生産性を上げる、戦略的人事考課 【商人舎magazine12月号】原稿
スーパーの会議を成果につなげるには、社員が現場の事実をもとに改善策を考え、担当者・期限・確認指標まで決めることが必要です。欠品やロス、作業のムダを議題にし、小さく実行して検証する会議を重ねることで、社員の判断力と店舗の収益力を高めていきます。
「会議はしている。それでも、社員が動かない」
「結局、社長や店長が指示を出さないと進まない」
このような悩みを感じたときは、社員の意欲を問う前に、会議の進め方を見直してみてください。上司が結果を確認し、原因を説明し、改善策まで決めてしまうと、社員が自分で考える機会が少なくなります。
目次
私は、会議で決めたことが売場や作業の改善につながることを重視しています。
そのためには、社員が判断できる情報と、実行できる条件を整える必要があります。
会議の議題を現場で変えられる課題に絞る
売上や粗利益の報告は必要です。
ただし、数字を読み上げるだけでは、翌日の行動は決まりません。
数値資料は事前に共有し、会議では「どの売場の、どの作業を変えるか」を話し合います。
例えば、「惣菜の売上が足りない」という議題を、「夕方の来店ピークに、主力商品の欠品を減らす」という課題に具体化します。
確認する情報も、日計の売上だけでなく、時間帯別の販売数、欠品時刻、追加製造の状況へと変わります。
値引きや廃棄が増えているなら、製造数量、製造時刻、陳列、売り切るまでの販売方法を確認します。
実行に使える時間を考え、一度の会議で取り組む課題を絞りましょう。
上司は答えを急がず社員の判断を引き出す
担当者が報告した直後に、店長が「こうすればよい」と結論を出していないでしょうか。
まず、担当者に事実と考えを説明してもらいます。次のような問いかけが役立ちます。
・実際に、いつ、どの商品で、何が起きましたか。
・原因をどう考えていますか。その根拠は何ですか。
・次の一週間で、何を変えて試しますか。
・実行するために、どのような支援が必要ですか。
「売れなかった」
「忙しくてできなかった」
といった報告には、売場写真、POSデータ、作業記録などを添えてもらいます。
事実と推測を分けることで、話し合うべき点が見えてきます。
上司は、案の根拠や実行可能性を一緒に確認します。
必要な情報が足りなければ調べ方を教え、経験が浅ければ選択肢を示します。
考える機会をつくりながら、判断に必要な支援を行うことが人材育成につながります。
担当者と期限と確認指標を決めて終える
「欠品を減らそう」「ロスを削減しよう」という結論だけでは、現場で何をするかが曖昧です。
会議の最後に、誰が、何を、いつまでに実行し、何を見て判断するかを確認してください。
次は、惣菜部門での進め方を説明するための実施例です。実際の店舗の実績を示したものではありません。
・取り組む課題 夕方に主力惣菜が欠品する。
・実行内容 対象を三品に絞り、夕方前に販売数と残数を確認して追加製造を判断する。
・担当者 惣菜チーフが判断基準を整理し、当番担当者が記録する。
・期限 翌日から一週間試し、次回の部門会議で結果を確認する。
・確認指標 対象商品の欠品回数、販売数、値引き・廃棄、追加製造にかかった時間。
欠品だけを減らそうとして製造数量を増やすと、値引きや廃棄が増えることがあります。
販売機会とロスの両方を確認し、作業時間も含めて改善の効果を判断します。
商品の品質を保てる製造条件も、事前に確認しておきましょう。
議事録は、決定事項、担当者、期限、確認指標を一枚にまとめ、関係者が確認できるようにします。
担当者が決定内容を自分の言葉で説明し、必要な応援や資材が確保できているかも確認します。
社員に任せる範囲と相談する条件を共有する
社員が判断するには、任されている範囲を知る必要があります。
例えば、陳列位置の変更、製造数量の調整、作業分担の変更について、担当者が決められる範囲と、チーフや店長への相談が必要な条件を整理します。
売価の変更や予算を超える支出などは、店舗のルールに沿って扱います。
判断に迷ったときの相談先も決めておくと、確認待ちで作業が止まる時間を減らせます。
パート・アルバイトの皆さんの気づきも、会議に取り入れてください。
補充しにくい場所、繰り返し発生する手待ち、お客さまからよく受ける質問など、改善に役立つ情報があります。
全員を長時間集める必要はありません。
短い打ち合わせや記録用紙で意見を集め、会議で検討した結果を本人に返す方法もあります。
次回の会議は実行結果の確認から始める
D-CAPは、Do(まず実行)→Check(確認)→Action(改善)→Plan(次の計画)の順に改善を進める考え方です。
会議にも、この流れを取り入れます。
次回の会議では、前回決めた取り組みについて、実施できたか、結果はどうだったかを確認します。
そのうえで、続けること、修正すること、やめることを判断し、次の取り組みを決めます。
実行できなかった場合は、担当者の姿勢だけで判断せず、時間、人員、手順、権限に無理がなかったかを確認します。
期待した結果が出なかった取り組みも、試した内容と結果を共有できれば、次の判断に使えます。
うまくいった方法は、手順書やチェックリストに反映して標準化します。
担当者が替わっても実行できる形にすることで、会議で生まれた改善を店舗の仕組みとして残せます。
まずは30分の部門会議で一つ改善する
会議の変更は、身近な課題を一つ取り上げるところから始めてください。
例えば、次の30分を目安に進めます。
・最初の5分 前回の取り組みと結果を確認する。
・次の10分 今回の課題について、数字と現場の事実を確認する。
・次の10分 担当者が改善案を出し、実行する方法を決める。
・最後の5分 担当者、期限、確認指標、必要な支援を確認する。
会議に使った時間に見合う改善があったかも振り返りましょう。
報告事項が多ければ、事前共有を増やすなど、会議そのものの進め方も修正できます。
次の会議では、店長が答えを出す前に、担当者へ「あなたはどう考えますか。何から試しますか」と問いかけてみてください。
そして、実行できる条件を一緒に整えてください。
社員の判断を現場で試し、結果から学ぶ機会を重ねることが、任せられる組織づくりの一歩になります。
店舗の利益改善と人材育成を進めたい経営者・店長の皆さまは、日々の会議の進め方も点検してみてください。
サミットリテイリングセンターでは、店舗の業務改善と、それを実行する現場の仕組みづくりを支援しています。
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