ローコストなエコの家の7年後
ビルダー探しは最終段階の作業
ネットや住宅展示場巡りとかされて色々情報を集められるところが、家造りの初めのアプローチかと思います。
ネットでも住宅展示場でも、得られる情報と云うのは、他社と比較して自社の優位性を示したものが殆どであり、建築主の要望に対してどれだけ優れているのかを表現したものはありません。そこを考えずに、メーカーの長所だけ羅列されたパンフレットを見比べても、比較する事は出来るハズがありません。また、本当に自分の求めている家に出会う事もありません。
例えていうと、A社は100mを9秒台で走れると宣伝しているのに対し、B社は42.195kmを二時間で走れると宣伝している様なもので、どちらが優れているとかは言えないのです。
ネットや住宅展示場を回って、「情報を得る」のは悪い事ではありません。
しかし、展示場に入ったり、ネットで資料請求をしたりすると、営業マンの執拗なセールスを受けてしまいます。実は、これが最大の弊害なのです。
自分たちの理想の家が、自分の頭の中で、固まり切っていないうちに、執拗な営業を受けますと、営業マンの誠意に絆されたり、面倒になったりして、後になって考えてみたら、こんな家を欲しくなかった、と云う家を掴んでしまったりしてしまいます。
自分の家に対する要望が固まっていない段階で、パンフレットの言葉や、営業マンの誠意だけでビルダーを先に決めてしまうのが、最大の間違いなのです。
インターネットで、ハウスメーカーの評判を検索しますと、有名な会社だからとか、ブランドが気に入ったからとか、住宅の性能と関係の無い選択肢を重視して、その結果、後悔していると云った相談が山の様に見られます。
後悔されている方は、全体で言えば少数なのかも知れませんが、生涯を掛けてローンを、返済して行かなければならない家造りに、失敗は許されません。
自衛手段はただ一つ。自分が欲しいと考えている家を、整理して、はっきりとカタチにした上で、その条件に最も合うビルダーを探す、と云うのが本来の順序です。カタチさえ決めてしまえば、単純に価格の比較をするだけで、ビルダーの優劣が決まります。
ビルダーの本来の仕事は、自社の工法を押し付けるのではなく、建築主から条件として与えられた、プランや仕様や性能を、どの競合他社よりも安く提供出来る様に努力する事です。
どうすれば自分の要望をまとめられるのか
情報集めに奔走しすぎると、自分の欲しい家が判らなくなります。人間の脳と云うのはINPUTとOUTPUTのバランスが取れていないと、上手く機能しない様に出来ているのです。これは私が言っているのではなく、脳科学者の茂木健一郎が、数多くの著書の中で繰り返し語っている事です。
情報ばかり集めても、結局何が何だか判らないなってしまったと云う経験は、今までに経験されている方も多いと思います。
その様な経験をされる人は、まだ正常で、中には、自分の信念は全く最初から、揺ぎ無いと云う方もおられます。
迷った経験が無いと、思っている方は情報が偏っているのです。人間は自分にとって、都合の良い情報ばかりを集めてしまう性癖があるのです。自分にとって都合の良い情報ばかりを集めてしまうと、願望が確信に変化し、事実とは真逆の結果を導き出してしまいます。
自分では迷ってしまって、結果が出せない問題や、偏った情報で誤った判断をしてしまう問題を、回避するために専門家がいるのです。
ここで言う専門家とは、営業マンではありません。建築工事に直接携わるビルダーでもありません。
建築主と、同じ目線に立てる専門家は、設計事務所です。
設計事務所は、裁判で言えば弁護士と同じ立ち位置です。裁判で弁護士を立てない人は殆どいないと思います。しかし、家造りでは、設計事務所を建築主の代理人として立てず、後で後悔する人が多いのです。
設計事務所は許認可申請だけが仕事ではありません
ハウスメーカーさんに依頼すると、設計部門の立ち位置は、許認可申請を下すだけの仕事です。しかし、設計事務所の仕事はそれだけではありません。
土地探しからプランニング、建築主の要望をまとめ実施設計図書を起こす、工事に間違いが無いか監理を行う。建物の計画から竣工に至るまで、全体に関与するオーケストラで言えば指揮者の様な役割です。
ハウスメーカーに依頼すれば、設計者の能力の10%も使わずに高い設計料を支払っているという事になるのです。しかも、建築主の代理人となり現場を監理するという事もありません。ハウスメーカーの設計部門を、先ほどの裁判の例に例えると、雇った弁護士は、調べてみると訴訟相手からも、報酬を貰っている弁護士だった、という事です。
資料は集めたけど、何が自分にとって大切なのか判断できない・・・そう思われたなら、設計事務所に相談してみましょう。