秀光ビルドの家に調査に入りました
プラン集の中に理想の家はない
プラン集は過去の事例です。過去の事例に振り回される人が多い為、プランは中々進化しませんが、工法や住設機器の革新により常に進化しているのです。
今までの家は、住宅の気密化断熱化が進んでいませんでしたので、各部屋を独立させて空調しなければなりませんでした。人々が贅沢になるにつれ、各部屋にエアコンが付きだすと、家族は自分の部屋に引き籠り、団欒の場であるリビングには誰も人がいなくなってしまいました。
この事を考えながら、プラン集や住宅のチラシを見て下さい。キッチンやユニットバスが綺麗で便利になっても、家族が集えないリビングになっていませんか?
これからの家は付かず離れずの家になる
家族以外にも人間関係が家庭の中にまで入り込む時代です。SNSが人とのつながりの中で、多くの割合を占める世の中になりました。今は家族のつながりよりもそちらの方が重要なのか、みんなが個室に引き籠り、バラバラなSNSをしています。別に個室に引き籠るのが悪い訳ではありませんが、それで家族と云えるのでしょうか。
家族のあり方を考える場合、既製の間取りがベストであるとは、私にはとても思えないのです。
これからの住まいは、極論すれば一部屋になります。物理的には、機密化断熱化が進み、各部屋で空調するよりも、家全体を一つの空調で賄う方が、安価になる為です。また、ライフスタイルの視点から見れば、プライバシーを確保する為、壁や家具で視線をカットする様にはするけれど、少し大きめの声を出せば家族全員に意思が伝わる様な間取り配置が主流になっていくでしょう。外部との人間関係を保持しつつ、家族としての関係もスムーズに構築できる家が住みやすい家になっていくだろうと考えています。
省エネにお金を掛けない
断熱材や換気装置。また断熱工法と云ったものに、多大の宣伝費を掛けて小数点以下の数字の優劣を競っています。断熱材の本質は熱を通さない事です。性能が悪くても、断熱材の厚みを増やせば、いくらでも断熱効果は向上します。今高性能と呼ばれている断熱材は、コストと効果の割合がアンバランスなのです。安価な断熱材を厚く入れる方がコストパフォーマンスが良くなります。
また、場所の特性や、日差しの入り込み方、風の流れ等々に気を使った間取りを考える方が快適な家になります。
場所の特性とは、冬の断熱に力を入れる方が良いのか、夏の断熱に力を入れる方が快適になるのか、という事です。冬場家の中の暖気は壁・屋根・床下から均等に逃げて行きますが、夏場の熱の侵入は決して均等ではなく、屋根面が圧倒的に多量の熱を受ける事になります。その特性を考えながら、断熱材を選定するのです。
日差しの入り込み方は、冬場と夏場の太陽高度の違いを利用し、最適な庇の長さを考えたり、場合によっては外付けブラインド等で調光したりして調節します。
近畿地方は年間を通じて西方風が吹きます。その敷地のどの部分に通気窓を設ければ風が入りやすいが考えるのも、重要です。
二階の隅柱の下には必ず柱を
地震に強い家を考えるならば、セオリーがいくつかあります。
二階の柱の下に一階の柱が無い事を「岡立ち」と云います。基本は岡立ちを避ける事です。間取り構成によって100%岡立ちを避けるのは、文化住宅の様に一階と二階の間取りが同じでないと、あり得ませんが、6割以上は岡立ちでない構造にするのが無難です。特に、二階の隅柱の下には必ず一階の柱を設けましょう。
一階の部屋の短辺方向は3.6m以内にしましょう。3.6mを超えると撓み(たわみ)が大きくなります。構造計算上はもう少し長くても持ちますが、経験上部屋の中央が凹んだり、二階の震動音が一階に大きく響く様になります。
耐力壁はバランスよく配置しましょう。日本の家屋はどうしても、南側に大きな開口を取り、北側に壁が多くなってしまいます。地震が来て東西方向に揺れたとすると、北側の壁はあまり動かず、南側の壁が大きく揺れる構造になっています。車でブレーキを掛けた時、左側のブレーキが故障していればどうなるでしょうか。車はスリップして回転してしまうでしょう。家の場合車ほど剛性が高くないので、回転せずに倒壊してしまうのです。耐力壁は地震の際に車で云うとブレーキに相当するのです。バランスよく配置する事を心がけて下さい。