認知症の妄想劇場に脇役として入り込む
このところ投稿している記事は、
お袋が認知症と診断された頃の話です。
介護をしている方に
参考になればと思って、
当時の日記をシェアしています。
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3月3日、介護保険認定の面接調査員が来た。
初対面だとお袋が不安だろうから、
以前からお袋と面識がある地域の
社会福祉士の方に同席して頂いて面談した。
お袋は緊張した様子だったが、
調査員の質問に滑らかに答えている。
いつもより、
しっかりした様子でいよいよ質問が
残り少なくなった時、調査員が
「これなら自立可能ですね」
と独り言のように言った。
この面接で自立可能と評価されると、
介護保険が使えず、
全てのケアが10割負担になる。
もちろん、お袋は
そんなことは知る由もなく、
自分がいかに自立できるか
しっかりしているかを主張している。
その時に助け舟を出してくれたのが、
お袋と親交があった社会福祉士の方が
「以前、僕が知っているお母さんの状態
ではないので、もう少し掘り下げて質問をして下さい」
と調査員に言ってくれた。
今回、解ったことは、
本人と身内だけでは調査員は信用
しないということ。
私の独断で第三者を介入させたことが
功を奏したようだ。
いずれにしても介護認定は
結果が出るまで1ヶ月ほどかかるらしい。
翌日、お袋の手元に
現金がないのが不安なので、お袋と一緒に
郵便局に年金を引き出しに行った。
お袋は通帳と現金を見ると安心するようだ。
地域の小さな郵便局なので、局員さんにも
お袋が認知症になったことを
こっそり告げて頼んでおいた。
お袋は、お金が手元にあっても
何度も何度も財布を開けて現金を確認する。
もちろん、通帳も引き出した年金も確認する。
確認ができると笑顔が戻る。
お金をおろした後は、
しばらくこの確認を頻繁にしている。
このままでは、
通帳も現金も失ってしまう恐れがあるので
おろした年金の一部を、封筒で分散し、
普段、お袋が探さないようなところに隠した。
流石に気が咎めたが、
隠し込んで失くすよりはいいだろう。
案の定、また現金を確認している。
しかし、減っていることには気が付かない。
とにかく現金を見れば安心する。
私が今回、帰った目的は5つ。
介護認定の面接
年金の一部を引き出す
現金の分散
過去の明細書類の処分
クリニックの通院。
明細書の処分というのは理由があって、
明細書が彼女の目に入ると、
それが借金の借用書に見えるらしい。
私に電話して、
決まって言うことは、
「あんたは借金ばかりして、
私の年金を使っているだろう」
これを電話で延々と問い詰められるので、
居留守を使うと留守番電話に罵詈雑言を
何十回も入れられるので、
たまったものではない。
今回の帰省で、
5ツのことができたので少し落ち着いたが、
介護認定が決定するまでは週一くらいの
ペースで帰った方が良さそうだ。
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この頃は、
お袋の言動や行動を
細かく観察していました。
例えば、
私が言ったどの言葉に
反応し不安になるのか
お袋の行動の意図するところは何か
それで分かったことは、
「お金」、「借金」、「独り」、「夜」、
「近所」、「薬」などの言葉に反応し、
それに基づいて行動していました。
行動と言っても、
私から観ると不可解だが、
お袋自身には確かな理由が
あったのでしょう。
この観察は、
それなりの成果があったので、
お袋の行動パターンやキーワードの
言葉を一つでも多く収集して
反応を検証し、電話した際には
それらの言葉を使わないようにしていました。
ここで解ったのは、
お袋がこれまで持っていた不安をウラ返すと
そこに観えたのは彼女の誇りと価値観でした。
【小さな実践】
あなたの不安や恐怖を書き出し
そのウラ側にある価値観を見つけてみる