クラウド同期・バックアップに残っている場合|端末以外に残る記録
女性用風俗(女風)のセラピストに、利用料金とは別にお金を渡していたものの、関係が途切れたり話が違うと感じたりして、「あのお金は返してもらえるのだろうか」と悩む方がいらっしゃいます。「いつか独立するための資金」「今月だけ立て替えてほしい」と頼まれて渡した方もいれば、応援の気持ちで自分から渡した方もいるでしょう。
結論から申し上げると、返還を求められるかどうかは、そのお金が「貸したもの」なのか「あげたもの」なのか、そして渡すまでの経緯に嘘や不当な働きかけがあったかによって大きく変わります。この記事では、渡したお金を名目ごとに整理し、返還を求められる場面と難しい場面、進め方の順序を解説します。
本記事は2026年10月時点の法令に基づく一般的な解説です。実際に返還を求められるかどうかは、お金を渡した経緯や残っている記録によって異なります。
最初に分けたいのは「どの名目で渡したお金か」
| 渡したお金の名目 | 典型的な場面 | 返還についての考え方 |
|---|---|---|
| 店への利用料金 | コース料金、延長料金、指名料、オプション料金 | 受けたサービスの対価は原則として戻りません。説明と違う料金を取られた、受けていないサービスの料金が含まれているといった事情があれば、店に返金を求める余地があります。 |
| セラピストに貸したお金 | 「来月返す」「立て替えてほしい」と頼まれて渡した | 返す約束があったことを示せれば、貸したお金として返還を求められます。 |
| セラピストにあげたお金 | 応援、誕生日の贈り物、独立資金や生活費の援助 | 原則として返還を求めることは難しいものの、嘘があった場合などには例外があります。 |
| 店を通さずに会ったときの代金 | 店外で個人的に会い、そのたびに支払った | お金の趣旨によっては、返還を求めることが難しくなる場合があります。 |
実際には、一つの関係の中で複数の名目が混ざっていることが少なくありません。まずは渡したお金を一回ずつ書き出し、それぞれがどの名目に当たるかを整理することが出発点になります。
「貸した」と言えるか、「あげた」ことになるか
お金を貸すという約束は、法律上「金銭消費貸借」と呼ばれ、借りた側が同じ額を返すことを約束してお金を受け取ることで成り立ちます(民法587条)。これに対し、見返りを求めずにお金を渡すことは「贈与」に当たります(民法549条)。
この区別が重要なのは、贈与として渡し終えたお金は、後から「やはり返してほしい」と考えが変わっても、原則として取り戻せないためです。書面によらない贈与は解除できるとされていますが、すでに渡し終えた部分は解除の対象から外れます(民法550条)。そのため、返還を求める場面では、相手から「もらったもの」と反論されることが多く、貸したことを示す側が根拠を用意する必要があります。
貸したお金だと示す材料
- 借用書や、金額・返済時期を書いたメモ。
- 「必ず返すね」「来月まとめて返す」など、返済に触れたLINEやDMのやり取り。
- 一部でも返済を受けた記録(振込明細や受け取ったときのメッセージ)。
- 振込明細や送金アプリの履歴など、渡した日付と金額が分かる記録。
- お金を渡すきっかけになった相手からの依頼の文面。
借用書がない場合
借用書がないからといって、ただちに返還を求められなくなるわけではありません。弁護士ドットコムなどの相談でも、借用書がない中で、LINEのやり取りや送金の記録から貸し借りの合意を読み取れるかが検討されているケースが見られます。ただ、「困っているなら使って」といった言葉とともに渡していると、贈与と受け取られやすくなります。やり取りの文面全体を見て、どちらの性質が強いかを冷静に見極めることが大切です。
「あげたお金」でも返還を求められる場面
贈与として渡したお金であっても、渡すまでの経緯によっては返還を求める道が残ることがあります。
具体的な嘘があった場合
だまされてした意思表示は取り消すことができ(民法96条1項)、取り消せば渡したお金の返還を求められる可能性があります。たとえば「病気の治療費が必要」「借金の返済に追われている」といった説明が事実と異なり、その説明を信じてお金を渡したのであれば、詐欺による取消しや損害賠償を検討する余地があります。
一方で、恋人のように振る舞う接客そのものは、サービスの演出と受け止められることが多く、それだけで詐欺とまで評価するのは容易ではありません。ポイントになるのは、お金を渡す判断を左右した具体的な事実について嘘があったかどうかです。嘘が分かった後の動き方は、【男女トラブル】病気や不幸の話を信じてお金を渡していた|嘘だと分かった後でも解説しています。
店の勧誘に問題があった場合
店との契約については、消費者契約法の適用を検討できる場合があります。同法には、恋愛感情などに乗じて関係が壊れることを告げ、困惑させて結ばせた契約を取り消せる規定があります(消費者契約法4条3項)。取消しは、追認できる時から1年以内、契約の時から5年以内に行う必要があります(同法7条1項)。
ただし、この規定は事業者と消費者との契約が対象です。セラピスト個人に直接渡したお金にそのまま当てはまるとは限りません。また、2025年6月に施行された改正風営法による色恋営業や売掛金の規制は、主にホストクラブなどの接待飲食店を想定したもので、女性用風俗に直接及ぶとは限らない点にも注意が必要です。
お金の趣旨そのものが問題になる場合
違法な行為の対価として渡したお金は、法律上「不法原因給付」として返還を求められないことがあります(民法708条)。店外で会うたびに支払っていたお金などは、その趣旨によってはこの規定との関係が問題になり得ます。返還を求められるかどうかは個別の事情によるため、自己判断で諦めたり、逆に強く請求したりする前に、経緯を整理して専門家に確認しておくと安心です。
返してもらうまでの進め方
- 相手とのやり取り、振込明細、送金アプリの履歴を消さずに保存する。
- 渡した日付・金額・名目・渡した理由を一覧にまとめる。
- 返還を求める金額と理由を、書面やメッセージで相手に伝える。
- 相手が応じない、または連絡が取れない場合は、内容証明郵便による請求を検討する。
- 話し合いで解決しない場合は、支払督促や訴訟などの法的手続を検討する。
請求する金額が60万円以下であれば、原則として1回の期日で審理を終える少額訴訟という手続もあります。どの手続を選ぶかは、金額、証拠の量、相手の住所が分かっているかによって変わります。
相手の本名や住所が分からないとき
女性用風俗では、セラピストが源氏名で活動していることが一般的で、本名や住所を知らないまま関係が続いていた方も多いと思われます。店に問い合わせても、在籍者の個人情報を教えてもらえることはあまり期待できません。
もっとも、振込先の口座名義から本名が分かることがあり、弁護士に依頼した場合には、弁護士会を通じた照会(弁護士法23条の2)で相手の情報を確認できる場合もあります。相手を特定できるかどうかは、請求の見通しに直結するため、早い段階で手がかりを整理しておくことが大切です。
時効にも目を向ける
貸したお金の返還請求権は、原則として権利を行使できることを知った時から5年で時効にかかります(民法166条1項1号)。嘘によってお金を取られたとして損害賠償を求める場合は、損害と相手を知った時から3年が目安になります(民法724条1号)。何年も前に渡したお金については、早めに確認しておくことをおすすめします。
自分で返還を求めるときに避けたいこと
- 「返さないなら店や家族、勤務先に知らせる」と伝えて支払いを迫ると、恐喝や脅迫と受け取られるおそれがあります。
- SNSや口コミサイトにセラピストの本名や写真、やり取りを載せると、名誉毀損やプライバシー侵害を理由に、逆に責任を問われることがあります。
- 返事がないからといって何度も連絡したり、待ち伏せをしたりすると、ストーカー規制法の問題に発展するおそれがあります。
- 「返すから、もう少しだけ援助してほしい」と言われて追加でお金を渡すと、被害が広がりやすくなります。
お金を取り戻したいという気持ちが強いほど、言葉が強くなりがちです。相手とのやり取りは、後から証拠として読まれることを前提に、落ち着いた文面を心がけてください。利用そのものを家族に知られたくないという不安がある場合は、【風俗トラブル】女性用風俗の利用が家族に知られそう|女性客のための初動も参考にしてください。
弁護士に相談するとできること
弁護士に依頼すると、相手とのやり取りの窓口を弁護士に移すことができ、ご自身が直接セラピストと連絡を取る必要がなくなります。また、手元の記録から「貸したお金」として請求できる部分と、それ以外の部分を切り分け、請求の見通しを立てたうえで書面を送ることができます。
あわせて、請求額と弁護士費用のバランスも確認しておくべき点です。金額によっては、交渉だけで終えるのか、法的手続まで進むのかで、手元に残る金額が変わります。相談の段階でこうした見通しを確認しておくと、どこまで進めるかを判断しやすくなります。なお、弁護士に相談したことが相手に伝わることはありません。
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まとめ
女性用風俗のセラピストに渡したお金を返してもらえるかどうかは、「貸したのか、あげたのか」という名目と、渡すまでの経緯に嘘や不当な働きかけがあったかで判断が分かれます。貸したお金であれば返還を求めることができ、あげたお金でも具体的な嘘があった場合などには取り戻す道が残ることがあります。まずは記録を消さずに残し、渡したお金を一覧にするところから始めてみてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


