認知症のお袋の昔話

小橋広市

小橋広市

テーマ:認知症介護者の憂鬱

ゴミ箱の書類


お袋がまだデイケアに行っている頃の話。

実家でいらないものを処分をしていたら、普段、使わない部屋のゴミ箱に大切な書類がまるめて捨ててあった。

犯人は認知症のお袋だ。

早速、郵便局で実家に届く全ての郵便物の転送届を出した。「これでお袋宛に届くものは、お袋自身が手に取ることがなくなった」そうと思うと、お袋の生活が変わっていくことへの寂しさと、その一方で安堵感を感じました。

その頃のお袋は、行動したことが一瞬で消える毎日でした。

世界にたった1人で生活しているのなら、記憶がなくなってもどうってことはないだろうが、他人に記憶のダメだしをされる屈辱に、私だったら耐えれないかもしれない。

砂時計

後ろ髪を引かれる


その頃の私は、お袋がデイケアに行った留守に京都に帰っていました。別れが辛いというか、もう一日居ようかとココロが折れる自分が情けなかったからです。

京都の自宅に着いたら、必ずお袋に連絡したいました。お袋は「私の居ない留守に帰ってから!」とご機嫌斜めです。「デイケアは楽しかったか?」と聴くと「あんたが居ないのが悲しい・・・」

その頃のお袋は、デイケアの楽しいことより、私が帰った寂しさばかりボヤいていました。その頃、こんなことを考えていました。「離れて暮らしているから、会える喜びがあり、別れの寂しさがあるかもしれない」

その頃の私たちの親子関係は、互いに一生分、素直だったように思います。



下記に参考になる記事のリンクを貼っておきます。

「認知症のお袋との会話は感情の窓口」
介護のプロがコミュニケーション上手とはいえない

「親ひとり子ひとりの記憶」
息子の顔をいつまで覚えていてくれるだろうか



【小さな実践】
認知症の介護をひとりでやろうとすると互いによい結果にならないということを認知する


 

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