副業から独立へ ~本気の人への伝言マガジン~ 僕自身が副業から独立し、企業経営者へ そして企業グループのCEOへ至った道筋
1、独立起業で成功するヒトを突き動かすのは、カネ?名誉? それとも?
「松本さんは、なぜ大きな企業で役員をしていたのに、あえて独立したのですか?」
私は、これまで何度も、この質問を受けてきました。
私自身は、独立する以前から長年にわたり、自分の資金を投じて事業を育てていました。
本業では、経営コンサルタントとして企業経営に関わり、その後は複数の企業で役員として経営に携わりました。
一方で、その仕事とは別に、自ら事業を立ち上げ、人を採用し、店舗を増やし、利益を再投資し、経営者として会社を育てていました。
そして2017年、勤めていた企業の取締役を退任し、本格的に独立しました。
その後は、それまでに培った資本、経営経験、人材、海外ネットワークを基盤として、URVグローバルグループを国内外へ展開してきました。
外から見れば、
「そこまでして、なぜ独立する必要があったのか」
と思われるかもしれません。
安定した報酬。
役職。
大企業の経営資源。
社会的な信用。
それらを持っている状態から離れ、自分で資金を出し、損失のリスクを負い、人を雇い、会社のすべての責任を自分で引き受ける。
経済合理性だけを考えれば、独立しないという選択にも、十分な合理性があります。
それでも、人はなぜ独立するのでしょうか。
お金を稼ぎたいから。
自由になりたいから。
社長になりたいから。
自分の名前で仕事をしたいから。
もちろん、そのような動機もあるでしょう。
私自身にも、さまざまな個人的な動機がありました。
しかし、長年、多くの経営者と仕事をし、自分自身も事業家として歩いてきた現在、私は、それだけでは説明できないものがあると思っています。
それは、
「自分は、自分の人生で、この仕事をやるべきだ」
という、自分自身の内側から生まれる使命感です。
使命という言葉を使うと、少し大げさに聞こえるかもしれません。
しかし、ここでいう使命とは、誰かから与えられた特別な役割という意味ではありません。
自分が経験してきたこと。
身につけてきた能力。
乗り越えてきた問題。
出会った人。
社会の中で感じた課題。
そして、自分がこれから何を成し遂げたいのか。
これらが積み重なる中で、
「自分は、これをやる」
という意思が形成されていく。
私は、それを経営者の使命と考えています。
今回のコラムでは、私自身が独立へ向かった経験を振り返りながら、経営者をリスクのある事業へ向かわせるものについて考えてみたいと思います。
2、「運命」と「宿命」
皆さんは、運命と宿命という二つの言葉を、どのように使い分けているでしょうか。
私は、自分自身の人生を振り返るとき、この二つを分けて考えています。
・宿命
人間には、自分では選ぶことのできないことがあります。
いつ、どこで、どの家庭に生まれるのか
過去に起きてしまった出来事そのものを消すことはできない
こうした、自分の意思だけでは変更できない条件を、私は宿命と考えています。
私自身、高校生の時、父親が経営していた会社の倒産を経験しました。
家庭の経済環境は大きく変わりました。
高校生だった私が、それ以前に戻って出来事そのものをなくすことはできません。
しかし、その後、自分がどう行動するかは選ぶことができます。
私は高校へ通いながら働き、その後、大学へ進学しました。
振り返れば、この時期に働き始めた経験が、後の私の経営者人生の原点の一つになっています。
人生では、自分が望まない出来事も起こります。
経営でも同じです。
大口顧客が突然離れる。
信頼していた社員が退職する。
海外で制度が変わる。
為替が動く。
感染症や災害によって市場が止まる。
どれほど優れた経営者でも、自分の力だけでは防ぐことのできない出来事があります。
・運命
一方で私は、その与えられた条件の中で、
「次に自分が何をするか」
によって変えていくことのできる未来を、運命と考えています。
起きてしまった出来事は変えられない。
しかし、その出来事にどう対応するかは、自分で決めることができます。
これは、経営にもそのまま当てはまります。
景気を経営者が決めることはできません。
人口構造も、自社だけでは変えられません。
法律や規制が変わることもあります。
競合企業が何をするかも、自分では決められません。
しかし、
どの市場へ進むか。
どの商品をつくるか。
誰を採用するか。
何へ投資するか。
どの事業から撤退するか。
海外へ進出するか。
M&Aを行うか。
こうしたことは、経営者自身が決めることができます。
経営とは、自分では変えることのできない環境条件を受け入れながら、自分が変えられるものに資源を集中し、未来を変えていく仕事だと私は考えています。
3、「運命」を変えようとするヒトは「使命」を自覚して動く
では、人はなぜ、不利な環境に直面しても、そこで立ち止まらず、次の行動を起こすのでしょうか。
私は、その原動力の一つが、自分なりの使命の形成にあると思っています。
・使命
私の考える使命は、最初から完成した形で存在するものではありません。
20歳の自分と、40歳の自分と、現在の自分では、当然、考えていることも違います。
経験を積む。
成功する。
失敗する。
責任を負う。
人と出会う。
自分の能力を知る。
自分にできないことも知る。
そうした経験を重ねる中で、自分が何をしたいのかが、少しずつ明確になっていきます。
私自身も、最初からURVグローバルグループをつくるという完成した設計図を持っていたわけではありません。
小さな事業へ投資するところから始めました。
その事業を育てました。
人を任せることを学びました。
経営コンサルタントとして多くの企業を見ました。
金融を学びました。
海外で仕事をしました。
企業経営に携わりました。
M&Aを経験しました。
そして、それまでの経験と資本を組み合わせ、自分自身の会社を本格的に育てることを決めました。
つまり、使命とは、ある日突然、天から降りてくるものではないと私は考えています。
自分が経験してきたことと、自分がこれから実現したい未来を結びつけることで、徐々に形になっていくものです。
経営者も同じです。
創業時には、生活のためだった事業が、社員を雇えば、社員とその家族に対する責任を持つ事業になります。
顧客が増えれば、その顧客に対する責任が生まれます。
会社が大きくなれば、取引先、金融機関、地域社会に対する責任も大きくなります。
経営者の使命も、会社の成長に合わせて変化していくのです。
4、「使命」をヒトに与えるものは、「カミ」でも「科学」でもない
使命という言葉は、宗教的に語られることがあります。
一方で、経営の世界では、企業理念、パーパス、社会的意義という言葉で語られることもあります。
しかし、私は、起業家が事業を始める動機を、きれいな言葉だけで説明する必要はないと思っています。
起業する動機は、人それぞれです。
経済的に豊かになりたい。
自分の力を試したい。
会社員ではできない仕事をしたい。
誰かに指示されず、自分で意思決定したい。
家族を守りたい。
自分の商品を世の中へ出したい。
海外で仕事をしたい。
既存の業界を変えたい。
こうした個人的な欲求から事業が始まることも、決して不自然ではありません。
私自身も、起業した動機を、すべて社会貢献という言葉だけで説明するつもりはありません。
自分自身で事業をつくりたい。
自分の判断で資本を動かしたい。
世界で事業をしたい。
自分が学んできた経営を、自分自身の会社で実践したい。
こうした非常に個人的な思いも、私を動かしてきました。
ただし、ここには重要な境界があります。
事業を始める動機は個人的なものであってもよい。
しかし、事業を継続させるためには、必ず顧客や社会に価値を提供しなければならない。
これは、私自身が経営を続ける中で強く感じてきたことです。
経営者がどれほど強い夢を持っていても、お客様が代金を支払う価値がなければ、会社は存続できません。
社員がそこで働く意味を感じられなければ、組織は育ちません。
取引先から信用されなければ、商売は続きません。
金融機関や投資家から信頼されなければ、大きな投資もできません。
したがって、起業家の個人的な使命と、企業が社会へ提供する価値は、別のものではあっても、事業が成長する過程で重なっていく必要があります。
私は、そこに、経営者が単なる自己実現から企業経営へ移っていく重要な転換点があると思っています。
5、「力への意志」という考え方
経営者を行動へ向かわせる内面的な力について考えるとき、私は、哲学者ニーチェの「力への意志」という考え方を、一つの補助線として興味深く感じています。
ただし、「力への意志」は、単純に、
「他人より強くなりたい」
「他人を支配したい」
という意味ではありません。
ニーチェ研究においても、その意味にはさまざまな解釈があります。
私は、経営者という立場からこの言葉を見るとき、
困難や抵抗を乗り越え、自分自身の能力や可能性をさらに広げていこうとする意志
として理解しています。
経営をしていると、問題がなくなることはありません。
一つの問題を解決すれば、会社が成長したことによって、さらに大きな問題が現れます。
一人で仕事をしていたときには存在しなかった人材問題が生まれる。
社員を増やせば、組織問題が生まれる。
売上が増えれば、資金繰りや管理体制の問題が大きくなる。
国内で成功すれば、次に海外市場へ進むかという判断が生まれる。
新規事業を始めれば、投資リスクが生まれる。
つまり、会社を成長させるということは、問題から逃げることではありません。
より大きな問題を解決できる経営者へ、自分自身を変えていくことでもあります。
私は、経営者を突き動かすものの一つは、ここにあると思っています。
今の自分で満足するのではなく、
「もっと大きな仕事ができるのではないか」
「もっと大きな組織をつくれるのではないか」
「もっと多くの顧客に価値を提供できるのではないか」
「もっと世界へ事業を広げられるのではないか」
と考える。
その欲求が、経営者を次の成長段階へ向かわせます。
6、起業家が、何故、リスクを冒して、独立をするのか?
では、なぜ人は、安定した地位や収入を持っていても、リスクを取って独立するのでしょうか。
私は、それを一つの理由だけで説明することはできないと思っています。
お金。
自由。
自己実現。
家族。
悔しさ。
自分の能力を試したいという思い。
社会の中で実現したいこと。
さまざまな動機が重なっています。
そして、それらの経験を重ねるうちに、
「自分は、この事業をやる」
という使命感が形成されていく。
さらに、その使命を実現するために、現在の自分の能力を超えて成長しようとする。
私は、自分自身の経営者人生を振り返ると、その繰り返しだったと思います。
ただし、ここで一つ、現在の私だからこそ言えることがあります。
起業する勇気と、会社を成長させ続ける能力は、別のものです。
会社をつくるだけなら、一人でもできます。
しかし、会社を成長させるためには、
利益を出す。
資金を管理する。
人を採る。
人へ仕事を任せる。
組織をつくる。
顧客を増やす。
商品を変える。
新規事業へ投資する。
場合によっては事業から撤退する。
こうした経営判断を、何年、何十年と積み重ねなければなりません。
私自身も、独立した瞬間に現在の会社ができたわけではありません。
小さな事業から始め、利益を次の事業へ投資し、人材を増やし、国内から海外へ事業を広げ、失敗や撤退も経験しながら、現在のURVグローバルグループをつくってきました。
その経験から、私は、経営者に必要なのは、リスクを恐れないことではないと考えています。
リスクを理解したうえで、それでも進む価値があると判断したところへ、自分の資本、時間、人材を配分し、結果が出るまで責任を負い続けること。
これが、経営者が持つべき「意志」だと私は考えています。
現在、すでに会社を経営し、
「この規模のままでよいのか」
「自分一人の力では、これ以上会社を大きくできない」
「新しい事業へ進むべきか迷っている」
「人へ権限を渡し、組織経営へ移行したい」
「年商1億円、3億円、5億円と、次の成長段階へ進みたい」
と考えている経営者の方にとっても、本質は同じです。
会社の成長には、必ず、現在の延長線上にとどまるのか、それとも次の段階へ進むのかという選択があります。
その選択をするときに必要なのは、勢いだけではありません。
自分がどのような会社をつくりたいのか。
何を実現したいのか。
そのために何を変えなければならないのか。
何に投資し、何をやめるのか。
そして、自分自身が、どのような経営者へ変わらなければならないのか。
ここまで考えることが必要です。
私の経営コンサルティングでは、経営理論だけをお伝えするのではなく、自ら事業を立ち上げ、人を採用し、組織をつくり、M&Aを経験し、海外へ事業を展開しながら企業グループを育ててきた経営実務を基礎に、オーナー経営者の次の成長段階を支援しています。
起業した会社を、次の規模へ成長させたい。
経営者自身の努力だけで成長する会社から、組織が成長を生み出す会社へ変えたい。
そのような経営課題をお持ちの方は、松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングをご覧ください。
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