企業の存続に不可欠な、マーケティングとイノベーションとは?
目次
3、獲得率が、常に歩留率を追い越していれば、必ず成長戦略は実現できる
4、獲得率や歩留率が高いのに、成長が止まる企業は、商品ライフスサイクルが終わりに近い
1、右肩あがりの成長を出せる企業の構造
事業を行う経営者であれば、誰もが「右肩あがり」の成長を遂げることを目指すでしょう。
しかし、実際に、右肩あがりの成長を出せる企業の構造に、自分の会社を作っている経営者は、極めて少数です。
「右肩あがり」の成長を出せる企業には、共通の構造があります。その構造を作らずに、やみくもに売り上げを追求しても、売上はどこかで谷底を経験し、その谷底で資金ショートを起こして、事業が岩礁に乗り上げます。
成功する事業家は、売上高を闇雲に追うのではなく、右肩あがりの成長を実現できる構造を、自分の会社や事業に仕込むのです。
どんな業界の企業でも、その構造とメカニズムは共通なのです。
この構造の鍵を握るキーワードは、2つ。
歩留率と、獲得率という言葉です。
2、歩留率と獲得率の関係を知ろう
まず、歩留率とは、最初に購買をした顧客に対する、リピーターとして再購買をする顧客の百分率を言います。
獲得率とは、購買顧客数に対する新規顧客の獲得数の百分率を言います。
ケース1
例えば、顧客が1回しか購買せず、誰もリピーターとならないビジネスの場合、歩留率は、ゼロとなります。このようなビジネスの場合、売上は、すべて新規顧客の獲得で構成しなければならず、獲得率が常に100%以上なければ、売上は維持または成長できません。もし、ある時に、獲得率が90%となってしまった場合、価格が変わらなければ、売上は自動的に、10%落ち込んでしまいます。
ケース2
一方、1回購買した顧客がすべて翌月に2回めの購買をするビジネスの場合、歩留率は100%となります。このようなビジネスの場合、翌月の獲得率が0でも、価格が変わらなければ、売上は100%となります。もし、翌月に獲得率が10%となれば、売上は110%に成長します。
上記のケース1と、ケース2からわかる通り、売上は価格が一定の場合、歩留率と獲得率の関数で構成されることになります。
3、獲得率が、常に歩留率を追い越していれば、必ず成長戦略は実現できる
会社や事業の成長率は、どんなビジネスモデルでも、歩留率と獲得率の関数で導くことができます。簡単に表現すれば、獲得率が、常に歩留率を追い抜いていれば、会社は成長を続けることができます。
実際のマーケティングでは、歩留率をあげるほうが、獲得率をあげるよりも、低コストで実行できる場合が多いのです。
歩留率の上昇は、商品の顧客目線での改善や、リピーター顧客に対する割引価格戦略、サービスの向上などで図ることができます。1回目の顧客は、目の前にいるわけですから、その顧客満足度を高め、その顧客が再度購買するようにすることは、非常に見えやすいのです。
一方、獲得率は、まったく見えない潜在顧客を設定し、そこに向けて、広告やSEOを行い、プロモーションで1回目の顧客にしてゆかねばなりません。顧客側も、2回目の購買よりも、1回目の購買のほうが、敷居が高いのが一般です。
アーリーステージのビジネスでは、購買顧客総数が少ないのですから、まずは、マーケティングに投資して、購買顧客総数をあげて獲得率をあげることを目指すべきなのです。そして、購買顧客が積みあがる段階で、獲得率向上から、歩留率向上へ、マーケティングの方法をシフトすべきなのです。そうすると、マーケティングコストが低下し、利益率が向上します。
4、獲得率や歩留率が高いのに、成長が止まる企業は、商品ライフスサイクルが終わりに近い
新規顧客獲得のマーケティングに大きな予算を割き、高い獲得率を確保しているにもかかわらず、売上の成長が獲得率よりも鈍化している企業や事業は、、価格(顧客単価)が落ちていることが、主な原因となります。
また、歩留率でも同じことがいえます。歩留率をあげようとして、リピーターに対する値引きに重点を置くマーケティングを行いすぎると、高い歩留率の割には、成長が止まります。
このような価格が下落している場合、競合との競争の激化が主な原因となります。競合との価格競争が激しくなったのは、商品ライフサイクルの成熟化が進行しているためです。
商品・サービスが長年にわたって売り続けられれば、消費者はその商品・サービスに飽きて需要が減退し、競合が参入して供給が増えます。供給が需要を追い越して、過多となっているのが、商品ライフシクルの成熟化です。
この状態に至ったと把握した場合、経営者は、マーケティングと同時に、イノベーションを行い、新規の商品開発や新規事業の創出に出なければなりません。利益があるうちに、イノベーションに投資し、アーリーステージの商品・サービスや事業に参入をする必要があります。
5、成熟市場で、顧客単価をあげる施策 「もう一皿食べてもらう」発想
ただし、イノベーションは、簡単にできることではありません。マーケティングよりも、ずっと、経営戦略の基礎にかかわる問題であり、そこには、相当な熟慮と検討が必要になります。
そこで、イノベーションを図りながら、成熟化する市場の中でも、顧客の単価を維持または向上させる、比較的簡単な方法を、一つ、ご紹介しましょう。
それは、「もう一皿たべてもらう」戦略と僕が呼んでいる方法です。
一番わかりやすいのが、回転すしの店を想像してもらえればよいのです。回転すし店の主力商品は、当然、寿司です。商品としての寿司の質や価格をしっかり見据えることが、マーケティングミックスの基本となることは、いうまでもありません。
しかし、顧客は、回転すし店に来たからと言って、寿司だけをたべるわけではありません。スシローが、老舗である元禄寿司をはるかにしのぐ成長をした理由は、元禄寿司が寿司だけを商品として位置付けたことに対し、スシローは、デザートやラーメンなど、女性や子供に「もう一皿食べてもらう」ことに注力をしたことが大きな要因です。これが、スシロ-の顧客単価を引き上げました。スシローが、元禄寿司をはるかに超えて成長した理由の一つが、「もう一皿食べてもらう」戦略です。
企業の売り上げというのは、それが10%向上した場合、元の100%部分の利益率に比べ、格段に利益率があがるという特徴があります。
それは、向上した部分には固定費である店舗経費や人件費の増大負担がなく、単に、原材料費のような流動費の負担が伴うにすぎないからです。したがって、この「もう一皿食べてもらう」戦略は、寿司の価格を引き上げる政策に比べて、はるかに、利益を向上させ、企業の投資余力に貢献するのです。
6、もう一皿発想を行いつつ、実行すべき、イノベーション戦略への移行
ただ、「もう一皿食べてもらう」発想は、大きなマーケティング効果はありません。成熟化した商品・サ-ビスから、大きなイノベーションを行うまでの、繋ぎの時間を稼ぐ戦略に過ぎません。
ですから、もう一皿発想を行いつつ、抜本的なイノベーション戦略を必ずとらなければ、売上と成長は、鈍化をはじめてしまうことを、肝に銘じるべきなのです。
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