木造耐火建築物を建てています。
家造りでは、家族の気持ちそれぞれを、綺麗にまとめる必要があります。誰の意見が優先されても後で誰かに不満が残ります。凡その場合、損得勘定で考え始めると上手くまとまりません。
最も多いパターンは、奥様が使い勝手を重視して、旦那様が家の性能を重視されるパターンです。この使い勝手と性能は、ある側面では相反する性格を持ち合わせるのです。
例えば、使い勝手だけを考えると、動線(多くは主婦動線)を最短距離になるよう間取りを構成すると、気に入った間取りになります。但し間取りの形状はイビツで凹凸の多い平面形状になります。一言で云えば構造的にすっきりしない、暑そう(寒そう)な家です。
逆に建物の性能を追求すれば、カタチは徐々に球体に近付きます。自然界で球体が最も安定的で、耐震・温熱性能に優れるためです。それで絵として見ている分には美しいのですが、実際に住むとなると無機質で味気ない殺風景な家になります。
奥様を中心に話しをすれば、前者の様な家になり、旦那様と話しを進めて行けば後者の様な家になります。そうして、言われる通りのまま設計してしまうと、出来上がってから、双方から不満が出ます。
奥様主導で話しを進めると、完成してから暑くて(寒くて)堪らないと云われ、旦那様主導で話しを進めると、使い勝手が悪いと苦情を聞くことになります。
家の良さはバランスの良さです。一人で住む家であれば結論は明快ですが、家族が住む家ではお互いを思いやる気持ちが必要です。人々から親しまれる家はバランスの良い居心地の良い家です。そう言う家にする為に必要なプラスアルファは人を思いやる愛です。