台風で壊れた家、引渡しはどうなった

重村裕一

重村裕一

テーマ:忘備録

「契約は済んだので、あとは引渡しを待つだけですね」

そうお伝えした数日後に、大阪へ台風が接近しました。大阪市西区で不動産仲介をしております、重村です。今回は珍しく、契約から引渡しまでのあいだに実際に起きたトラブルの記録です。

①契約後、引渡し前に物件が傷んだ

中古一戸建ての売買契約を締結し、引渡しを2週間後に控えたタイミングで大型台風が大阪を直撃しました。引渡し前の最終確認で訪問すると、屋根瓦の一部がずれ、窓のサッシ周りから雨水が入った跡が見つかりました。買主様は「これでは契約したときの状態と違う」と当然ご不安な様子でした。

②危険を負うのは売主か買主か

ここで整理すべきは民法536条と567条です。567条は「引渡し後」に当事者双方の責めに帰さない事由(台風などの天災を含む)で物件が滅失・損傷しても、買主は代金の支払いを拒めないと定めています。裏を返せば、引渡し「前」の損傷については536条の原則に戻り、双務契約の債務者(=物件を引き渡す義務を負う売主)がリスクを負います。買主様は補修されていない状態での引渡しを拒み、代金の支払いを留保することができる立場でした。

③現場でどう動いたか

売主様の火災保険で修理費用がまかなえるかをすぐに確認し、保険会社の現地調査と見積りを急いでもらいました。引渡し日は買主様・売主様双方の書面合意のうえで1週間延期し、修理完了後にあらためて双方立会いのもと写真付きで状態を確認してから決済・引渡しに進みました。あわせて、買主様ご自身の火災保険の始期を引渡し日に合わせて再調整していただくこともお願いしました。

まとめ:契約から引渡しまでの「空白の期間」にもリスクがあることは、意外と知られていません。とくに台風シーズンの大阪では他人事ではないお話です。契約を結ぶ際は、担当者に「引渡し前に物件が傷んだらどうなりますか」と一度聞いてみてください。その答え方で、契約書のどこを見ているかがわかります。

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重村裕一(宅地建物取引士)

株式会社クレアクロス

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