労働基準法改正:有給休暇を年間5日消化させることが義務に!:残業代60時間超えから5割増に!

影山正伸

影山正伸

テーマ:労働基準法

政府は、今通常国会において下記内容の労働基準法改正案を出す予定です。
重要度の高い順に・・・
1.来年(2016年)4月から社員に年間5日の有休消化を義務付けること
2.2019年4月から月間の残業が60時間を超える場合、5割増しの賃金支払いを義務付けること
3.高度専門職に対し、1075万円以上の年収であれば、労働時間規制を撤廃(残業代を払わなくて良い)いわゆるホワイトカラーエグゼンプションの導入 
4.裁量労働制の拡充(営業職:ただし、金融やITといった業種で、単に既製品を販売するのではなく、顧客のニーズを個別に聞いて商品を開発、販売する「提案型営業」や品質管理業務にも対象を広げる)
5.フレックスタイム制の拡充(1か月単位で無く3か月単位で働く時間を調整できるようにする)

労働基準法改正の側面

3~5は、労働規制の緩和ですが、その緩和をするため1と2では、長時間労働にならないよう労働規制の強化ということが言えます。労働規制の緩和に関して、特に3については、1075万円以上の専門職に対しては残業代を払わなくても無くても良くなると言っても、対象者は中小企業では皆無です。よって、中小企業においては、1と2の労働規制の強化の方が強く影響を受けてしまいそうです。1の有給休暇については、自身で2日を消化しているならば、あと3日で良いのですが、いずれにしろ、社員に対して有給休暇が5日以上発生します。従業員の多い事業所においては、調整が難しくなるでしょう。3の月間残業時間が60時間を超えると現在2割5分増しの賃金が5割増しにしなければならなくなります。特に長時間労働になりがちな運送業やサービス業においては大きな影響が出るでしょう。

生産性の向上を図らなければならない!

対策とすれば、なんと言っても生産性の向上を図ることです。長時間労働による精神疾患の増加、ワークライフバランスの実現等、社会的な要請も高まっており、今回の労働基準法改正もやむを得ない部分もあるでしょう。今回の改正によって、人件費ばかりが上がってしまう、という懸念もるかと思われますが、職務の見直しにより無駄な時間・仕事のカットを行い、労働生産性を上げていくしかないでしょう。

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影山正伸
専門家

影山正伸(社会保険労務士)

影山社会保険労務士事務所

手続業務、給与計算はもちろん、労働基準監督署労災課、監督課での実務経験を活かし、従業員とのトラブル解決、労務管理の諸問題の相談・指導に特に強く、また、賃金体系・人事評価制度の整備にも詳しい。

影山正伸プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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