マナーうんちく話486≪大切にしたい序列のマナー≫
「江戸しぐさ」は、将軍家御用達の名だたる商人が、さらなる繁栄を願って創意工夫を凝らした側面が多々あるので、当時の商人にとっても大変魅力的だったようですね。
江戸しぐさを理解し積極的に発揮できれば、商売繁盛は保障されたようなものだったのでしょうね。
だから、江戸しぐさは「繁盛しぐさ」とも言われるわけです。
そんな素晴らしい先人の知恵を、現代のビジネスに生かさない手はないと思いますが如何でしょうか?
兎に角実用的で、合理的に出来ています。
しかも、特別に難しいことではなく、誰でも、どこでも発揮できます。
要は心がけ次第でしょう。
例えば「一期一会」の精神。
「このお客様はもう二度と来ないから、今最高のお持て成しをしなくては」の思いで接客すれば、店の繁栄間違いなしです。
「人を見る目」も大切です。
江戸しぐさは他人を見る目をとても大切にしていますから、人を評価するポイントが実に多かったようです。
大店(おおだな)の頭の切れる番頭は、顧客のニーズを、数ではなく、質で捉えて、それに基づき商品構成を考えたと言われています。
素晴らしい販売戦略です。
「人使い」しかりです。
家柄や学歴の無い丁稚でも、能力が有れば番頭にとりたててもらえるチャンスがあります。これは働く側にとっては大変魅力的です。
今、競争から共生と言う言葉が良く聞かれますが、江戸しぐさはビジネスの面でも、共倒れしないような仕組みが工夫されています。
例えば、順調に商売が持続できるように、必要な「掟」を作り、それを守り、違反者を取り締まることにも力が注がれていたようです。
また、今もそうですが、江戸の商人は接客業ですから、相手はお客様です。
常に「言葉遣い」に気配りをします。
いつもお客様に対して、感謝や尊敬の気持ちを込めて、ひとこと、ひとことに真心を込めるわけです。
従って当時の商人は、読み・書き・算盤と共に、「見る・聞く・話す」ことを大切にしています。
「ありがとうございます」の言い方も参考になります。
このコラムでも既に触れておりますが、「ありがたい」とは「有り難い」の意味です。
お客様が同じ味噌や醤油を買うにしても、味噌や醤油を売っている店はいくらでもあります。
その多くの店の中から、あえて自分の店を選んでいただいたのですから、お迎えする時や、お帰り頂く時の言い方もより丁寧になります。
今はビジネスや経済、さらに労働形態が何かと複雑多様になり、それに対応できるような知識やスキルが問われますが、ビジネスの原点はこれらの江戸しぐさにあるような気がします。
自分も潤い、お客様も潤い、その結果社会が潤うようなビジネスを心掛けたいものです。具体的な江戸しぐさに触れておりますので是非参考にして下さい。