【風俗トラブル・キャスト側】店を辞める条件で客から受け取った支援金、返す義務はある?
メンズエステを利用した後、店舗の従業員から「キャストに触った」と不同意わいせつを主張され、入店時に署名した違約金の書面を根拠に慰謝料の請求を示唆されたというご相談です。相手方の店舗名も氏名も分からず、手がかりは電話番号だけという状況のなか、弁護士が代理人として窓口となり、最終的に金銭を支払うことなく終結しました。その経緯と、同じような状況に置かれた方に知っていただきたい点をご紹介します。
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。ご依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
ご相談の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ご相談者 | 関東地方在住の男性 |
| ご相談内容 | メンズエステの利用後に不同意わいせつを主張され、署名した違約金の書面を根拠に慰謝料の請求を示唆された |
| 相手方 | 店舗の従業員(店舗名・氏名は不明、電話番号のみ判明) |
| ご依頼者の認識 | キャストの意に反する行為に及んだ認識はなく、主張の内容は事実と異なる |
| 解決までの期間 | ご相談の翌日に受任、受任から約4か月で終結 |
| 結果 | 金銭の支払いなく終結 |
ご相談までの経緯
ご依頼者はメンズエステを利用した際、入店時に違約金の定めが記載された書面に署名していました。施術中、キャストから施術の範囲について注意を受ける場面があり、施術の終了後、店舗の従業員から「従業員に触りましたよね」「違約金の定めを読みましたか」「女性に謝れ」「第三者を入れるか」と告げられました。
従業員は、弁護士を立てて慰謝料を請求することをオーナーと話したとも述べており、その場で交番へ向かうという事態にも至りました。ご依頼者によれば、キャストの意に反するわいせつな行為に及んだ認識はなく、主張されている内容は事実と異なるとのことでした。
とはいえ、違約金の定めがある書面に署名してしまっていること、相手方の名前も店舗名も分からず連絡先が電話番号しかないこと、そして「不同意わいせつ」という言葉を向けられたことから、ご依頼者は今後どうなるのかと大きな不安を抱えていました。そこで翌日に当事務所へご相談のうえ、正式にご依頼いただきました。
弁護士の対応と交渉の経緯
電話番号への架電を続け、不通の記録を残す
受任後、弁護士はすぐに相手方の電話番号へ架電しましたが、電源が入っていないか電波の届かない場所にある旨のアナウンスが流れ、つながりませんでした。そこで、曜日や時間帯を変えながら連日架電を続け、その都度、不通であったことを記録に残しました。
あわせて、ご依頼者とは定期的に連絡を取り、相手方からの接触がないかを確認しました。そのうえで、架電で連絡が取れない場合にはショートメッセージで受任通知を送る方針を、ご依頼者と協議して決めました。
ショートメッセージで受任通知を送付
受任から約1か月が経っても相手方と連絡が取れなかったため、弁護士は相手方の電話番号に宛てて、ショートメッセージで受任通知を送信しました。内容は、当事務所がご依頼者の代理人として受任したこと、今後は当事務所が窓口となるためご依頼者本人への連絡は控えていただきたいこと、連絡は当事務所に行っていただきたいことの3点です。
受任通知の後は静観の方針を維持
受任通知の送信後も、弁護士は毎月ご依頼者に連絡し、相手方からの接触がないことを確かめながら、静観する方針を続けました。送信から3か月が経過しても相手方からの連絡や請求はなく、ご依頼者が金銭を支払うことなく事件は終結となりました。
解決結果と対応のポイント
本件の解決内容は次のとおりです。
- 違約金・慰謝料の請求について、金銭を支払うことなく終結しました。
- 弁護士が窓口となり、ご依頼者が相手方と直接やり取りする必要がなくなりました。
- 受任通知の送信後3か月間、相手方からの接触はありませんでした。
- 不通の記録を残したことで、後日なんらかの主張がなされた場合への備えもできました。
- ご相談の翌日に受任し、受任から約4か月で終結しました。
違約金の書面に署名していても、直ちに支払義務が生じるとは限りません
まず前提として、メンズエステで施術の範囲を超える行為に及ぶことは避けるべきです。また、内容をよく確認しないまま違約金の定めがある書面に署名することも、後のトラブルにつながりやすいため注意が必要です。
そのうえで、違約金の定めに署名していたとしても、違約金が発生するのは、書面に定められた行為が実際にあった場合です。本件のようにご依頼者が行為そのものを否定している場合、店舗側が「触りましたよね」と主張しただけで、すぐに支払義務が生じるわけではありません。また、違約金の金額が不相当に高額な場合には、公序良俗に反するとして効力が制限されることもあります(民法90条)。
連絡先が分からない相手方こそ、弁護士を窓口にしておく意味がある
本件で特に気をつけたのは、相手方の名前も店舗名も分からず、連絡先が電話番号しかなかった点です。このような状況では、相手方がいつ、どのような形で接触してくるかが読めず、ご本人は長い期間にわたって不安を抱えることになりがちです。弁護士が代理人となり、架電と受任通知によって「今後の窓口は弁護士である」ことをはっきりさせておけば、仮に後日連絡があった場合でも、ご本人が直接対応する必要はなくなります。
また、弁護士が連絡を試みた記録や受任通知を送った記録を残しておくことは、後になって「連絡したのに無視された」といった主張がなされた場合の備えにもなります。
なお、本件は相手方からの接触がなかったため静観の方針で終結しましたが、事案によっては相手方との話し合いや、示談を含めた対応を検討したほうがよい場合もあります。どの対応が適しているかは、事実関係や相手方の動きによって変わります。
同種のご相談をお考えの方へ
メンズエステの利用後に不同意わいせつを主張され、署名した書面を根拠に違約金や慰謝料の支払いを求められている方や、相手方の連絡先が分からず今後の展開に不安を感じている方は、ご自身で対応する前に、まずは弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
弁護士法人若井綜合法律事務所では、男女間のトラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。事実と異なる主張を受けてお困りの方は、一人で抱え込まず、お早めにご連絡ください。


