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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ)

岡田一級建築士事務所

コラム

こんなにいい加減な木構造

2019年1月11日 公開 / 2019年1月12日更新

テーマ:【免震住宅・地震対策】

木構造にだけダブルスタンダードが存在する

鉄骨造も鉄筋コンクリート造も、広い意味では、安全を検証する手段は一つです。構造計算による安全検証のみが認められています。しかし、木造だけ、簡易な筋交い計算による方法と、詳細な構造計算による方法が認められています。
普通であれば、簡易計算を行う場合は安全率を多く見込みます。例えば、省エネ計算も、簡易法と詳細法がありますが、簡易法は計算が楽なのですが、使用する断熱材は詳細法よりも性能が良い物を使用しないといけません。詳細な計算をする事によって、材料を削れるのです。
これが普通のダブルスタンダードです。
しかし、木構造は簡易法と詳細法が逆転しています。簡易な筋交い計算は、昭和26年の建築基準法発足以来ある計算方法で、昭和56年と平成12年に一部改正されていますが、基本的な考えは昭和26年もままで、経験を頼りにした方法です。後発で構造計算法が確立されましたが、構造計算法と筋交い計算ではその結果の乖離が甚だしいのです。

筋交い計算で耐震等級3を設計してみた


この画像は、筋交い計算を行って耐震等級3を設計した場合の筋交いの位置と数を示しています。赤く塗られた場所が筋交いの位置で、90x45mmの筋交いをたすき掛けで配置し、外周部には面材耐力壁を設けています。筋交いの数は1階で6か所2階で5か所あれば、良い事になります。これでも耐震等級3を狙っていますので、通常の建物の1.5倍の耐力があるとされている構造なのです。

構造計算で耐震等級3を設計してみた


この画像は、構造計算によって耐震等級3を設計した場合の筋交い位置と数を示しています。赤く塗られた場所が筋交い位置で、90x45mmの筋交いをたすき掛けして、面材耐力壁も筋交い計算と同じ位置に同じ数量を配置しています。筋交いの数は1階で12か所に増え2階でも8か所に増えています。しかしそれだけでは足らず、面材耐力壁を配置した外周部にも90x45mmの片筋交いを1階で10か所2階で3か所いれています。これでようやく耐震等級3が取得出来るのです。

矛盾している二重の基準

省エネ計算でも云いました様に、簡易計算の方が安全率を上げないといけないのに、こと木構造に関してのみ、簡易計算の方が筋交いの量が少なくて済んでしまう(安全率が下がった結果でもOK)のです。これが、地震が発生する度に、木造の建物ばかりが倒壊してしまう大きな原因です。熊本地震では筋交い計算を行った耐震等級2の家が倒壊していいます。
国が何故、こんな理不尽なダブルスタンダードを黙認しているのか理由はただ一つです。木構造に熟知した技術者が、需要に対し圧倒的に少ない為です。今まで何度も、このダブルスタンダードを解消する事が国会でも議題として上がりましたが、建設業界の混乱を理由に沙汰闇になっています。

木造住宅を地震から守るのは貴方自身です。

国がこの間違った二重基準を、政治的な理由で是正しないのであれば、貴方の財産を守るのは貴方自身でしかありません。建物を建てる際に、貴方が何も言わなければ、簡易な筋交い計算を元に、地震に弱い家を建てられてしまいます。国が筋交い計算を認めている以上、業者が筋交い計算を根拠に家を建てて、万が一それが倒壊しても何も文句が言えないのです。家を建てる際は、構造計算が条件だとはっきりと業者に伝えましょう。

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