マナーうんちく話2231《幸せを呼ぶ挨拶の心得と作法《和顔愛語 先意承問》
マナーうんちく話48《接客・接遇マナー⑤接客・接遇力は人により磨かれる》
接客・接遇マナー⑤「接客力・接遇力は人により磨かれる」
⑥「もてなしの仕方・され方の法則」
◆接客力は人によって磨かれる
子ども、学生、未婚者と既婚者、高齢者、病人、政治家、財界人、主婦、学者、宗教家、教育者、医療人、ボランティア、外国人などなど、年齢、考え方、立場の違う人に数多く接することで、多様で貴重な経験を積むことができます。
場合によっては緊張したり、不愉快な思いをしたり、思わぬ苦労したりしますが、それらがすべて接客・接遇力を高めてくれます。会話、笑顔、態度、表情、立ち居振る舞いなどなど。マナーも磨かれるし、人間的にも成長します。
とにかく前向きに、色々な人と接することと、回数をこなすことです。
またプライベートで消費者の立場になった時、「賢い消費者」を目指して下さい。「客の立場」として、接客・接遇に携わる人と交流することは大変参考になります。接客・接遇に携わる人は何時も、「お客様に喜んでいただく」ために、「お客様に役に立つ」ために日頃から努力しています。そこには「良いお手本」が沢山凝縮されています。どんどん吸収して下さい。
特に接客力・接遇力を向上させる近道として、ホテルのレストランに一人で行かれることをお勧めします。気軽にランチを食べに行く店ではなく、改まってデートなどで利用する高級レストランがいいです。一人で行くのは確かに気が引けると思います。おどおどしないで堂々と振舞って下さい。精一杯のマナーも発揮して下さい。他のテーブルのお客さんや店内のスタッフの人たちの視線を気にしながら、悠然と食事をされるのをお勧めします。得るものは多いです。
次に単にお客様に接することだけでなく、その前提として「職場での人間関係」はとても大切だということを意識して下さい。
さらに同じ職場仲間としての「横の人間関係」はもちろん、各セクションの上司との「縦の人間関係」、さらに業者等との「斜めの人間関係」は、現場第一線での接客を良好にするために欠かせません。
聖徳太子は17条の憲法で「和を持って貴しとなす」、と説かれました。これは日本における「成文化された最初のマナー」と言われていますが、コミュニケーションの大切さと共に互いに仲良くしなさいということです。チームプレイの大切さを説かれているわけですね。
また吉田松陰は、徹底した現場主義者で、現場で広く人と交わり、敏感に観察し、そして見聞を広げなさいと「飛耳長目」の大切さを説かれています。
現場とは、接客・接遇に携わる一人ひとりです。一人ひとりのお客様です。接客・接遇に携わる人とお客様との一対一の会話です。心を込めた会話の中から、お客様をしっかり見つめ、有益な情報をしっかり吸収しそれを活かすことです。
◆もてなしの仕方・され方の法則を身につけて下さい。
接客・接遇の仕事で最も大切なことは、サービスを「提供する方」と「受ける方」が互いに心と心の交流を図ることです。接客・接遇に携わる人は一生懸命良い接客・接遇をしたいと望んでいます。そのためにはお客さん自身もよいマナーを身につける必要があります。
実はこのことは長年接客・接遇の仕事に携わっている人で有ればお気づきの方も多いと思いますがとても大切なことです。
こんな大切なことに触れている本は少ないですね。
接客・接遇に携わる人は、如何にお客様に喜んでいただけるか、常に気を使います。だったら、お客様は「喜ばされ方を身につけること」が大切です。人生すべてに言えることですが・・・
要は接客・接遇に携わる人は、率先して「賢い消費者(客)」「模範的な消費者(客)」になって頂ければと思います。
具体的には、スーパーで買い物をする時。レジ係りが、お釣りを渡してくれて「ありがとうございます」と言ってくれたら、それに対し「ありがとう」と言える消費者になることです。レストランに行き食事を終えたら、「ご馳走様でした」と言って笑顔でお金が払える客になることです。新幹線に乗って東京に行く時には、姫路辺りで車掌の検札を受けます。車掌はありがとうございましたと言って切符を返してくれます。この時「ありがとうございます」と言って切符を受け取れる客になっていただくということです。
「お客様は神様」だとよく言われます。平松流の解釈ですが、これには
①お金を持って買い物に来て下さってありがとうございますという気持ち。
②神様に接するわけだから真摯な態度で接する。
③客の立場に立っても、神として真摯な態度で振舞うことが大切。
というような意味があるのではと思っています。
2005年「晴れの国おかやま国体」が開催され、大会マスコット「ももっち」がおもてなしに一役買ったのを記憶されている方も多いと思います。当時、県民挙げてのおもてなしをしました。素晴らしいことだと思います。ただこのような場合、いつでも、どこでも同じだと思いますが、もてなしをする側ばかりが神経を使い、もてなしを受ける側のマナーが問われることはほとんどありません。
繰り返しますが、もてなしを、「する側」と「受ける側」に上下関係は有りません。平等です。接客・接遇を「する人」と「される人」も同じです。モノを「売る側」と「買う側」もしかりです。
日本人はこの点に大きな誤解があると思います。
客だったら何をしても良いのでは決してありません。売る側も、不必要にペコペコする必要も卑屈になることも有りません。
「お客様は神様」という意味(平松流)を御理解いただければ嬉しいです。
勿論、お客様あっての接客・接遇です。
このことを意識されたら、あなたの接客・接遇力は飛躍的に向上します。
ほとんどの本には書かれてないことです。
また、女性に接することが多い方。特に「レディーファースト」の仕方・され方もぜひ勉強して下さい。役に立ちます。
レディーファーストとは英語圏における「女性を優先したマナー」のことです。
機会が有ればこのコラム欄でも取り上げたいと思っています。
「男女共同参画社会」が叫ばれるようになり10年以上経過していますが、レディーファーストの理念はなかなか浸透していないようです。
日本は複合文化の国です。聖徳太子や吉田松陰の教えも大切にしつつ、伝統あるヨーロッパ文化の良いところも併せて取り入れたいものです。
益々、接客・接遇の仕事が楽しくなりそうです。