値下げ交渉が来た!売主が決める3つのこと

重村裕一

重村裕一

テーマ:不動産売却

こんにちは。大阪市西区で不動産仲介をしているクレアクロスの重村です。

「売り出して3週間、やっと購入申込が入りました。でも『300万円下げてくれたら買う』と書いてあって……受けるべきでしょうか?」

売却のご相談で、いちばん気持ちが揺れるのがこの場面です。待ちに待った申込だからこそ、焦って即答したくなる。でも、ここで見るべきは金額だけではありません。
今回は、購入申込(買付証明書)が届いてから売買契約を結ぶまでに、売主さまが判断すべき3つのポイントを整理します。


①まず知っておきたい「買付証明書」の重さ

購入申込書(買付証明書)は、買主さまが「この条件で買いたい」という意思を示す書面です。ただ、これ自体は売買契約ではなく、一般的には法的な拘束力はないとされています。売主さまが出す「売渡承諾書」も同じです。

つまり、申込が入っても契約が成立したわけではありません。買主さまが撤回することもあれば、後から別の方がより良い条件で申込むこともあります。「一番手」「二番手」という言い方も業界の慣行で、法律上の優先権ではありません。

だからこそ、申込書の金額と一緒に「なぜこの金額なのか」「いつ契約・引渡しを希望しているか」「住宅ローンを使うか」まで確認することが大切です。


②値下げ交渉は「根拠」と「時間」で判断する

指値(値下げ交渉)が入ったときは、気持ちではなく材料で判断します。

・近隣の成約事例と比べて、こちらの価格に無理はないか
・売り出してからの期間と、問い合わせ・内覧の数
・買主さまの値下げ理由(リフォーム費用の見積りなど)に根拠があるか

以前、大阪市内のマンションで、売主さまが「100万円でも下げるのは嫌だ」と申込をお断りしたところ、その後3か月ほど反響が途絶え、結果的に最初の申込より低い金額で成約したことがありました。
逆に、売り出し直後で内覧が続いている時期なら、無理に応じる必要はありません。全部飲むか断るかの二択ではなく、「50万円なら」「引渡し時期をこちらに合わせてもらえるなら」といった歩み寄りも選択肢です。


③金額より大事なことも。手付金とローン特約

見落としがちなのが契約条件です。

手付金は、一般的に売買価格の5〜10%程度が目安で、通常は解約手付として扱われます。相手方が契約の履行に着手するまでは、買主さまは手付金を放棄して、売主さまは手付金の倍額を現実に提供して、契約を解除できます(民法557条)。手付金が少なすぎると、買主さまにとって解除のハードルが低くなります。

また、住宅ローンを使う買主さまの場合は、ローン特約(融資利用の特約)を付けるのが一般的です。期日までに融資の承認が得られなければ契約は白紙となり、手付金は買主さまに返還されます。期日が長すぎると、その間売主さまは次の買主さまを探せません。事前審査の通過状況と、特約の期日・借入予定額・金融機関を契約前に確認しておきましょう。

「金額は高いけれどローン審査に不安がある方」と「少し安いけれど現金で早く決まる方」。どちらが売主さまにとって良い買主さまかは、条件全体を並べてはじめて見えてきます。


まとめ

購入申込が入ったときこそ、一呼吸おいて「申込書の重さ」「根拠と時間」「契約条件」の3つを並べてみてください。
仲介会社の役目は、申込をただ取り次ぐことではなく、売主さまが納得して決められる材料をそろえることだと考えています。
「申込が入ったけれど、どうしたらいいか迷っている」という段階のご相談も、どうぞお気軽に。


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重村裕一
専門家

重村裕一(宅地建物取引士)

株式会社クレアクロス

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