【風俗トラブル】ガールズバーで高額請求されたら、払わずに帰っていい?
風俗店で禁止行為を指摘され、事務所や個室で誓約書や念書に署名させられた後、店から「書面どおりに払ってほしい」と請求が届くことがあります。署名してしまった以上は従うしかないと考える方も少なくありませんが、書かされた状況や書面の中身によっては、その効力を争う余地が残っていることがあります。そのとき、店に対してこちらの立場を書面で伝えるのが「回答書」です。
本記事は2026年11月時点の法令に基づく一般的な解説です。書面の効力や対応の方針は、署名に至った経緯や残っている記録によって変わります。個別の事情については弁護士にご相談ください。
ここでは、店で書かされた誓約書・念書の効力を争う回答書に、何を書き、何を書かないほうがよいのかを、骨子の形で整理します。
誓約書の効力を争う回答書とは
回答書は、店からの請求に対して「書面の内容には従えない」「その理由はこうである」というこちらの考えを、記録に残る形で伝える書面です。口頭や電話で伝えただけでは、後になって「そんな話は聞いていない」と言われるおそれがあります。特に、誓約書を強迫を理由に取り消す場合、取消しは相手方への意思表示によって行うものとされているため(民法123条)、いつ、どのような理由で取消しを伝えたのかを書面で残しておく意味は小さくありません。
誓約書の効力を争う道筋は、主に次のように整理できます。どれに当たるかは事案ごとに異なり、複数を組み合わせて主張することもあります。
| 争い方 | 主な根拠 | 当てはまり得る場面 |
|---|---|---|
| 強迫による取消し | 民法96条1項 | 複数人に囲まれた、帰らせてもらえなかった、身分証や携帯電話を取り上げられた状態で署名した |
| 錯誤による取消し | 民法95条 | 書面の意味や金額を誤解したまま署名した、説明と異なる内容だった |
| 公序良俗違反による無効 | 民法90条 | 行為の内容や支払能力に比べて著しく過大な金額が定められている |
| 金額に根拠がないことの指摘 | 民法420条など | 「罰金」「違約金」とだけ書かれ、実際の損害との結び付きが示されていない |
なお、誓約書に「罰金」と書かれていても、私人が刑罰としての罰金を科すことはできません。書面上は違約金、つまり損害賠償の額をあらかじめ決めたものとして扱われるのが通常です。一方で、禁止行為をしたこと自体が事実であれば、誓約書とは別に、実際に生じた損害の範囲で賠償の問題が残ることもあります。回答書は「一切支払わない」と宣言するためだけのものではなく、書面の金額に縛られずに話し合う土台を作るものと考えておくと、方針を決めやすくなります。
回答書を作る前に確かめておくこと
回答書の内容は、手元にある材料によって組み立てが変わります。書き始める前に、次の点を整理しておくと安心です。
- 誓約書・念書の写しや写真が手元にあるか。
- 署名した日時、場所、その場にいた人数と立場。
- 署名する前後に言われた言葉や、所持品を預けさせられた事情。
- すでに支払った金額と、その支払いの方法。
- 請求してきた相手の名称(店舗名、運営会社、担当者名)と連絡手段。
- 提示・撮影された身分証や名刺などの個人情報の範囲。
- 警察への相談や被害届をほのめかされているかどうか。
書面の写しがない場合でも、回答書を出せないわけではありません。ただ、相手の手元にしかない書面を特定するには、作成日や表題、金額などをできるだけ具体的に思い出しておく必要があります。
もう一つ気をつけたいのが、書面どおりの分割払いを続けている場合です。取り消すことができる行為について、取消しの原因となった状況を脱した後に一部を支払うなどすると、追認したものとみなされるおそれがあります(民法124条、125条)。また、取消権は追認できる時から5年で時効にかかるとされています(民法126条)。支払いを続けるかどうかは、回答書の方針と合わせて早めに検討したいところです。
回答書の必須記載事項
宛先・差出人・日付
宛先は、請求してきた相手を正確に書きます。店舗名だけでなく、運営会社や代表者が分かればそれも記載します。差出人は本人名か、弁護士が代理人として出す場合は代理人名とし、作成日を入れます。
対象となる書面の特定
どの書面の効力を争うのかを、作成日、表題(誓約書・念書など)、記載された金額、署名した場所などで特定します。相手が複数の書面を持っている場合は、それぞれを分けて書きます。
書面が作成された経緯の要点
署名に至った状況を、効力を争う理由に必要な範囲で簡潔に記載します。たとえば「〇時頃から約〇時間、店舗の事務所で従業員〇名に囲まれ、身分証を預けたまま退出を認められない状態で署名を求められた」といった書き方です。行為そのものの細部に立ち入る必要はなく、署名の場面に焦点を当てます。
効力を争う旨と法的な根拠
誓約書の効力を認めないこと、強迫を理由とする場合は「本書面をもって取り消す」ことを明記し、根拠となる条文や考え方を示します。根拠を一つに絞りすぎず、当てはまり得るものを並べておくのが一般的です。
請求に対する回答
書面に基づく支払いには応じないこと、または、実際の損害の内容を具体的に示してもらえれば協議には応じる用意があることを記載します。どちらの書き方を選ぶかは、事実関係や刑事手続の見通しによって変わります。
書面の原本と個人情報の扱い
誓約書の原本の返還、または破棄と、撮影・複写された身分証などの個人情報の削除や不使用を求めます。返還の方法(郵送先など)も合わせて指定しておくと、やり取りが進めやすくなります。
今後の連絡方法
今後の連絡は書面または指定した窓口に限ってほしいこと、家族や勤務先への連絡は差し控えてほしいことを記載します。弁護士が代理人となる場合は、本人への直接の連絡を控えるよう求めます。
ここまでの内容を整理すると、次のようになります。
| 記載事項 | 書く内容 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 宛先・差出人・日付 | 相手の正式な名称、差出人、作成日 | 店舗名だけで済ませず、運営会社が分かれば記載する |
| 対象書面の特定 | 作成日、表題、金額、場所 | 複数ある場合は一つずつ特定する |
| 作成の経緯 | 署名を求められた状況の要点 | 行為の細部ではなく署名の場面に絞る |
| 効力を争う旨 | 取消し・無効の主張と根拠 | 取消しの意思表示であることを明確にする |
| 請求への回答 | 支払いの拒否、または協議の申入れ | 支払いを約束すると読める表現は避ける |
| 原本・個人情報 | 原本の返還、身分証画像の削除 | 返還の方法も指定しておく |
| 連絡方法 | 窓口の指定、家族・勤務先への連絡の差し控え | 代理人がいる場合は本人への連絡を控えるよう求める |
回答書に書かないほうがよいこと
回答書は、後に交渉や裁判、場合によっては刑事手続で読まれることがある書面です。次のような記載は避けたほうがよいと考えられます。
- 禁止行為の内容を、求められていないのに細かく書き込むことは避けます。
- 「少しずつなら払える」など、支払いを約束したと読める表現は使わないようにします。
- 相手を非難する言葉や、感情的な表現は控えます。
- 「払わせるなら警察に訴える」など、譲歩を迫るように受け取られる表現は避けます。
- 記憶があいまいな事実を、確かなこととして書くことは控えます。
特に、行為の有無や内容について自分から詳しく書いた回答書は、後で被害届が出されたときに、本人の認めた内容として扱われるおそれがあります。効力を争う理由に必要な範囲を超えて事実を書き込まないことが、回答書を作るうえでの基本になります。
送り方と送った後の見通し
回答書は、内容証明郵便に配達証明を付けて送るのが一般的です。いつ、どのような内容を伝えたかが記録に残り、取消しの意思表示が相手に届いたことも示しやすくなります。相手の住所が分からず、LINEなどでしか連絡が取れない場合は、同じ内容を送信したうえで画面を保存しておく方法もありますが、住所の確認ができるかどうかを含めて検討が必要です。
送った後の相手の反応はさまざまです。請求が止まることもあれば、減額した金額を示してくることもあります。「法的措置を取る」「警察に相談する」と返してくる場合もありますが、その言葉だけで慌てて支払いに応じる必要はありません。相手が実際の損害の根拠を示してきた場合は、その内容を一つずつ確かめながら協議を進めることになります。
自分で出すか、弁護士名で出すか
回答書は本人の名前で出すこともできます。ただ、経緯の書き方一つで刑事面の見通しが変わることがあるほか、本人名義では、その後の連絡が本人や家族に向き続けることもあります。弁護士が代理人として回答書を出す場合は、連絡の窓口が弁護士に移るため、家族や勤務先への連絡をほのめかされている事案では、その点も判断材料になります。
すでに一部を支払っている、相手が被害届に触れている、身分証を預けたままになっているといった事情があるときは、回答書を出す前の段階で一度ご相談いただくと、書く内容と書かない内容の線引きを一緒に整理できます。
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店で書かされた誓約書は、署名があるという事実だけで効力が決まるものではなく、署名に至った経緯と書面の中身をあわせて見ていく必要があります。回答書は、その見方をこちらから示すための最初の書面です。何をどこまで書くかで後の展開が変わることもあるため、急いで送る前に、手元の材料を整理するところから始めてみてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


