女性用風俗のトラブル|利用した女性客が当事者になる場合
セクキャバ(いちゃキャバ)を利用している最中や会計の段階で、店のスタッフから「触りすぎ」「ルール違反だ」と言われ、通常の料金とは別に「追加料金」「罰金」「迷惑料」などの名目で支払いを求められることがあります。複数のスタッフに囲まれた状態で金額を示されると、その場で払うべきか判断がつかなくなる方も少なくありません。
本記事は2026年11月時点の法令にもとづく一般的な解説です。具体的な事情によって結論が変わることがありますので、個別の対応については弁護士にご相談ください。
この記事では、「触りすぎ」を理由とする請求がどのような性格のものかを整理したうえで、支払う必要があるかの分かれ目と、その場・その後に取れる対応を解説します。
「触りすぎ」を理由にした請求は、性格を分けて考える
同じ「お金を払ってほしい」という求めでも、何を根拠にしているかによって考え方は大きく変わります。根拠が分からないまま金額だけを話し合うと、本来は必要のない支払いまで約束してしまうおそれがあります。
| 請求の性格 | 根拠になりうるもの | 主に確かめること |
|---|---|---|
| 料金(追加料金) | 入店時に示された料金体系とサービス内容の合意 | 事前に料金表や説明で示されていたか |
| 違約金・「罰金」 | 店の規約に定められた違反時の支払いの約束 | 規約を示されて同意していたか、金額が過大でないか |
| 損害賠償(慰謝料) | キャストの意に反する接触による権利侵害(民法709条) | どの行為が同意の範囲を超えたのか、損害の中身は何か |
| 刑事事件の示談金 | 不同意わいせつ罪や迷惑防止条例違反などの疑い | 被害を訴えているのは誰か、交渉の相手が適切か |
実際の場面では、これらが区別されないまま「追加料金」という言葉でまとめて請求されることがあります。まずは「何に対するお金なのか」を確かめることが、対応の出発点になります。
「追加料金」として払う義務があるかの分かれ目
入店前に示された料金体系に含まれていたか
飲食店の料金は、店と客との合意(契約)にもとづいて発生します。入店時の説明や店内の料金表に、「〇〇をした場合は追加で〇円」といった定めがなかったのであれば、後から「触りすぎたから追加料金」と言われても、それが当初の契約上の料金に含まれるとは言いにくいと考えられます。
また東京都では、歌舞伎町・池袋・新橋など公安委員会が指定した地域で接待を伴う飲食店などを営む場合、いわゆる「ぼったくり防止条例」によって、料金について事実と異なる表示をすることや、不当な方法で料金を取り立てることなどが規制されています。説明された料金と実際の請求が食い違う場合には、この観点からも確認する余地があります。詳しくはぼったくりバー・キャバの高額会計|ぼったくり防止条例と支払い拒否で解説しています。
「罰金」「ペナルティ」の定めに同意していたか
店によっては、店内の掲示や会員規約に「禁止行為をした場合は罰金〇万円」といった定めを置いていることがあります。ただし、店が刑罰としての罰金を科すことはできません。法的には、違反した場合に支払う違約金(損害賠償額の予定)の約束として扱えるかどうかが問題になります。
違約金として扱われるには、客がその定めを示されたうえで同意していたことが前提になります。入店時に説明も署名もなく、店の奥に小さく掲示されていただけといった事情であれば、同意があったといえるかは争う余地があります。
さらに、事業者と消費者との契約では、消費者契約法9条1項1号により、違約金のうち同種の契約で事業者に通常生じる「平均的な損害」を超える部分は無効とされています。キャストが接客を続けられなくなった時間の売上などを考えても説明がつかないほど高額な金額であれば、その全額を払う義務があるとは限りません。「罰金」を請求された|私人が罰金を科すことはできないや誓約書の「罰金100万円」は本当に払う義務がある?法的効力を検証もあわせてご覧ください。
金額の算定根拠が示されているか
「この金額が相場だ」「ほかの客も払っている」といった説明だけで、内訳が示されないこともあります。何の損害をどのように計算した金額なのかを尋ね、答えが返ってこない場合は、その場で支払いを約束しないことが大切です。連絡のたびに金額が変わるような請求であれば、なおさら慎重な対応が求められます。
キャストの意に反する接触があった場合の考え方
セクキャバでは、「上半身への接触は可」「下半身への接触は不可」など、店ごとに許されるサービスの範囲を定めていることが一般的です。法律相談ポータルサイトにも、キャストの側から下半身に触れてきたため自分も触れたところ、スタッフから過剰な接触だとして退店を求められたという相談や、ボーイから軽く注意を受けた後は普通に会計を済ませたものの後から不安になったという相談が寄せられています。
店のルールを超えてキャストの体に触れ、それがキャストの意に反するものだった場合には、料金とは別に、キャスト本人に対する損害賠償(慰謝料)の問題が生じることがあります。行為の内容や状況によっては、不同意わいせつ罪(刑法176条)や各都道府県の迷惑防止条例違反が問題とされる可能性もあります。
一方で、セクキャバという業態では一定の身体的な接触が前提になっているため、どこからが同意の範囲を超えたのかは、その場のやり取りやキャストの反応、店の説明の内容によって判断が分かれやすいところです。「触りすぎ」という言葉だけで、直ちに犯罪や高額な賠償責任が成立するわけではありません。
なお、キャスト本人に対する損害賠償や刑事事件の示談は、本来はキャスト本人(またはその代理人である弁護士)との間の問題です。弁護士でない店のスタッフが、報酬を得る目的でキャストに代わって示談交渉をすることは、弁護士法72条との関係で問題になる場合があります。誰がどの立場で請求しているのかも確かめておきたいところです。業態は異なりますが、【風俗トラブル】キャバクラでキャストに触れたと言われた|請求と刑事の両面も参考になります。
その場で支払いを求められたときの対応
店内でスタッフに囲まれ、「今払えば終わる」と迫られると、落ち着いて判断することは難しくなります。その場では、次の点を意識しておくと、後から対応の幅を残しやすくなります。
- 請求の名目(料金・違約金・慰謝料など)と金額の内訳を尋ねること。
- 料金表や規約の該当部分があれば、示してもらうこと。
- 事実と異なる内容の念書や、支払いを約束する借用書には署名しないこと。
- 身分証の提示や撮影、スマホ・財布の預け入れを求められても、応じる前に必要性を確かめること。
- 支払う場合は、名目と金額が記載された領収書を受け取ること。
- 帰らせてもらえない、大声で威圧されるなど身の危険を感じるときは、110番通報をためらわないこと。
ご自身にも行き過ぎた点があったと感じる場合でも、謝罪の気持ちを伝えることと、示された金額をそのまま支払うことは別の問題です。謝罪はしつつ、金額については「一度持ち帰って検討したい」と伝える選択肢もあります。
また、追加分の支払いを保留すると無銭飲食になるのではと心配される方もいますが、本来の飲食代やサービス料金を支払っていれば、争いのある追加分を保留したことで直ちにそうなるわけではありません。正規の料金は支払い、根拠の分からない追加分は保留するという切り分けが考えられます。即時の支払いを迫られた場面については、【風俗トラブル】「今すぐ払えばこの場で終わる」と言われた|即時払いを求められたときの判断で詳しく解説しています。
店を出た後・支払った後にできること
後日、店から電話やメッセージで請求が続くこともあります。その場合に備えて、次のような記録を残しておくと、後の交渉の土台になります。
- 来店日時、店名、担当したキャストの源氏名、退店した時刻。
- 会計の領収書やクレジットカードの利用明細。
- その場で言われた言葉や金額のメモ(できるだけ早く書き残したもの)。
- 店とのやり取りの履歴(通話記録、メッセージ、留守番電話)。
キャストと個人的に連絡先を交換している場合でも、謝罪や事情の説明のつもりで個別に連絡を重ねることは控えたほうがよいでしょう。やり取りの内容が後から別の意味に受け取られたり、新たな請求のきっかけになったりするおそれがあります。
すでに支払ってしまった場合でも、強く迫られて支払った経緯や、金額の根拠が乏しいといった事情があれば、返還を求める交渉を検討できることがあります。署名した書面がある場合も、その内容や作成の経緯によっては効力を争えることがあるため、写しや写真があれば手元に残しておいてください。記録の残し方については、【風俗トラブル】利用後に「規約違反だった」と言われた|利用時の記録を残しておくもご参照ください。
弁護士に相談するとできること
弁護士にご依頼いただくと、店やキャストとの窓口を弁護士に一本化し、請求の根拠と金額を確認したうえで交渉を進めることができます。料金としての請求に理由がないと考えられる場合はその旨を伝え、キャストの意に反する接触があったと考えられる場合は、事実関係を確かめたうえで、謝罪の方法や適正な解決金の範囲について話し合うことになります。
合意に至った場合は、合意書(示談書)に清算条項や互いに接触しない旨の条項を入れ、後から追加の請求が来ないように整えることも大切です。家族や勤務先への連絡をほのめかされているような場合も、早い段階で弁護士が窓口に立つことで、ご本人が直接やり取りする負担を減らせることがあります。清算条項の働きについては、清算条項の意味|後から追加請求されないためにで解説しています。
セクキャバでの「触りすぎ」をめぐる請求は、それが料金の問題なのか、キャスト本人への賠償の問題なのかによって、取るべき対応が変わります。その場で金額を決めてしまう前に、請求の根拠を落ち着いて確かめることが大切です。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


