インナーゲーム
「有職造花師」という職業があるのをご存知でしょうか。
私は京都に住んでいることもあり、京の伝統文化やそれを継承する職人さんが友人の中に何人かおります。
たいてい一部くらいは体験させてもらえるのですけど、これから紹介する伝統文化のワザは、体験を簡単に行なうには恐れ多いと感じています。
ひな人形を作る人形師は、頭師、髪付師、手足師、着付師からなり、道具では、小道具師、ひな屏風師、ぼんぼり師、造花師と分業しています。中でも造花師の仕事は、現在ではひな人形や五月人形が中心です。
有職造花の技法による桜橘は、御所の左近の桜・右近の橘をモデルとするのが基本とされています。
材料は白絹地、和紙、絹糸、針金、自然木などで、絹地をそれぞれの色に染め分けて和紙で裏打ちして裁ち、それにコテを当てて 花びらや葉の一枚一枚に立体感をつけるそうです。
夏から秋までは気の遠くなるような下ごしらえだが、花や葉の一枚一枚が皆違う表情を持ち、それが全体として気品がある姿を作っているんですね。
日本では平安朝の頃から造り花があり、洋の造花に比べると和の造り花は図案化され抽象的なのが特徴です。そこには日本人独特の美学や自然観があるといいます。
雲上流という有職の技法ついで十三代目になる村岡登志一氏(82歳)は、昭和四年 京都市内に生れる。唯一、有職雲上流造花師の技を継承。後継者はいないが、時代が変わり私の代で終わるのも自然の流れと、村岡氏は語っている(京都職人仕事百科から抜粋)
時代の流れと共に、日本の伝統文化は失われつつあるが、受け継ぐ者がおれば古来の職人の技を伝承することはできるでしょう。しかし、大学を卒業しても仕事がないという若者の中に、時代に逆らい伝統職人を夢見る者がいるでしょうか。
私は、十代に戻れたら伝統文化を受け継ぎたいと考えたことが何度もあります。
【小さな実践】
あなたが伝統文化を継承するとしたら、どのような伝統を受け継ぎたいか