教師・講師として保護者からの信頼を得る、態度と話し方のポイント
良い印象を残す「あとよし言葉」とは?
あまり日常的には聞きなれない「あとよし言葉」、みなさんご存知でしょうか?
「後良し言葉」とは、1つの文章の中に良い情報と悪い情報を一緒に話す際に、最初に悪い情報、後に良い情報を話すことで、相手に与える心証を良くするという会話のテクニックです。教師や塾の講師・家庭教師である皆さんは、生徒の成績や学習態度を保護者とお話しする際に、必ずといっていいほどこの対極した内容をお伝えする場面があるでしょう…。
例えば、
①授業態度は本当に熱心なのですが、今回のテストの点は芳しく(かんばしく)ないですね。
②今回のテストの点は芳しく(かんばしく)ないのですが、授業態度は本当に熱心なんですよ。
この①と②の会話文。皆さんならどちらの言い方であれば、印象が良いですか?
人によっても善し悪しの受け止め方は違うでしょうが、一般的に受け入れられやすく、印象が良いとされるのは②の答えです。後良し言葉とは、伝えにくいことを先に言って、最後は良いことで締めくくるという会話のテクニックなのです。文末に良いことを伝えることで、聞いている相手にはマイナスイメージではなく「ブラスのイメージ」が頭に残ります。
生徒を持つ保護者の立場からすると、今は成績が良くなかったとしても、子どもにとって明るい未来が想像できる内容を教師や講師から言われる方が、前向きに取り組めることでしょう。そういった教師や講師の心遣いが、保護者による家庭学習のサポートや、生徒への温かい眼差しと声掛けに繋がります。
「後良し言葉」は、相手に対して思いやりがあるからこそできる、会話テクニックと言えるでしょう。
講師にぴったりの「あとよし言葉」の使い方
後良し言葉は、教師・講師の人には、うってつけの言葉です。
とくに、一番気を遣わなければならない相手である保護者にはとても有効です。
後良し言葉を使うときは、注意したい・指摘したいという気持ちよりも、相手を褒めたいという気持ちを前面に出して話すことをおすすめします。
「こんなに素敵なところを持っている!」「こんなに良いところがある!」だからこそ、指摘したところが「惜しい!」というような気持ちで伝えると、保護者だって嫌な気持ちになりませんよね。保護者は当然、講師よりも自分の子供の良いところを、いくつも知っています。そういった部分を講師にも褒められたら、保護者も共感して身を乗り出して聴くことでしょう。
そして何より、講師だけでなく保護者も、その「惜しい」ところが何かを知ろうとして、子供の足りない部分や問題を解決をしていきたいと考えるはずです。
保護者が共感できる子供の良いところは何なのか、そして保護者も知らないであろう塾での様子や成長ぶりを伝えることで、講師が指摘したことも素直に受け入れてくれるでしょう。
若い指導者に多い、思いつきの言葉足しには、気を付ける!
後良し言葉の良さをご理解して頂けたなら、ぜひ日頃の皆さんの会話を振り返ってみて下さい。ついつい、後良し言葉とは逆の、後味の悪い言葉かけになっていませんか?
SNSの普及により「会話が単語だけ」「思いつくままに」という伝達の仕方で、日々のコミュニケーションをとる若い方が増えました。そういった方々は、文末までしっかりと話すことが、とても苦手です。
もし、皆さんが学習塾に入るかどうか悩んでいる時に、その塾の講師から次のように言われたなら、どんな気持ちになりますか?
「お子さんの成績アップのチャンスですから、ぜひ入塾した方がいいですよ。
(保護者が悩んでいる様子を察して)
まぁ、確かに入学金や授業料といった面で、高額にはなりますが・・・」
きっと保護者の口からは、「そうなのよー。考えていたより高いし、これがすぐに結果に表れるかどうかも分からないし…。それに兄弟もいるから、この子にだけお金を掛けるのも、どうかと悩むわぁ…。」と、金銭的なことに意識が向いてしまうことでしょう。
では、次のように保護者に話してみたらどうでしょうか?
「確かに入学金や授業料といった面でのご負担になりますが…、お子さんの成績アップのチャンスですから、入塾をお勧めします!」
と、伝えたなら…。
「そうねー。後々先延ばしにしても、子どもの成長や成績にとっては良くないから、親子で思い立った今が、スタートかもしれないわねー。」
と、金銭的な面も考慮にいれつつ、学習に対して意識が向き、生徒のことを中心に入塾を考えることが出来るでしょう…。
このように文末までしっかりと話すことや、言葉選びと伝え方一つで、生徒と保護者の意識は、変えられるのです。
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