果物部門の粗利益額が5年前比205%に|売上と利益を伸ばし続けるスーパーの基本原則

新谷千里

新谷千里

テーマ:スーパーマーケットの販売戦略

スーパーマーケットの果物部門で、粗利益額を5年前比205%、売上高を156%まで伸ばした実践事例を解説。
鮮度・味・旬、POP、カットフルーツ、作業標準化、適正な値入れ、信用づくりによって、売上と利益を継続的に改善する方法を紹介します。

スーパーマーケットの果物部門で、粗利益額を5年前比205%、売上高を156%まで伸ばした事例があります。

この成果は、一時的な安売りや特売でつくったものではありません。
鮮度、味、旬、売り方、カットフルーツ、作業の標準化、そしてお客様からの信用という、商売の基本を毎日積み重ねた結果です。

今回は、果物部門の売上と粗利益を継続的に伸ばすために、現場が徹底すべき基本原則を解説します。

果物部門の粗利益額が5年前比205%、売上高は156%へ

私が支援しているスーパーマーケットでは、果物部門の業績が5年前と比較して次のように改善しました。

・粗利益額:5年前比205%
・売上高:5年前比156%
・野菜部門の売上高:約120%、粗利益額122%


これは、特定の月だけ数字が上がった一過性の成果ではありません。
毎年少しずつ改善を重ね、売上と粗利益を継続して伸ばしてきた結果です。

売上を増やすことだけを目的にすれば、値下げや特売を増やす方法もあります。
しかし、
それだけでは粗利益が残らず、お客様から長期的に支持される売場にもなりません。

必要なのは、
売上高、粗利益額、商品価値、作業生産性を同時に高める取り組みです。

成果の土台は「凡事徹底」にある

「どうすれば、これほど大きな成果を上げられるのか」と聞かれることがあります。

私の答えは、特別なことではなく「凡事徹底」です。
凡事徹底とは、商売の基本を理解し、当たり前のことを誰にも負けないレベルでやり続けることです。

果物部門であれば、次のような基本が挙げられます。

・鮮度の良い商品を提供する
・食べておいしい商品を仕入れる
・旬の商品を最も良いタイミングで販売する
・商品の状態を正確に確認する
・おいしさや食べ方を分かりやすく伝える
・品質が落ちる前に売り切る
・売場とバックルームの衛生管理を徹底する

一つひとつは難しいことではありません。
しかし、
これを毎日、全部門、全従業員が同じ基準で実行することは簡単ではありません。

だからこそ、基本を徹底できること自体が、競合店には簡単にまねできない差別化になります。

目先の売上より「お客様に喜ばれること」を優先する

売上が伸び悩むと、目の前の商品を何とか売ろうとしてしまいます。
しかし、
短期間の売上をつくるために、味の良くない果物を無理に販売すればどうなるでしょうか。

その日は売上が上がるかもしれません。
しかし、
お客様が「おいしくなかった」と感じれば、次回からその商品だけでなく、店そのものを選ばなくなる可能性があります。

目先の売上を追って、お客様の信用を失ってはいけません。
商品を仕入れるときも、売場をつくるときも、POPを書くときも、次の視点を持つことが重要です。

「自分がお客様だったら、どうしてもらうとうれしいか」

この問いを判断基準にすると、売る側の都合ではなく、お客様の生活に役立つ売場へ変わっていきます。

果物販売の基本は「鮮度・味・旬」

果物部門で特に重要なのが、鮮度、味、旬の3つです。

見た目が整っていても、食べておいしくなければ再購入にはつながりません。
一方、形や大きさが多少不ぞろいでも、味が良く、理由を正直に説明できれば、お客様に納得して購入してもらえます。

例えば、
形が不ぞろいの商品であれば、POPで次のように伝えます。
「形は不ぞろいですが、味は変わりません」

仕入れ数量が多くなった場合も、品質が落ちるまで売場に置き続けるのではなく、早めに価格を見直します。
「おいしいうちに召し上がっていただきたいので、お買い得価格にしました」
「仕入れすぎました。ぜひお助けください」

理由を正直に伝えることで、
価格の安さだけではなく、店舗の誠実さも伝えられます。

正直な情報発信は、お客様との信用を築く重要なマーケティングです。

糖度や食味を「見える情報」に変える

果物は、外観だけでは味が分かりにくい商品です。
そのため、
売場では「おいしいです」と書くだけでなく、具体的な根拠を示す必要があります。

例えば、
糖度計を使用して、その日に測定した数値をPOPで伝えます。
・本日の測定糖度
・甘味と酸味のバランス
・香りの特徴
・果肉の硬さや食感
・食べ頃
・保存方法

実際に試食した担当者の感想を、手書きPOPで伝える方法も有効です。
「甘味が強く、後味はさっぱりしています」
「果汁が多く、冷やすとさらにおいしく召し上がれます」

このような具体的な情報があれば、お客様は食べたときの満足感を想像しやすくなります。

さらに、
サラダ、デザート、朝食、スイーツなどのメニューを提案すると、果物の用途が広がります。

商品そのものを並べるだけではなく、味、食べ方、利用場面まで提案することが、商品の付加価値を高めるのです。

カットフルーツは大きな成長機会になる

果物部門の売上と利益を伸ばすうえで、カットフルーツは重要なカテゴリーです。

お客様が果物を購入しない理由には、次のような不満があります。
・皮をむくのが面倒
・切る時間がない
・生ごみが出る
・一個では量が多い
・食べ頃が分からない
・複数の果物を少しずつ食べたい

カットフルーツは、このような不満を解消できます。
購入後すぐに食べられる便利さは、お客様にとって大きな価値です。単なる加工商品ではなく、
「面倒を減らし、おいしい果物をすぐに食べられる体験」を販売していると考えるべきです。

単品のカットフルーツだけでなく、複数の商品を組み合わせれば、彩りや選ぶ楽しさも生まれます。

カットフルーツの利益改善には標準化が欠かせない

カットフルーツは売上拡大が期待できる一方で、加工時間、人件費、包装資材、値引き、廃棄などのコストが発生します。

売れていても、作業に時間がかかりすぎれば十分な利益は残りません。
そこで必要になるのが、作業の標準化です。
・果物の持ち方
・包丁の動かし方
・切る位置と厚さ
・皮や芯の除去基準
・盛り付け数量
・使用する容器
・商品化にかかる標準時間(人件費)
・製造数量と製造時刻
・消費期限と温度管理
・清掃・洗浄・衛生管理

これらを加工指示書や写真付きマニュアルにまとめ、誰が作業しても一定の品質とスピードを保てるようにします。

作業者による品質や生産性のばらつきを減らせば、教育時間も短縮できます。
1時間当たりの製造数量や売上高が増え、人時生産性も向上します。

また、
加工に必要な人件費や資材費(FLコスト)を考慮し、適正な値入れを設定することも重要です。

「売れる価格」だけでなく、
「必要な利益が残る価格」を設定しなければなりません。

「あの店で買えば間違いない」という信用をつくる

果物部門の最大の強みは、商品数の多さや価格の安さだけではありません。

「あの店の果物なら、おいしい」
「あの店で買えば間違いない」

そう思っていただける信用こそ、競合店に簡単には崩されない強みです。

ただし、
信用は一度の成功では築けません。毎日の商品管理と誠実な対応の積み重ねによって、少しずつ大きくなります。

反対に、
品質の悪い商品を販売したり、お客様の申し出に対して不誠実な対応をしたりすれば、信用は短期間で失われます。

万一、
不良品を販売した場合は、言い訳をせず、迅速かつ誠実に対応することが大切です。
お客様からの申し出(クレーム)は、商品や業務の問題点を発見し、改善する機会でもあります。

ベンダーや生産者との連携も利益を左右する

果物部門の品質を安定させるには、店舗だけが努力するのではなく、ベンダーや生産者との連携も必要です。

自店がどのような果物を販売したいのか、基準を具体的に共有します。
・必要な熟度
・味や糖度の基準
・サイズと等級
・納品数量
・納品時の鮮度
・販売予定日
・重点的に販売する商品(産地、サイズなどの設定)

売りたい商品の基準が取引先に正しく伝われば、仕入れの精度が上がります。
品質確認や返品、売れ残りなどのムダも減少します。

取引先を単なる仕入れ先と考えるのではなく、お客様に価値を届けるためのパートナーとして関係を築くことが重要です。

個人の努力を「チームの仕組み」に変える

一人の優秀な担当者だけが実行できても、継続的な成果にはなりません。

重要なのは、
チーム全員が同じ判断基準で行動できる状態をつくることです。
・品質基準を明文化する
・売場づくりのルールを決める
・加工手順を標準化する
・数値目標を共有する
・毎日の結果を確認する
・成功事例をチームで共有する
・問題があれば、すぐに改善する

基本原則を個人の経験や勘に頼らず、店舗の仕組みに変えることが必要です。
この仕組みが定着すれば、担当者が変わっても売場の品質を維持できます。

新人や経験の浅い従業員も、正しい方法を短期間で習得できるようになります。

まとめ|売上と粗利益は「信用の積み重ね」の結果

果物部門の粗利益額を5年前比205%、売上高を156%まで伸ばした背景には、特別な裏技があったわけではありません。

成果につながったのは、次の基本原則です。
①目先の売上より、お客様の満足を優先する
②鮮度・味・旬を徹底する
③糖度や食味を具体的に伝える
④メニューや食べ方を提案する
⑤カットフルーツでお客様の不満を解消する
⑥加工作業を標準化し、品質と生産性を高める
⑦FLコストを勘案した適正な値入れによって利益を確保する
⑧お客様、ベンダー、生産者との信用を積み重ねる
⑨個人の技術をチームの仕組みに変える


目先の売上を追いかけるのではなく、お客様に喜ばれる商品を確実に提供し続ける。
その積み重ねが信用を生み、売上と粗利益を継続的に伸ばします。

まずは自店の果物売場を、お客様の視点で確認してみてください。

「この果物を、今日ここで買いたくなる理由が伝わっているか」
この問いから、売場改善を始めてみてはいかがでしょうか。
(文:新谷千里)


【動画で詳しく解説しています】

YouTubeチャンネル 【スーパー】営業利益2倍@スーパーコンサル新谷
[[果物の粗利益205%達成!売上と利益を伸ばし続けるスーパーの基本原則
https://www.youtube.com/watch?v=-YbkPZgJ0Xo]]

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有限会社サミットリテイリングセンター

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