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  1. 『インフォームドコンセント』を、患者の家族の立場から考える≪医療接遇の必要性≫
谷澤優花

人を敬う心“接遇”を伝えるビジネスマナーのプロ

谷澤優花(たにざわゆうか) / マナー講師

谷澤優花

コラム

『インフォームドコンセント』を、患者の家族の立場から考える≪医療接遇の必要性≫

2019年2月24日 公開 / 2020年1月9日更新

テーマ:患者の心をつかむ!医療接遇マナー

コラムカテゴリ:ビジネス

高齢化社会となり患者対応だけでなく、家族対応まで求められる時代

高齢化社会となり、医療機関や医療現場において、「医療接遇」、「医療人としてのマナー」を身に付けて日々の業務に活かす事の重要性が増したと言えます。それはなぜなら、患者対応だけでなく、患者の家族との関わりもこれまで以上に増え、その重みもますます大きくなったからです。意思疎通が難しい、または意思疎通が出来ない患者も増えて、家族に判断を委ねたり、これまでの患者の意思・意向がどうであったかを伺う場面に直面することもあるでしょう。意思決定が求められる「インフォームドコンセント」では、患者自身に意思決定能力が乏しい場合、患者の家族に説明し同意(家族の場合は合意が適切)を求めることになります。患者の家族からすると、(患者である)家族へのこれからの治療の方針を決定するという、重要な責任を背負うことになるのです。自らの体ではないからこその、決定に至るまでの判断の難しさ・不安・気持ちの揺れが、患者の家族を悩ませます。
インフォームドコンセントは、単に病名や病状とそれに伴う治療の説明をし、同意書にサインや印鑑をもらうことではありません。ですが多くの医療機関や医療現場で、患者数の増加、高齢患者を含め多様化する患者への対応、高度化する医療技術の中で業務範囲の追加事項も増え、医療従事者それぞれが抱える業務の負担が大きくなっている現状があります。そのため、病名が判明し医師や担当部署で治療の方向性が定まった時には、その一連の方針や治療の流れを止めることなく、説明と同意がスムーズに行われるよう、医療者側が患者本人や患者の家族に促しているのが実状です。つまり医療者側優位の、「組織としての原理・原則を滞りなく進めるための『インフォームドコンセント』」になっていると言えるのです。

自身の経験から同意・承諾に至るまでの家族の現実…

実際に、家族の容体やその重篤性から、医師の判断を信じ医療従事者が迅速に伝える説明を聞きながら、緊急を要する判断が求められた場面で署名した、私自身の経験もあります。患者である私の家族はその時、判断や意思決定できる状況になく、私が流れのままサインをしないと、その処置にかかれないという現実が目の前にあり、判断よりもチェック項目に印を入れて、サインをすることにしか考えが及んでおらず、この処置をした場合どのような副作用が出るか、希にどういった症状が併発するかの説明もありましたが…、実際にはその判断の材料に考えを巡らす時間も余地もなかったように思います。私の場合は医療者側から言われるがまま・流れのままに説明から同意に至りましたが、その時の医師の判断を信じて承諾し、家族が回復に至ったという良い結果であった為、病院や医師、医療従事者の方全てに対し、尊敬の念と感謝の気持ちで、この判断に間違いはなかったと思い返せるのですが…、自分がこのように医療接遇に携わり、様々な医療機関や病院で医療者の方々と接しいていく上で、その判断が「良い結果につながってよかった…」と、つくづく振り返り安堵しています。それは、インフォームドコンセントで患者や患者の家族側から同意を得られていても、必ずしも良い結果に結びつくばかりではなのが、医療の現場だからです。その難しさに加え、医師や医療従事者側からすると、何をするにも、一つ一つの治療に際し、説明と同意が必要なことが労力を費やす原因になっており、いかに円滑に承諾を得られるかがカギとなっていることは、いう間でもありません。

老夫婦と若い女性自然の中

患者や家族に納得してもらう為に必要な、コミュニケーション手段

インフォームドコンセントは、医療の現場においてますますその重みが増しています。なぜなら、前述にもあるように高齢化社会の中で、意思決定に乏しい患者も増えていること。そして、医療が高度化し、患者やその家族の選択肢も増えていること。そしてインフォームドコンセントを伝える側の、医療者の業務範囲が広がり負担が大きくなっていること(看護だけではなく、介護も鑑みて病院の造りや医療スタッフの業務を考慮)などが挙げられます。そのような中で、いかに円滑に患者やご家族からの同意・承諾を得られるようにするか…は、医療者誰もがコミュニケーション力を向上させておくことが必須と言えます。私が駆け付けた時に緊急治療室で、医師の判断と治療方針を信じ同意に至ったように、目の前の医療者・医療従事者に対して「この方なら任せられる。お願い出来る。」といった、信頼関係がなければ、どんなに時間をかけて説明しても、丁寧に分かりやすく示しても、同意・承諾には結びつかないことでしょう。信頼関係とは、目の前の人の立ち居振る舞いや言動をみた上で、これから起こる未来に期待して信じる行為と意味づけられています。どんなに素晴らしい医療機器や技術があっても、これまでの経歴が輝かしい医師が担当であっても、患者や患者の家族の目に映る医師や医療従事者の言動が、説明の言葉に頼りなさが感じられ、看護師が事務的に対応し、医師と看護師の関係性が険悪だと感じられる雰囲気では、同意・承諾には至りません。インフォームドコンセントは、医療側の同意を求める過程ではなく、人権と倫理に基づく患者と患者の家族との『決定のプロセス』であると思います。患者本人であれば「自己決定」、患者の家族であれば「代諾の決定」が、それぞれの未来を変えていくのです。医療者は、円滑に同意に促すのが仕事ではなく、納得の上で患者本人が自己決定できるように、十分な説明で家族が最善の代諾できるように支え、導くことが重要であると考えます。では、どのように患者や患者の家族との信頼関係を結ぶ為に、医療者側が意識し改善すればよいのでしょうか…?そこに必要であるのが、医療接遇・医療人が身に付けるマナーなのです。信頼に結びつく医療従事者の第一印象はどうあるべきか?言葉かけ一つとっても、丁寧過ぎると患者との距離感が生まれます。それでいて患者への敬意を払った会話とはどのようにするべきか?インフォームドコンセントを行う場面で、相手に選択肢を持たせる話し方はどうすればよいのか?
➢患者に信頼される「言葉づかい、敬語」
➢患者の目線で考える、医師・看護師に対する信頼とは
医療接遇の研修を通して、これまで機会あるごとに学んできた内容を振り返り、時には「この対応でいいんだ…」と安心し、まだ身についていなかった知識や応対技術は身に付け実践し、またある時には医療を目指した初心を思い出し、新たな気持ちで患者やその家族と向き合うきっかけとなるのが、「医療接遇」「医療マナー」の講演や研修です。インフォームドコンセントだけでなく、医療行為の全てが、患者や患者の家族との「信頼関係」なくして、行えません。患者の目線や立場と、接遇の専門的面を合わせて実施される研修や講演。皆様の医療機関・医療現場でも取り入れてみては、いかがでしょうか?
➢医療接遇研修プラン
➢医療接遇・医療人に必要なマナー≪実施例 九州大学での講演≫

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