年を重ねて気づいた、人生を少し楽にする考え方
人生を振り返ったとき、「また同じことをしているな」と感じる場面は誰にでもあるものです。人との関係、仕事の選択、心の反応。意識して変えようとしているのに、なぜか同じ流れに戻ってしまう。その背景には、無意識のうちに繰り返している人生のパターン、いわば「脚本」の存在があります。
実はその背景には、私たちが無意識のうちに抱えている「人生の脚本」があります。これは幼い頃の体験や、心に強く残った出来事、時にはトラウマなどを土台にしてつくられたものです。そして本人が気づかないまま、登場人物や状況を変えながら、人生の中で繰り返し再生されていきます。
私自身、若い頃を振り返ると、決して順調な道のりではありませんでした。無理な選択を重ねてしまったこともありますし、今思えば冷や汗の出るような経験もあります。ただ、長く生きてきて一つはっきり分かったことがあります。それは、同じような失敗を何度も繰り返してしまう人がいる一方で、なぜか同じ流れで物事がうまく進む人もいる、という事実です。
違いは能力や運ではなく、自分がどんな脚本を生きているかに気づいているかどうか。ところが厄介なことに、この脚本は自分ではなかなか見えません。だから人生には、ときどき大きな揺さぶりが起こります。大切な人との別れ、仕事の変化、あるいは大きな病気などが、そのきっかけになることもあります。
もっとも、そこまで大きな出来事でなくても構いません。日常の中で、ほんの少し流れを変えるだけでも、脚本に気づく入口は生まれます。例えば、いつも通る道を変えてみる。本屋で目的の棚に直行せず、別のコーナーを眺めてみる。それだけで、視点や感情が少し動き始めます。
人生は一本の直線ではありません。Y字路のように、同じ方向に進んでいるつもりでも、分かれ道での小さな選択によって、その先の景色は大きく変わっていきます。流れそのものを無理に変えなくても、選び方を少し変えるだけで、違う展開が生まれるのです。
こうして自分の流れに気づき、視点を自分に戻していくこと。私はそのプロセスを「再接続」と呼んでいます。過去を否定するのではなく、これまでの脚本を理解した上で、自分の人生をもう一度、自分の視点で観直すこと。たった一つの小さな例外が、新しい流れの入口になるかもしれません。



