マナーうんちく話486≪大切にしたい序列のマナー≫
「笛吹けども踊らず」という諺がありますが、蔓延防止重点措置や緊急事態宣言下におけるテレワークの普及、外出自粛などをみても、政府や自治体の唱える言葉の効力は低下している気がしてなりません。
いろいろな理由はあるにせよ、踊ってもらおうとして一生懸命笛を吹くのに、踊るものがいなければこれほどみじめなことはないでしょう。
日頃の信頼関係が大切ということですね・・・。
職場しかりです。
今回は従業員に安心感を与え、高い業績を上げることが期待できる《職場に礼節が根付く方法》について触れてみます。
「類は友を呼ぶ」といわれますが、礼節は礼節を生みます。
だから職場における上司を筆頭に、全ての人が礼節を身に付ければ、多大な効果が期待できるでしょう。
「個人的」には、多くの人と良好な人間関係が築けます。
ビジネスシーンで最も大切な人脈が築けるということです。
従っていろいろな仕事も得られやすくなるし、その結果、昇進も期待できます。
また昇進しても部下との信頼関係が築けるので、窮地に陥った時にも部下から助け船を出してくれるでしょう。
加えて、そんな上司の下で働ける部下は安心が得られます。
モチベーションが上がり、実力が発揮できるということです。
「組織全体」としては業績アップにつながります。
良く効く薬は副作用が心配ですが、礼節には副作用は伴いません。
しかも宣伝費のように経費はかかりません。
一方「無礼な組織」になると、無礼は速いスピードで伝播し、次の無礼を呼びます。
もちろん礼節にも同じことが言えますが、礼節と無礼とでは雲泥の差があるということです。
では礼節のある職場にするための具体的方法に触れてみます。
【リーダーが率先して礼節を身に着ける】
これまで多くの企業、各種団体、地域等に講演に伺いましたが、その際、毎回できる限りトップや幹事の方との会話を大切にしています。
そしていつも感じることは、業績を上げている職場、元気のいい地域、存在感の大きい団体等は、例外なく素晴らしいリーダーに恵まれているということです。
また「雛鳥は親鳥の通りにさえずる」といわれますが、リーダーが礼節を発揮すれば、部下もそれに倣います。
特に社会経験の少ない人ほど、大きな影響を受けるでしょう。
しかしリーダーが無礼な振る舞いをすれば、周囲の人はストレスがたまり、業績に多大な悪影響が出る恐れがあります。
残念なことですが現在は、国際化の進展、世代や職場環境や人間関係の変化で、多くの職場で礼節は低下傾向にあると思います。
さらにオンラインでの仕事の増加により、人と人との関りが薄れ、面と向かって人と接する方法が解らなくなるなどで、職場の礼節はさらに下がる危険性があります。
このような時こそリーダーの存在が大切です。
世の中が順調に右上がりの時はそんなに差は出ません。
しかし今のような非常時の時には明暗が分かれてきます。
リーダーは将来のビジョンを描き、それを具体化させる戦略を練る必要がありますが、非常時ではさらに非常事態を乗り越えられる多彩な知恵が求められます。
そしてこれらを実行に移すには、日頃の信頼関係が不可欠ということになります。
信頼関係が亡くなれば笛を吹いても誰も踊ってくれません。