マナーうんちく話53≪接客の歴史と社会貢献≫
マナーうんちく話50《接客力向上テクニック》
接客・接遇マナー『接客力・接遇力がグーンとアップする秘訣』
春の訪れは心が躍ります。
3月6日は二十四節季の一つ「啓蟄」。
寒い冬の間、土の中で冬眠していた虫や蛇や蛙やトカゲ達が、春の気配を感じて、目を覚まし、活動し始める頃です。いよいよ春ですね。
ところで今まで、接客・接遇に関して多くのことに触れてきましたが、ここまで理解して頂けたら、日常の接客・接遇は先ず大丈夫だと思います。後は実践あるのみ。そして経験を積むことですね。今回はさらにレベルアップを図りたい人、指導的立場にある人等のために、少し高度な接客・接遇テクニックについて大切なお話しをいたします。
◆お客様の入店時
先ず目を合わし、笑顔の挨拶が基本ですが、特に常連客の場合は、「挨拶+前向きなひと言」が大切です。お世辞、賞賛のスキルが有ればいいですが、無ければ今日の天気を褒めて下さい。「平松様いらっしゃいませ。いつもありがとうございます。今日は春らしい良い天気になりましたね」等。ポイントは好感のもたれる表現です。同じ雨でも、「今日は良い雨が降りました。野菜が喜んでいるでしょうね」と発するか、「今日はいやな雨ですね、雨の日は気分も参りますよね」、とでは雲泥の差になります
◆お客様を見極める
お客様がどのようなタイプの人かどうか、すばやく見抜くことは必要です。
客様の心理も10人10色だからです。
私はフレンチレストランでの接客でしたが、最初は「身なり」でどのようなお客様か?ある程度判断しました。特にディナータイムなどは、フレンチレストランは非日常的空間になりますので、お客様自身もファッションには気配りされるのが普通です。次に態度、表情、言葉遣い等が参考になります。さらにグルメ目的か、接待か、デートか等を考慮し、それなりの席に案内します。デートの場合はレディ-ファーストに努めますが、接待の場合は、主品を見極める必要があります。上位者優先だからです。
メニューをお持ちしてからの「声かけ」のタイミングも大切です。フランス料理にあまり慣れてないようなお客様には、良き相談者になり、解り易くアドバイスします。「メイ アイ ヘルプ ユウ!」の精神です。
料理通のお客様には心置きなくメニューをご覧いただき、ワインとの兼ね合いがありますから、ソムリエが赴きます。商品説明も専門用語などを交え、お客様のプライドをクスグル時もあります。
このようにお客様の様子をしっかり観察し、さらにお客様の行動、視線などにも注意を払い、その時々の適切な判断を下すことが必要です。
特にお客様に声をかけるタイミングはどんな場合も大切ですが、ポイントは「控えめに」だと思います。
◆商品説明は、「プロ意識」を持ちつつ、優しく、丁寧、明確に
「買う・買わない」かの分かれ目は、商品説明のいかんにかかっていると言っても過言ではありません。高額商品や新製品の場合は特にそうです。
その商品やサービスが持つ、本当の価値を、どれだけ解り易くお客様に伝えられるかのスキルはとても大切です。特に、「限定」「今しかない」「ここだけの」等、特に強調すべき点はしっかり伝えるようにしたいものです。
私は個人的にはデジタルデバイド(高度の情報化に乗り遅れ、情報化機器が使いこなせない)人間です。だから今電気製品を買いに行っても全く解りません。若い店員さんに色々尋ねますが、私のレベルに応じた、解りやすい説明をして下さる方は大変少ないのがとても残念に思います。ほとんどの店がそうです。でも同じようなお客様は実に多く存在します。日本は超高齢社会に陥っていますが、この点から言えばお年寄りに親切でない社会ですね。
どこに行っても痛感します。高齢者に優しい接客・接遇は大きな課題です。
勿論高齢者自身の努力も必要でしょうが・・・
接客に携わる人は、当然その商品のプロです。どんなお客様に対しても、商品のメリット、デメリット、使用方法などを、優しく、丁寧に、解り易く説明できれば良いですね。
売りたいがために、その商品の良いところばかり誇張しがちですが、当然短所もあるはずです。そこのところも解り易く、きちんと伝えるべきですね。
◆「お客様への質問」を積極的に
お客様を見極めることも大切ですが、お客様がどのようなことを望んでいるか、こちらから質問して把握することも大切です。常連のお客さまで、買いたいもの、受けたいサービス、食べたい料理など、予め決めてくる人も有りますが、まれなケースです。大半は、それらに対し漠然としたイメージしか持たれていません。このようなお客様に上手に質問して、お客様の希望にできる限り叶えてあげることが大切です。「どのようなものがお好みですか?」。「ア・ラ・カルト(一品料理)かコース料理か」「魚料理か肉料理か」「飲み物はどうか」「予算はいかほどか」、等の基本的な質問をしたうえで、それにそぐう、プロとしての提案は喜ばれます。
◆「最後のひと押し」も大切
本当は買いたい気持ちがあるけど、いまいち、ためらいのあるお客さんは多いものです。もう一歩踏みけれないお客様に決断を促すのもテクニックです。勿論おし売りは良くないですが・・・
要は「勧め上手」も大切です。買った後の効果、楽しさ、便利さ、安心感などをさりげなく表現することです。積極的に購買意欲をそそって下さい。
◆良好な人間関係作りのお勧め
店の顧客から、「自分のファン」になっていただくことが大切です。ポイントは、お客様の名前を覚えると同時に自分の名前も覚えていただくことです。名刺のやり取りが出来ればなおいいです。次にお客様の好みとか、性格を把握します。来店、お買い上げに対する礼状、さらに「お客様のためになる情報提供」など積極的にして下さい。
そして、自分のファンになって下さったお客様には、さりげない心配りは特に必要です。勿論他のお客様との差別は良くないですが。優越感を持たしてあげるのも一つの手です。
私の場合はお客様との雑談を大切にしました。さらに手書きの年賀状や暑中見舞いは欠かかしたことはないです。お客様への感謝と思いやりの言葉は出来る限り多く書き添えました。誠実な対応に徹することですね。
そして目標は先ず5回来ていただくことです。これはかなり努力を要します。ポイントは小さいことの繰り返しだと思います。
其のお客様が5回来て下されば、次のお客様まで紹介して下さる可能性大です。こうなればしめたものです。