スーパーの粗利益改善につながる価値の伝え方   値下げの前に見直す売場とPOP

新谷千里

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テーマ:スーパーの営業戦略

サミットリテイリングセンター 新谷千里
スーパーで商品が売れないときは、値下げの前に「買う理由」が伝わっているかを確認しましょう。 

・お客さまの困りごと、
・商品の役立ち方、
・裏づけとなる事実

を売場とPOPで伝え、販売数量だけでなく粗利益額と値引きロスで効果を確かめることが大切です。

テレビショッピングから学ぶ価値を伝える順番

テレビショッピングを見て、「この商品を買う人がいるのだろうか」と感じたことはないでしょうか。
私は、そこに売り方を考えるヒントがあると思っています。

注目したいのは、お客さまが商品の価値を理解するまでの説明です。
「こんなことで困っていませんか」と生活の場面を示し、その商品を使うと何が楽になるのかを実演する。
さらに、特徴や使い方を説明し、価格に納得できる材料をそろえます。

スーパーでも、この考え方を応用できます。
商品名、容量、価格に加えて、
「自分の暮らしにどう役立つのか」が分かる情報を添えるのです。

もちろん、売れない原因は伝え方だけではありません。
品質、品ぞろえ、量目、価格設定、陳列場所が合っていない場合もあります。
そのうえで私は、価格を下げる判断の前に、商品の価値が届いているかを確認することを勧めます。

商品説明をお客さまが買う理由に変える

「国産原料使用」「店内調理」「こだわりの製法」。
これらは商品の特徴ですが、言葉だけでは、お客さまが食卓で得られる良さまで伝わらないことがあります。

価値を伝えるとは、商品の特徴を、お客さまの生活に役立つ理由へと具体化することです。
例えば、夕方に惣菜を選ぶ方が求めているのは、
「今日の夕食を早く用意したい」
「主菜に合う副菜を一品足したい」
という助けかもしれません。
同じ商品でも、想定するお客さまと食べる場面によって、伝える内容は変わります。

店側が説明したいことから書き始める前に、
「誰が、いつ、何に困って、この商品を選ぶのか」
を考えてみてください。

売場とPOPで価値を伝える五つの手順


第一に、生活の場面を決めます。
「忙しい平日の夕食」「少人数の食卓」など、提案する場面を一つに絞ります。

第二に、その場面での困りごとを言葉にします。
「あと一品ほしい」「調理の手間を減らしたい」など、お客さまが理解しやすい表現にします。

第三に、商品がどう役立つかを示します。
食べ方、調理方法、一人分の使いやすさなど、購入後を想像できる情報を添えます。

第四に、裏づけを示します。
原材料、加工内容、調理時刻、実際の調理写真など、店で確認できる事実を使います。
「おいしい」「便利」と書くときも、その理由を説明できるようにしておきます。


第五に、価格と量目を分かりやすく示します。
スーパーでは価格を見やすく明示し、その近くに価値を伝える情報を置きます。

『説明の順番を見直す』という考え方は、価格を隠すことではありません。

この五つを、すべて一枚のPOPに詰め込む必要はありません。
売場の見出しで食べる場面を示し、商品横のPOPで役立ち方を伝え、プライスカードで価格と量目を確認できるようにします。

惣菜と鮮魚の売場で使える具体例

以下は、実際の商品仕様に合わせて調整する提案例です。
販売実績や改善効果を示す事例ではありません。

惣菜の煮物なら、商品名だけの表示に、
「夕食にあと一品。温めて盛りつけるだけ」を添えます。
温め方や一パックの量が分かれば、食卓に取り入れやすくなります。
商品の食べ方に合う表現を選ぶことが前提です。

鮮魚の下処理済み切身なら、
「魚料理の下ごしらえを手軽に。味つけして焼くだけ」と使い方を伝えます。
「骨取り」「加熱時間」などは、商品の仕様や確認した条件に合う場合だけ表示します。

さらに、切身の近くで付け合わせの野菜や調味料を提案すると、献立を考える手助けになります。
関連陳列は、料理が完成する組み合わせを示すことに意味があります。

POPの表現は、担当者の思い込みで決めず、売場で受ける質問や接客時の反応も参考にしてください。
お客さまの言葉には、説明が足りない部分を見つける手掛かりがあります。

粗利益額と値引きロスで売り方を検証する

価値を伝える売場に変えても、販売数量が増えただけで成功とは判断できません。

試食や加工に手間をかけすぎれば、利益改善につながらない場合があります。
まず重点商品を一品選び、価格や陳列量などをできるだけそろえて、変更前後を比較します。
・販売数量、
・売上高、
・粗利益額、
・値引き額、
・廃棄額、
・作業時間
を記録しましょう。
値引きや廃棄の計上方法は、自店の管理基準で統一します。

曜日、天候、客数、特売の有無による違いも確認します。
一日の結果だけで結論を出さず、比較できる条件で繰り返し確かめることが必要です。

例えば、通常価格での販売が増えても、欠品が増えていれば補充の見直しが必要です。
売上が伸びても廃棄が増えていれば、製造量や発注量を調整します。

実行して数字と売場を確認し、修正して次の計画に反映する。
このD-CAP(実行・確認・改善・計画)を回すことで、自店のお客さまに合う売り方を探っていきます。

価値を伝える売場づくりのよくある質問

Q.価格を重視するお客さまにも価値の説明は必要ですか

必要です。価格を重視する方にも、量目、使い切りやすさ、調理の手間などは選ぶ材料になります。ただし、説明を加えればどの価格でも売れるわけではありません。品質や競合との比較も含めて、価格の妥当性を確認します。

Q.POPを増やせば売上は上がりますか

枚数を増やすだけでは、必要な情報が埋もれることがあります。一つの提案に絞り、お客さまが商品を見る位置から読めるかを確認してください。価格や商品が見えにくくなっていないかも点検します。

明日の売場で重点商品一品の買う理由を見直す


明日は、売りたい商品を一品選び、商品名と価格以外に何が伝わっているかを確認してみてください。

「誰の、どんな困りごとに役立つのか」
を一文にすることから始められます。


その提案を売場に置き、
・販売と利益の数字、
・お客さまの反応を確かめる。

値下げを決める前のこのひと手間が、粗利益を確保する売り方を考える出発点になります。


サミットリテイリングセンターは、スーパーマーケットの売場改善、商品価値の伝え方、作業改善を通じて、営業利益の改善を支援しています。
新谷千里 サミットリテイリングセンター
スーパーマーケット業務改善コンサルタント
著者と支援内容へのリンク
■マイベストプロの著者ページ ⇒ https://mbp-japan.com/osaka/summit-rc/
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新谷千里(経営コンサルタント)

有限会社サミットリテイリングセンター

100社以上の業績向上を実現した業務改善のプロ。売れてしまう実践的マーケティングとオペレーション改善とコスト削減。他では教えてくれない理論と実践で、競争の厳しい時代に確実に営業利益を向上させます。

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