【風俗トラブル】女性用風俗のセラピストに渡したお金を返してもらえる?
風俗店や女性とのトラブルの後に、インターネットの掲示板や口コミサイト、SNSに自分の名前や顔写真が書き込まれているのを見つけ、強い不安を抱えてご相談に来られる方がいます。「利用したこと自体は事実だから、消してほしいとは言えないのではないか」と考え、そのままにしている方も少なくありません。
しかし、書かれている内容が事実であっても、削除を求められる場合はあります。この記事では、風俗の利用をめぐって名前や顔をネットに書き込まれた場合に、削除を求める根拠、先に保存しておくもの、削除を求める方法と順序、書き込んだ人の特定、店との話し合いが残っている場合の注意点を整理します。
この記事は、2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)の内容を反映しています。個々の書き込みが削除の対象になるかどうかは、内容や掲載先によって判断が分かれます。
どのような書き込みが問題になるのか
ご相談で多いのは、次のような書き込みです。
- 匿名掲示板の店舗や女性のスレッドに、本名や勤務先とともに利用時の出来事が書き込まれたケース。
- SNSに顔写真や車のナンバーが「迷惑客」などとして投稿されたケース。
- 口コミサイトや地域の掲示板に、フルネームと住んでいる地域が書き込まれたケース。
- フルネームではなく、イニシャルや伏せ字、職業や年齢の組み合わせで本人と分かる形にされたケース。
書き込むのは店の関係者や女性本人、その知人のこともあれば、誰が書いたのか見当がつかないこともあります。書き込みの前後に店から「払わなければネットに載せる」などと告げられていた場合は、削除の問題とあわせて、請求そのものへの対応も考える必要があります。
事実が書かれていても削除を求められることがある
削除を求めるには、その書き込みによってどのような権利が侵害されているかを示す必要があります。風俗の利用をめぐる書き込みで主に問題になるのは、次の権利です。
| 侵害される権利 | 当てはまりやすい書き込み | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 名誉権(名誉毀損) | 「本番を強要した」「料金を踏み倒した」など、社会的評価を下げる内容 | 事実と違う内容はもちろん、事実であっても、私人の行状には公共性が認められにくく、違法と評価されることがある |
| プライバシー権 | 風俗店を利用したこと、利用時の様子、勤務先や住所 | 一般に知られたくない私生活上の事実で、まだ知られていないものは、真実であっても保護の対象になり得る |
| 肖像権 | 無断で撮影・投稿された顔写真や動画 | 撮影や公開を承諾していない場合、社会生活上がまんすべき限度を超えるかどうかで判断される |
| 名誉感情 | 事実を示さずに人格をおとしめる罵倒 | 表現の程度によっては、社会通念上許される限度を超えたものとして問題になる |
「利用したことは事実だから」という理由だけで、削除をあきらめる必要はありません。風俗店の利用は、多くの人が他人に知られたくないと考える私生活上の事柄で、名前や顔と結び付けて公開されることによる不利益は小さくありません。他方で、書き込みの内容や書かれ方によってはサイト側が削除に応じないこともあり、どの権利を軸に主張するかの見極めが重要になります。
また、フルネームが書かれていなくても、イニシャル、勤務先、写真、車種などの情報を合わせると周囲の人が本人と分かる場合には、権利の侵害が認められることがあります。反対に、誰のことか特定できない書き込みは、削除の理由を説明しにくくなります。
削除を求める前に保存しておくもの
書き込みが消えると、後から内容を示すことが難しくなります。削除を求める前に、次のものを手元に残しておきます。
- 書き込みが表示されている画面のスクリーンショット(URL、投稿日時、投稿者名やIDが写っているもの)。
- 書き込みのページのURL。
- スレッドや投稿の前後の流れ(誰に向けた書き込みか、どのように話題が広がったかが分かる部分)。
- 店や女性とのやり取り(LINE、メール、通話の記録など)、特に「ネットに載せる」などと告げられた記録。
- 書き込みを見つけた日時と経緯のメモ。
スクリーンショットは、URLや日時が画面に入るように撮るのが基本です。書き込んだ人の特定まで考えている場合、通信事業者が接続の記録(ログ)を保存している期間は一般に数か月程度とされているため、時間の経過そのものが不利に働くことがあります。
削除を求める方法と順序
サイトの運営者に削除を申し出る
最初に検討するのは、掲示板やSNSの運営者に対する削除の申出です。多くのサイトには削除依頼のフォームや窓口があり、ご本人が申し出ることもできます。申出では、どの書き込みが、どの権利を、どのように侵害しているかを具体的に示すことが求められます。「不快なので消してほしい」という伝え方だけでは、削除に至らないことが少なくありません。
注意したいのは、サイトによっては削除依頼の内容そのものが公開される仕組みになっていることです。依頼文に本名などを書くと、かえって情報が広がることがあるため、依頼の前に運営者の規約や依頼の方法を確認しておくことが大切です。
大規模なSNSでは原則7日以内に結果が通知される
2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法により、利用者の多い大規模なプラットフォーム事業者として国の指定を受けた事業者には、削除申出の窓口を整え、申出から原則7日以内に削除するかどうかを申出者に通知することが義務付けられました。削除しない場合には、その理由も通知されます。申出をしても返事がないまま時間が過ぎるという状況は、指定を受けた事業者については改善が図られています。もっとも、指定を受けていないサイトにはこの義務は及びません。詳しくは【男女トラブル】削除申出への回答期限|以前と何が違うのかで解説しています。
任意の削除に応じない場合は裁判所の手続を使う
運営者が削除に応じない場合は、裁判所に削除を命じる仮処分を申し立てる方法があります。書き込みによって権利が侵害されていることと、早く削除する必要があることを資料をもとに示していく手続で、通常の訴訟より短い期間で判断が出ることが多いとされています。運営者が海外の事業者である場合は、申立ての準備に時間がかかることもあります。【不当要求対応】削除を求めたのに応じてもらえない|プラットフォームが動かない場合もあわせてご覧ください。
検索結果に残っている場合
元の書き込みが消えても、検索エンジンの検索結果に名前と内容の一部が表示され続けることがあります。検索結果の削除について、最高裁判所は2017年(平成29年)の決定で、その事実を公表されない利益が、検索結果を提供する理由に優越することが明らかな場合に削除を認めるという判断の枠組みを示しています。元の書き込みの削除とは別の検討が必要になるため、検索結果からの削除はどこまで認められるかも参考にしてください。
書き込んだ人を特定するかどうか
削除とは別に、書き込んだ人を特定して損害賠償を求めたり、刑事告訴を検討したりすることもできます。特定には、サイトの運営者や通信事業者に投稿者の情報の開示を求める「発信者情報開示」の手続を使います。2022年10月からは、裁判所が一つの手続の中で開示を命じる発信者情報開示命令の制度も設けられています。
名誉毀損罪や侮辱罪は、被害を受けた人の告訴がなければ起訴されない親告罪で、原則として犯人を知った日から6か月以内に告訴する必要があります。
もっとも、特定の手続には費用と時間がかかります。開示の手続では、運営者や通信事業者が投稿者に意見を聞く照会を行うため、手続を進めていることが相手に伝わることもあります。まず削除を優先するのか、特定まで進めるのかは、書き込みの内容や広がり方、相手の見当がついているかどうかによって変わります。順序の考え方は【不当要求対応】拡散された後の順序|削除と発信者特定のどちらを先に動かすかで解説しています。
店や女性との話し合いが残っている場合
書き込みの前後に店から金銭を求められている、あるいは「払わなければネットに載せる」と告げられていたといった事情がある場合は、削除だけを切り離して考えることはできません。支払えば書き込みが消える、これ以上書かれないという保証はなく、支払いが新たな請求のきっかけになることもあります。また、支払いと引き換えに公開しないと迫る行為は、内容によっては脅迫罪や恐喝罪にあたる可能性があります。
弁護士が窓口となって話し合う場合は、金銭の扱いとあわせて、既にある書き込みの削除、今後書き込みや拡散をしないこと、接触しないことなどを合意書に盛り込み、守られなかった場合の定めを置くことを検討します。書き込みが予告されている段階の対応は【不当要求対応】SNSでの『晒し』を予告された|投稿される前にできること、店に個人情報を知られている場合は風俗店・キャストに個人情報を握られた|悪用・晒しを防ぐにはも参考にしてください。
避けたい対応
- 掲示板やSNSで書き込みに反論したり、事情を説明したりすること。
- 書き込んだと思われる店や女性に直接連絡し、削除を強く迫ること。
- 証拠を保存する前に削除を依頼し、書き込みの内容が分からなくなること。
- 削除依頼の文面に本名や連絡先を書き、それが公開されること。
- 弁護士ではない業者に、報酬を払って削除の交渉を任せること。
反論の書き込みは話題を再び目立たせ、情報が広がるきっかけになることがあります。直接の連絡は、言い方によってはこちらが脅したと受け取られるおそれもあります。また、弁護士でない者が報酬を得て削除の交渉を代わりに行うことは、弁護士法に抵触するおそれがあるとされています。詳しくは【不当要求対応】口コミの削除を業者に頼んでよいか|非弁とポリシー違反の二重をご覧ください。
家族や職場に知られることへの不安
書き込みに勤務先や住んでいる地域が含まれていると、家族や職場に伝わることへの不安が大きくなります。削除の申出や裁判所の手続は、弁護士が代理人として窓口になって進めることができ、書面の送付先や連絡の方法も、ご家族に知られないよう配慮して決めることができます。進め方の考え方は家族に知られずに解決できるか|連絡方法・書面の送付先の設計で解説しています。
よくあるご質問
削除を求めたことは、書き込んだ人に伝わりますか
運営者が書き込みを削除した場合、投稿者に削除の事実が通知されることがあります。指定を受けた大規模なプラットフォーム事業者には、削除したときに原則として投稿者へ通知することが義務付けられています。ただし、誰が削除を求めたかまで伝えられるかは運営者の運用によります。発信者情報開示の手続では、投稿者に意見を聞く照会が行われます。
時間が経った書き込みでも削除を求められますか
書き込みから時間が経っていても、削除を求めることはできます。古い書き込みが検索結果から目に入り続け、不利益が続くこともあります。他方で、書き込んだ人の特定は、通信事業者の記録が残っていないことが多くなるため、難しくなる傾向があります。
一度削除されたのに、また書き込まれました
同じ内容が繰り返し書き込まれる場合は、その都度の削除申出に加えて、書き込んだ人の特定や、話し合いによる再発防止の約束を検討することになります。書き込みの記録を時系列でそろえておくと、手続の中で状況を説明しやすくなります。
まとめ
ネットに名前や顔が書き込まれると、早く消したいという気持ちから、反論や直接の連絡に動いてしまいがちです。まずは書き込みを保存し、どの権利を根拠に、どこへ、どの順序で削除を求めるかを整理することが、結果として解決への近道になります。店との話し合いが残っている場合は、請求への対応と削除をあわせて組み立てることが大切です。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


