【風俗トラブル】女性の体に跡が残ったと言われたら、どう受け止めればいい?

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

本記事は、2025年6月1日施行の改正刑法(懲役・禁錮を拘禁刑に一本化)を反映して記載しています。個別の事案での結論は、事情によって異なります。


風俗店を利用した後、店や女性から「体にアザが残った」「キスマークのせいで出勤できない」と連絡を受けることがあります。思い当たる場面があれば動揺しますし、身に覚えがなければ戸惑います。どちらの場合も、言われた内容をそのまま受け入れて支払いや署名に進む前に、何が起きたと言われているのかを分けて整理することが大切です。

 この記事では、跡が残ったと指摘されたときに確かめたいこと、刑事・民事それぞれでの考え方、店や女性への対応の順序を解説します。

「跡が残った」と言われる主な場面


  • 首や胸にキスマークを付けたと言われた。
  • 腕や太ももをつかんだ指の跡がアザになったと言われた。
  • プレイ中に叩いた跡が残ったと言われた。
  • ひっかき傷や擦れた跡を写真で見せられた。
  • 跡が消えるまで出勤できないので、その分を払うよう求められた。


 跡の大きさや場所はさまざまですが、店や女性の側からは「治療費」「休業補償」「慰謝料」「罰金」など、いくつかの名目で金銭を求められることが多い傾向にあります。弁護士ドットコムにも、利用後にキスマークを付けたことに気づき請求されるのかを心配する相談や、帰り際の言い合いの中で女性からキスマークを営業妨害だと言われ、店からの電話に出るべきか迷うという相談が寄せられています。

まず分けて考えたい3つの点

 跡を指摘されたときは、次の3つを別々に確かめていくと、状況を整理しやすくなります。

跡が本当にあるのか、いつ・何によってできたのか

 最初に確かめたいのは、跡の存在そのものと、それが利用中の行為によってできたものかどうかです。アザや内出血は、時間の経過とともに色や形が変わります。写真を示された場合は、撮影された日時、体のどの部分か、利用した日からどのくらい経っているかを確かめます。利用からかなり時間が経ってから示された跡については、利用中の行為との結びつきを慎重に見ていく必要があります。

その行為に女性の同意があったのか

 キスや強めの接触が、店のサービスや女性とのやり取りの範囲内だったのか、それとも女性が嫌がっていたのかによって、評価は大きく変わります。もっとも、全体として同意があったとしても、跡が残るほどの強さについてまで同意があったとは限りません。どの行為について、どこまで同意があったのかを、できるだけ具体的に思い出しておくことが大切です。

求められているのは何か

 相手が求めているのが金銭なのか、謝罪なのか、それとも警察への相談をほのめかしているのかによって、対応の優先順位は変わります。金銭を求められている場合は、その名目と金額の内訳を確かめます。

刑事上はどのように考えられるか

 体に跡が残ったという事実は、刑事事件として扱われる可能性を含んでいます。ただし、どの罪が問題になるかは行為の内容と同意の有無によって分かれます。

罪名内容法定刑
暴行罪(刑法208条)人に有形力を加えたが、傷害に至らなかった場合2年以下の拘禁刑、30万円以下の罰金、拘留または科料
傷害罪(刑法204条)人の身体を傷害した場合15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
過失傷害罪(刑法209条)不注意によって人の身体を傷害した場合30万円以下の罰金または科料(告訴がなければ起訴されない)


 「傷害」には、骨折や出血のような目に見える怪我だけでなく、身体の生理的な機能を損なうことが広く含まれると解されています。そのため、アザや内出血も傷害にあたり得るとされ、キスマークによる内出血を傷害と評価した例があるとも紹介されています。弁護士ドットコムでも、同意のない状態で付けたキスマークについて、傷害罪が問題になる余地はあるものの、実際に立件されるかどうかは別の問題だとする趣旨の回答が見られます。

 同意がある場合については、最高裁判所の決定(昭和55年11月13日)が、承諾があったという事実だけでなく、承諾を得た動機や目的、手段や方法、損傷の部位や程度などの事情を照らし合わせて判断するという考え方を示しています。プレイの範囲内で、女性も了解したうえでの行為であれば、違法とは評価されにくい場面もある一方、了解の範囲を超えた強さで跡を残した場合には、同意があったと主張しても認められないことがあります。

 なお、跡の問題にとどまらず、性的な行為そのものに同意がなかったと言われている場合には、不同意わいせつ致傷罪などの重い罪名が問題になることもあります。そのような場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

民事上はどのような請求があり得るか

 刑事とは別に、跡が残ったことを理由に損害賠償(民法709条)を求められることがあります。損害賠償を求める側が、行為と損害のつながりや金額を示していくのが原則です。名目ごとに、確かめたい点は次のとおりです。

求められる名目内容確かめたいこと
治療費受診や薬代など実際にかかった費用領収書や診療明細があるか、受診日が利用日に近いか
休業損害跡が消えるまで出勤できなかった分の収入実際に休んだ日数、収入を裏づける資料があるか
慰謝料跡が残ったことによる精神的な苦痛跡の部位や程度、消えるまでの期間、行為の態様
罰金・違約金店の規約違反を理由とするもの規約が事前に示されていたか、金額が実際の損害と見合っているか


 治療費や慰謝料を請求できるのは、原則として跡が残った女性本人です。店が請求できるのは、店自身に生じた損害に限られます。店の担当者が女性の分もまとめて請求してくる場合は、女性本人の意思に基づくものか、誰がいくらを受け取るのかを確かめる必要があります。

連絡を受けたときの対応の順序


  1. その場や電話口で、事実関係を認める発言や、支払いの約束をしないようにします。
  2. 跡の写真や診断書があれば、撮影日・受診日がわかる形で示してもらうよう求めます。
  3. 利用した日時、コース、プレイの内容、やり取りの経過を、記憶が新しいうちにメモに残します。
  4. 「今日中に」などと期限を区切られても、署名や支払いの前に弁護士に相談します。
  5. 話し合いで解決する場合は、合意の内容を書面にし、女性本人も当事者に加えます。


診断書や写真を見せられたとき

 診断書がある場合は、受診日、傷病名、治療に要する見込み期間を確かめます。受診日が利用日から離れている場合や、傷病名と指摘されている行為が結びつきにくい場合には、その点を相手に確認していくことになります。写真だけの場合も、いつ、誰が撮影したものかを確かめておくと、後の話し合いで役立ちます。

心当たりがある場合

 跡を残してしまった心当たりがある場合でも、謝罪することと、示された金額をそのまま支払うことは別の問題です。女性の苦痛に向き合うことは大切ですが、金額は跡の程度や休んだ日数などに照らして相当な範囲で話し合うものです。示談をする場合には、清算条項(これ以上の請求をしないこと)や、被害届を出さないこと、口外しないことなどを書面に盛り込み、女性本人の署名を得ておくことが、後から問題を蒸し返されないための備えになります。

心当たりがない場合

 跡を付けた覚えがない場合は、その旨を伝えたうえで、根拠となる資料を示してもらいます。ただし、支払いを断ることと、連絡を一切絶つことは別の問題です。連絡を無視し続けたことが、相手が警察への相談を考えるきっかけになることもあるため、窓口を弁護士に移して話し合いを続けるという方法もあります。

弁護士が窓口になるとできること

 弁護士が代理人になると、店や女性との連絡はすべて弁護士を通じて行うことになり、ご本人が直接やり取りする必要がなくなります。そのうえで、跡の写真や診断書の内容を確かめ、請求の根拠と金額が見合っているかを検討します。

 話し合いで解決する場合には、女性本人を当事者に含めた合意書を作成し、清算条項や口外禁止などの条項を整えます。すでに警察から連絡があった場合や、被害届が出ていると言われている場合にも、刑事手続の見通しを踏まえて方針を立てることができます。

よくあるご質問


跡が消えた後に請求されることはありますか

 跡が消えた後でも、利用時に撮影された写真や受診の記録があれば、請求を受ける可能性はあります。一方で、時間が経ってからの請求では、跡と利用中の行為との結びつきを確かめにくくなることもあります。いずれの場合も、写真の撮影日時や受診日を確かめるところから始めます。

キスマークだけで被害届を出されることはありますか

 女性が同意していなかったと訴えた場合には、キスマークであっても被害届が出される可能性は否定できません。もっとも、実際に捜査が進むかどうかは、跡の程度や経緯などによって分かれます。警察から連絡が来た場合は、話をする前に弁護士に相談することをおすすめします。

女性はその場で何も言っていなかったのに、後から店が請求してくることはありますか

 利用後に女性が跡に気づいて店に伝え、店から連絡が来るという流れは珍しくありません。その場で何も言われなかったことは、同意があったことをうかがわせる事情の一つにはなりますが、それだけで請求が否定されるわけではありません。当日のやり取りを思い出せる範囲で記録しておくことが大切です。

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跡を指摘されたら、支払いの前に事実を整理する

 体に跡が残ったと言われたときは、跡がいつ・何によってできたのか、その行為に同意があったのか、何をいくら求められているのかを分けて確かめることが出発点になります。慌てて言われるままに支払うことも、連絡を絶って放置することも、後の対応を難しくするおそれがあります。署名や支払いの前に一度立ち止まり、資料をそろえて状況を整理することをおすすめします。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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