査定額と成約価格はなぜ違う?差が生まれる理由
こんにちは。大阪市西区で不動産仲介をしているクレアクロスの重村です。
築50年近いご実家の売却相談で、よくこんな質問をいただきます。
「こんな古い家、壊して更地にしてから売った方が売れますよね?」
気持ちはよくわかります。ただ、先に解体してしまったことで、かえって損をしたり売りにくくなったりするケースも実際にあります。今回は「解体して売るか、古家付きのまま売るか」を判断する3つのポイントをお話しします。
①解体すると、建て替えできなくなる土地がある
最初に確認したいのは「その土地に、もう一度建物を建てられるか」です。
建築基準法では、原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していないと建物を建てられません(接道義務・43条)。大阪市内には、細い路地の奥の家や、昔ながらの長屋が今も多く残っています。こうした土地は、今ある建物を使い続けることはできても、壊すと新しく建てられない「再建築不可」になっている場合があります。
再建築不可の土地を更地にすると、買い手は「家を建てられない土地」を買うことになり、価格も買い手の数も大きく下がります。古家付きのままなら、リフォームして住みたい方や賃貸に出したい投資家が買い手候補になります。
また長屋の場合、自分の住戸だけを切り離して解体するには、構造上も実務上もお隣の協力が欠かせません。
解体の見積りを取る前に、まず役所で道路の種類と接道状況を調べることが先です。
②解体のタイミング次第で、固定資産税が数倍になる
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、固定資産税の課税標準は200㎡以下の部分で6分の1に軽減されています。建物を壊して更地のまま1月1日(賦課期日)を迎えると、翌年度からこの軽減がなくなり、土地の税額が数倍に上がることがあります。
「年内に解体して、年明けから売り出そう」と動いた結果、売れるまでの間に高い固定資産税を払い続けた、という話は珍しくありません。
解体費用も、木造で延床30坪程度なら100万円台から、重機が入らない狭い路地ではさらに高くなります。解体前のアスベスト(石綿)事前調査も法律で義務付けられています。売れる前に、税金と解体費の両方を先に負担するリスクを考えておきましょう。
③「古家付きで売り出し、更地渡しで契約」という選択肢
私がよくご提案するのは、古家付きのまま売り出し、買主さまの希望に応じて条件を決める方法です。
・建物を使いたい買主さま → 現況のまま引渡し
・新築を建てたい買主さま → 売買契約の後、引渡しまでに売主負担で解体する「更地渡し」
こうすれば、買い手が決まってから解体費をかけるので無駄がありません。
ただし、古家付きで売る場合も契約書の書き方が大切です。「建物は価格に含まない」「建物の契約不適合責任は負わない」といった特約を入れるのが一般的ですが、売主が知っていて告げなかった不具合(雨漏りやシロアリなど)は、特約があっても責任を免れません(民法572条)。知っていることは告知書できちんと伝えましょう。
更地渡しの場合は、解体後に地中から古い基礎やガラなどの埋設物が出たときの扱いも、契約前に決めておくと安心です。
まとめ
「古い家=壊した方が売れる」とは限りません。
・再建築できる土地かどうか
・解体するなら、いつ壊すか(1月1日をまたぐか)
・誰が・いつ・いくらで解体するかを契約で決めておくこと
この3つを確認してから判断すれば、大きな失敗は避けられます。
ご実家の売却で迷われたら、解体業者に連絡する前に一度ご相談ください。土地の調査から、解体する・しないそれぞれの手取り額の比較まで、一緒に整理いたします。
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