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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

ハウスメーカーの選び方

2012年1月30日

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

対応の良さや性能の良さだけではなく、その家を好きになれるかが問題かと思います。
ハウスメーカーの家が嫌いで検討する訳はないので、良いところがあるのだろうと思いますが、良いところがあるからと云って好きになれるとは限りません。
そう云う意味では恋愛に似てるかも知れませんね。
その家が本当に好きであれば、向こう何十年も支払うローンも辛くないはずです。でも好きでなければ、負担の辛さが募ってくると思います。初めは新しいので、綺麗で人にも自慢出来ますが、そのうち近所にもっと新しい家が増えてきて、キッチンやユニットバスも新製品と比べ見劣りする様になります。そんな家でも好きでいられる自信があるならハウスメーカーに依頼されても良いかと思います。

先日、京都嵯峨野の落柿舎を35年振りに尋ねました。私が学生時代に先輩から「300年前に建った家があるから見て来い」と云われて見に行った建物です。落柿舎は、松尾芭蕉の門人、向井去来の閑居で当時の庶民の住居の佇まいを良く残しています。
決して贅沢な造りではありません。屋根は当時庶民まで普及し始めた瓦屋根ではなく、藁葺き屋根です。壁も漆喰壁ではなく土塗りの荒壁のままです。柱に至っては今で言う間伐材です。学生だった私は、この家が何故300年間も壊れず、壊されず今まで残ったのか理解出来ませんでした。
今回尋ねて、何故この家が残ったのか判る気がしました。嵯峨野と云う風土、向井去来と云う人物が落柿舎と符合しているのです。その土地にだけ合う家、その人にだけ合う家が、嵯峨野を愛する人に愛され、向井去来を慕う人に愛されたからこそ、300年の風雪に耐えたのです。
繰り返しますが、決して贅沢な家ではありません。当時なら何処にでもある普通の家だったでしょう。
同じお金を掛けるなら、自分が本当に好きになれる家造りを目指してください。そうでないと、月々のローン返済が重荷になります。

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福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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