マナーうんちく話2282《心の後始末を大切にしたい「誠実な去り際の作法」》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:ビジネスマナー

●虫たちの始動
一雨ごとに気温が上昇し、日差しも次第に暖かくなってきます。
こうなると、草木が芽吹くとともに、人も虫も「さあ、これから頑張るぞ」と意気込みを始めます。

3月6日は二十四節気のひとつ「啓蟄」。
ちなみに昔は哺乳類、爬虫類、両生類といった分類はありません。
従ってここでの虫は蟋蟀も鈴虫もトカゲもカエルも蛇もすべて含みます。

また「虫」という漢字は、本来は毒蛇を意味する象形文字だといわれています。

いずれにせよ、春を歓迎する気持ちは草木も虫も人も同じということでしょう。

●美しい別れ方を求めて
ところで日本ではこの時期に人事異動、卒業、定年退職、引っ越しなどの環境変化が集中します。

喜びや悲しみ、寂しさ、切なさ、期待などなど様々な感情が交差する時期ですね。

ちなみに「最初」と「最後」を大事にする日本では、「後始末」や「けじめ」という言葉が存在します。

「けじめが大切」とよくいわれますが、けじめは四季の変化や稲作の文化の中で生まれた日本独特の概念で、このような美意識は日本人にしっかり根付いており、季節の流れに節目をつける多くの風習も定着しています。

また年度末である3月は、「有終の美を飾る」や「立つ鳥跡を濁さず」の諺が良くお似合いです。

「別れ際が大事」ということで、そのポイントに触れておきます。

●誠実な引き際
マスメディアによく登場する指導的立場にある人の、往生際の悪さには閉口しますが、最近「潔い」という言葉が死語になってきた感があります。

誠実な引き際を心がけたいものです。
ポイントは下記の通りです。
〇まずは感謝の気持ちをきちんと表現することが大事です。
〇自分が去った後に、残された人が困らないようにきちんと物事を終えておくよう心掛けて下さい。
〇相手の話をしっかり聞いて下さい。

●感心できない引き際
○急に別れ話をしない。
〇定年退職のように誰もが解っている場合を除き、解れる理由を告げないままわかれない。
〇ラインやメールだけでの別れ。
〇感情的になっての喧嘩別れ。
〇急に音信不通になる。
〇悪口だらけでの別れ。

意外に周囲の人は、その人に引き際をしっかり見ているものです。
以上のポイントを参考に、去り際は美しくしてくださいね。

●他人に気を配る江戸しぐさ
別れ際を粋に演出するための「後引きしぐさ」があります。
相手にもう一度会いたいと思わせるような別れ方です。

たとえば相手と別れる際、挨拶をしたら、さっさと帰るのではなく、相手の姿が見えなくなるまで見送る所作です。

そこまでしたら、相手に心理的な負担をかけるのでこれは感心しないという意見もあります。
そこで昔の達人は、お月様を見るような仕草をしながら、客人を見送ったという話があります。

一方もてなしの作法には「お迎え3分、お見送り7分」という言葉があります。
終わりは次の出発になるので、特に終わりを大事にし、丁寧なお見送りを心がけるということです。

日本人は食後の感謝の言葉や卒業式な送別会など、心の後始末を大切にする国民性です。

勿論「出会い」も大切ですが、出会いを大切にするということは、別れを大切にすることでもあります。

ビジネスシーンでもプライベートシーンでも特に別れ際は大切にして下さい。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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