マナーうんちく話395≪仕事と我慢≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:ビジネスマナー

もうすぐそこに冬が訪れているようで、北風の日が多くなり、地面には枯れ葉が目立つようになりました。

北風に吹かれて、木の葉が、しきりに、ハラハラと舞い散る様子や音を、時雨に例えて「木の葉時雨(このはしぐれ)」と言います。

半年前までは滴るような若葉も、赤や黄色に色づき、やがて北風に吹かれ、落ち葉になっていきます。自然というものは、儚いものですね。

ところで、「瑞穂の国」である日本は、古くから、穀物の収穫を祝う風習が有り、秋に実った米を神様にお供えし、その年の収穫を感謝する「新嘗祭(にいなめさい)」と言うお祭りが有りました。

昔は、国民の大部分が農業に従事していたので、この「新嘗祭」は日本人にとって、とても大切なお祭りでしたが、戦後は「勤労感謝の日」になりました。

勤労感謝の日は、働く人の祭典だから、素直に喜びを表現したいところですが、最近では、素直に喜べない現実が有ります。

厚生労働省が発表した3年以内の離職率は、「教育・学習支援」の分野では48,8%、「宿泊・飲食サービス」では48,5%、さらに2009年の新規学卒者では、中学卒で約64%、高校卒で約36%、大学卒で約29%となっています。

勿論、一概に離職が悪いとは言えません。
早く決断した方が良い場合も有ります。

しかし、職場に慣れたり、学生時代とは全く異なる人間関係を築いたり、仕事を覚えるには、それなりの我慢や時間が必要です。

「若い時の苦労は金を払ってでも経験しなさい」といわれます。
また、「千里の道も一歩から」と言う言葉も有ります。

いくら学生時代に多くの資格を修得しても、最初から自分の思い通りにできる仕事は、まずないと思います。

平凡で、単調に思えるような仕事、きつい仕事、汚い仕事、地味な仕事と思えるような仕事でも、誠実に、一つずつ確実にこなしてからこそ、将来に続くものだと考えます。

だから、それをなしとげてこそ、仕事の知識やスキルが身につくものです。
そして、その過程で良好な人間関係が築けるわけです。

どうか、短気を起こさず、与えられた条件で、今いる場所で、最善を尽くして下さいね。

そして先輩や上司も、それを温かく見守り、気軽に声を掛けて頂きたいと思います。相談にも乗ってあげて下さい。

このコラムでも何度も書きましたが、先輩や上司の、「先手必勝の挨拶」だけでも、かなり早期離職は、改善されるはずです。

キャリア教育支援員から、今では再就職を目指している人に「職業人講話」を担当していますが、いつも痛感することです。

「米」と言う字は、分解すれば「八」と「十」と「八」に成るように、すべて手作業だった頃の稲作には、88の手間暇がかかったと言われます。

しかし、これだけでは不十分です。
水や日照りなど、天候の条件もありますので、自分らの手に負えないところを神様にお願いしていたわけです。
これに起因した年中行事が多いのは、このためです。

美味しいコメを食べるには、それなりの苦労や努力や知恵や協働が必要です。
それを克服してきたからこそ、今の日本が有るのではないでしょうか?

勤労感謝の日は、仕事の不平や不満より、元気で仕事ができることに感謝したいものですね。



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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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