資金を返済せずに、利益から配当だけを投資家に配り、事業を拡大するのです。

これから、日本でも、この成長企業M&Aが大きくなると僕は思っています。

URVグローバルグループが提供する成長企業の資金調達法
成長企業M&A

https://urv-group.com/services/consulting/growing-manda/

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