悪徳リースバックの実態
「隣との境目がどこか、実ははっきり分かっていないんです」
実家やご自宅の売却相談をお受けしていると、こうしたお話は珍しくありません。塀がどちらのものか分からない、境界標が見当たらない、昔から何となくこの線でやってきた。特に大阪市内のように住宅が密集した地域では、よくあることです。
結論から言えば、境界があいまいでも売ること自体はできます。ただし、売れる価格・売れるまでの期間・売った後の責任は、ここで大きく変わります。価格や税金の話より前に、まず足元を確かめていただきたい部分です。
①「公簿売買」と「実測売買」のどちらで売るか
土地の売買には、登記簿に記載された面積をそのまま前提にして取引する公簿売買と、測量した実際の面積で精算する実測売買があります。
登記簿の面積は、明治期の地租改正までさかのぼる古い測量が元になっている土地も多く、実測すると差が出ることがあります。狭い土地ほど、わずかな差でも単価に跳ね返ります。
そして買主の立場で考えると、境界が確定していない土地は「買った後に隣地の方と話し合う仕事」が残ったまま引き渡されるということです。建て替えや駐車場の位置ひとつでもめる可能性が残る。だから多くの買主は、確定測量を条件に出すか、そのリスクを差し引いた価格でしか手を挙げません。値引きの理由が価格交渉ではなく境界にある、というケースは実際にあります。
②確定測量は「自分だけ」では終わらない
ここが最も誤解されやすい点です。確定測量は、土地家屋調査士に依頼すれば自分のペースで完了する手続きではありません。隣地の所有者に立ち会っていただき、境界の位置に納得のうえで筆界確認書に署名・押印をいただいて、はじめて形になります。
つまり、相手のある手続きです。
・隣地が空き家で連絡先が分からない
・所有者がお亡くなりになり、相続登記が済んでおらず相続人が複数いる
・遠方にお住まいで、立会いの日程が合わない
こうした事情があると、期間は一気に延びます。民民の境界だけでも一〜三か月、前面が公道で役所の立会い(官民境界の明示)が必要な場合は、さらに数か月かかることも珍しくありません。費用も数十万円規模になるのが一般的で、土地の形状や隣地件数によって幅があります。
売却を決めてから動くと、この期間がそのまま「売れない時間」になります。売ろうかどうか迷っている段階で測量の見積りだけ取っておく。それだけで、後の選択肢がかなり広がります。
なお、どうしても隣地と折り合わない場合は、法務局の筆界特定制度という公的な手続きもあります。とはいえ争いにまで発展すれば土地家屋調査士や弁護士の領域です。まずは、もめる前の確認として動くことをおすすめします。
③越境物は「なくす」より「書面にする」
境界と一緒に必ず出てくるのが越境の問題です。隣のブロック塀がこちら側に数センチ入っている、屋根の庇が出ている、樹木の枝が伸びてきている。
これらは、その場で壊したり切ったりして解決する話ではありません。実務でよく使うのは越境の覚書です。現状の越境を互いに確認したうえで、「将来、建て替えや取り壊しを行う際には是正する」という内容を書面にしておく。買主にとっては、状況が可視化され、次の世代に引き継がれる形になっていることが安心材料になります。
樹木の枝については、令和五年四月施行の改正民法により、隣地の所有者に切除するよう催告しても相当の期間内に応じない場合などには、こちら側で切り取ることができるようになりました。ただし、いきなり切ってよいわけではありません。順番があります。根はもともと自分で切ることができますが、いずれにせよご近所関係が続くことを考えれば、一言添えるに越したことはありません。
まとめ
売却の準備というと、リフォームや掃除、査定価格の比較に目が向きがちです。けれど、土地に関して本当に時間がかかるのは境界です。
・境界標が現地にあるか、歩いて見てみる
・過去の測量図や筆界確認書が家のどこかにないか探す
・隣地の所有者と、今も連絡が取れる状態かを確認する
この三つは、売ると決める前でもできることです。特に三つめは、時間が経つほど難しくなります。隣にお住まいだったご高齢の方がお元気なうちであれば立会いをお願いできたのに、というのは、現場で何度も見てきた場面です。
境界そのものの確定は土地家屋調査士、争いになれば弁護士の領域です。私たち不動産会社の役割は、今の状態で売るといくらぐらいになりそうか、測量をしてから売るとどう変わりそうかを、良いことも悪いことも含めて正直にお伝えすることだと考えています。
「うちは境界が分からないから売れないかもしれない」と、相談そのものをあきらめてしまわれる方がいらっしゃいます。そんなことはありません。まずは現状を一緒に確認するところから始めましょう。
▼お問い合わせは公式LINEから
ご相談・お問い合わせは、こちらの公式LINEよりお気軽にどうぞ。
公式LINEでお問い合わせ
▼あわせて読みたい不動産売却のコラム
雨漏りを黙って売ったらどうなる?
家を売った後の税金、3000万円控除は使える?


