悪徳リースバックの実態
不動産の売却を考えたとき、まず気になるのが「うちの物件はいくらで売れるのか?」ということではないでしょうか。
不動産会社に査定を依頼すると、たとえば「3,200万円」という数字が出てきます。ところが、実際に売れた価格は2,900万円だった——こんなケースは珍しくありません。
なぜ査定額と成約価格にズレが生じるのか。大阪で不動産仲介に携わってきた経験からお伝えします。
①査定額はあくまで「売れるであろう価格」の予測
まず大前提として、査定額は「確定価格」ではありません。過去の取引事例や周辺相場、物件の状態などを総合的に判断して算出した「この価格帯なら売れる可能性が高い」という予測値です。
宅建業法では、不動産会社が査定を行う際に「価格査定マニュアル」などに基づく合理的な根拠が求められています。しかし、根拠があっても市場の動きや買い手の心理までは完全には読み切れません。
私の経験でも、同じマンションの同じ間取りで、売り出す時期が3ヶ月違うだけで200万円以上の差が出たことがあります。不動産は「生もの」で、需要と供給のバランスによって価格が動くのです。
②高い査定額を出す会社が良い会社とは限らない
複数の不動産会社に査定を依頼すると、会社ごとに査定額が異なります。ここで注意していただきたいのが、「最も高い査定額を出した会社に任せれば高く売れる」とは限らないということです。
業界では「高預かり」と呼ばれる手法があります。相場より高めの査定額を提示して媒介契約を取り、その後「反響がないので値下げしましょう」と段階的に価格を下げていくやり方です。
結果的に、最初から適正価格で売り出した場合より売却期間が長引き、成約価格も下がってしまうことがあります。
大阪市内のマンション売却でも、最初に強気の価格で出して半年以上売れ残り、最終的に当初の査定額より300万円以上安く売れたというご相談を受けたことがあります。
③売主の事情と買主の交渉が価格を動かす
もうひとつ大きな要因が、売主側・買主側それぞれの事情です。
たとえば、転勤や住み替えのスケジュールが迫っている場合、多少の値引きに応じてでも早く売りたいと判断されることがあります。逆に、急がない売主であれば強気の価格交渉ができます。
また、買主側もローンの事前審査額との兼ね合いで「あと100万円下げてもらえれば購入できる」と交渉してくるケースは日常的にあります。
民法上、不動産の売買契約は売主と買主の合意で成立しますので、最終的な成約価格は両者の交渉の結果です。査定額はあくまでスタートラインに過ぎません。
まとめ
査定額と成約価格の差が生まれる理由は、査定が予測値であること、不動産会社の営業戦略、そして売主・買主の交渉という3つの要素が絡み合っているからです。
大切なのは、査定額の「高い・安い」だけで不動産会社を選ばないこと。査定の根拠をしっかり説明してくれて、売却戦略を一緒に考えてくれるパートナーを見つけることが、納得のいく売却への第一歩です。
売却をお考えの方は、まずは複数社の査定を比較し、その根拠まで確認してみてください。
クレアクロス株式会社
代表取締役 重村裕一


