任意売却と競売、あなたならどちらを選ぶ?
「住宅ローンだけでなくカードローンもあって、弁護士さんから自己破産をすすめられています。家の売却はどうしたらいいですか?」
任意売却のご相談では、こうした声をよくいただきます。
自己破産と任意売却は別々の手続きですが、どちらを先に進めるかで、手続きの進み方や家の売れ方が変わることがあります。
今回は、その順番の考え方を3つのポイントで整理します。
①破産手続が始まると、家を売るのは「管財人」になる
自己破産の申立てをして破産手続開始決定が出ると、家などの財産を管理・処分する権限は、裁判所が選ぶ破産管財人に移ります(破産法78条)。
その後も任意売却で売ること自体はできますが、売るのはご本人ではなく管財人です。売却価格や引渡し時期、引越し費用の扱いも管財人の判断が中心になり、売却代金の一部が破産財団に組み入れられるのが一般的です。
また、家を持ったまま申し立てると、売るべき財産があるとして管財事件となり、裁判所に納める予納金の負担が増えることがあります(扱いは裁判所の運用や個別事情によります)。
②先に任意売却する場合は「適正な価格」と「公平な返済」が条件
申立て前に任意売却を済ませておけば、手続きをシンプルにできる場合があります。
ただし、ここには大事な条件があります。
・相場より明らかに安い価格で売らないこと(親族や知人への売却は特に注意)
・売却代金は配分案に沿って債権者へ支払い、手元に隠さないこと
・特定の債権者(家族・知人など)にだけ先に返済しないこと
不当に安い売却や一部の債権者だけへの返済は、後で管財人に取り消されたり(否認)、免責が認められない理由になったりするおそれがあります(破産法160条・162条・252条)。
だからこそ、任意売却では査定の根拠や販売経過を記録に残し、適正な価格で売れたことを説明できるようにしておくことが大切です。
③弁護士と不動産会社が「同じ日程表」で動く
以前、大阪市内のマンションにお住まいの方から、弁護士さんへの依頼と同時期にご相談をいただきました。
弁護士さんと早い段階で連絡を取り合い、「売却を先に進め、決済後に破産を申し立てる」という順番を確認。債権者との配分交渉、引越し時期、申立ての準備を一つの日程表にまとめて進めた結果、競売の開札前に売却を終え、落ち着いて新生活の準備ができました。
なお、自己破産をしても連帯保証人の債務はなくならず、税金なども免責されません。
家を残したい場合は、住宅ローン特則付きの個人再生という選択肢もあります。どの手続きが合うかは、必ず弁護士にご相談ください。
まとめ
任意売却と自己破産は「どちらが正解」ではなく、どう組み合わせるかが大事です。
・破産手続開始後は管財人が売却の主導権を持つ
・先に売るなら適正価格と公平な返済が条件
・弁護士と不動産会社が日程を共有して動く
法律判断は弁護士、私たち不動産会社は「いくらで、いつまでに売れるか」をお伝えする役割です。
ひとりで抱え込まず、早めにご相談ください。
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