前提トークと返報性の原理でクロージング
今回はコミュニケーションの話。
人間関係って、あらためて考えると、つくづく難しいものだなぁと感じます。うまくいっている時はなんの問題もないのですが、一度、こじれてしまうと永遠の別れもあります。
そもそも、こじれるもとになるのは、自分が考えていることの半分も相手に伝わっていないところにあります。意外だと思うかもしれませんが、これがもとで発生するトラブルが多いのです。
「あっ! そうそう、それなのよ」とお互いに共感していても、話していくうちに微妙なズレに気付くことがあります。親しい間柄なら多少のズレは会話の中で自然に修正できます。しかし、お互いの関係性ができていない状態では腑に落ちないことがあっても、中々聞き返せないですよね。
考えてみると、習慣も価値観も違う人どうしが、完全に一致することなどありませんよね。夫婦や親子ですらズレが生じてます。このようなズレもプライベートなら許されることもビジネスになるとそうもいきません。
例えば、得意先の担当から「急ぎじゃないのでお手隙きの時にやって下さい」などと言われて真に受けているとエライ目にあいます。
私が建築士事務所を開業したばかりの頃の話ですが、お客様とインテリアの打合わせの際「英国風でデザインにしてほしい」と言われ、次の打合わせで英国風のカタログを持って行ったのです。
ところが、お客様から、「イメージがまったく違うし英国を分かってない」と言われました。よくよく聴いてみるとそのお客様はイタリアのロココ調を英国風と思い込んでいたのです。これはお客様の思い込みによって起こったことですが、打合せをしっかりしていればこのようなズレは起こりません。
最近、私はこう思うようにしています。
「人間関係は誤解で始まり、コミュニケーションはそれを微調整する作業である」このように考えておれば、大きな誤解が生じる前に対処ができるはずです。
「目的地が同じでも互いが違う地図を見ていることを再認識すること」これを理解して実践すればミスコミュニケーションを防ぐことができます。ではどのように実践するかというと、コーチングで使う「言い換え」のスキルを使います。
「言い換え」とは、相手が話していることをまとめて「要約」するということです。要約することで、相手はこちらが理解しているかどうか、自分の考えが正確に伝わっているかどうか確認でできます。
大切な打合せなどには、是非、この「要約」を使ってみて下さいね。
【小さな実践】
要約していると、相手が持っている地図が観えてくる
観えた相手の地図で共通言語を作ってみる