- お電話での
お問い合わせ - 047-393-6220
コラム
妊娠・出産で、合意無い降格は無効:最高裁判断
2014年10月28日
広島市の病院で勤務する理学療法士の女性が、妊娠が分かり、勤務先の病院で軽い業務の部署への異動を希望したところ、管理職の副主任を外され、その後育児休業を取得し復帰後も後輩が副主任になっていたため役職の復帰がなく、「マタニティーハラスメント」として、違法であると訴えていました。1審、2審では、これを「病院側は女性の同意を得た上で事業主としての必要性に基づいて、裁量権の範囲内で行っていた」として、女性の訴えを退けていましたが、今回、最高裁で差し戻され、「降格が認められるには、事業主の適切な説明と本人の十分な理解が必要。本人自身の意思に基づく合意か、業務上の必要性について特段の事情がある場合以外は、違法で無効」との判断がなされました。
企業にとっては厳しい判断
男女雇用機会均等法では、確かに「妊娠や出産を理由にした不利益な取り扱いをしてはならない」とされていますが、今回の場合、女性から軽易な作業の部署への異動を求めたことも有り、1審、2審では合意があったと判断されました。企業とすれば、妊娠→出産→育児休業という長期の休業をどう穴埋めするか、頭を悩ます問題です。本人は休んでも、仕事は待ってくれません。今回の場合、事業を円滑に行うため、後輩を副主任にした事情もあるでしょう。だから、1審、2審では違法性無しと判断をされたのです。大手企業は、穴埋めは十分出来ますし、今回の判断に対する対応も今後、大丈夫でしょう。しかし、中小企業にとっては、厳しい判断であったと思います。いずれにしろ、今回の判断がなされましたので今後、職場復帰までの1年強の期間、①現場での責任者を置かずに運営が出来るか、②管理職ではなくあくまで代理として後輩を置いておくか、③とりあえず期間限定の契約社員を置くか…、いろいろ考えなければなりません。
逆に、妊娠、出産しそうな女性ははなから雇わない、などと入り口で不利益にならないか、懸念を感じてもしまいます。
関連するコラム
- マタハラで是正指導840事業所:対策は大丈夫ですか? 2017-06-25
- マタハラで初めての事業所名公表 2015-09-07
- マタハラ防止策が無いと企業求人を受理しなくなります。(H29.1.1以降) 2016-11-07
- 最近注目されるマタハラ、その対策は? 2015-04-20
コラムのテーマ一覧
- 育児・介護休業法
- 人手不足
- 社会保険労務士
- 年金
- 雇用保険
- プライバシーマーク(Pマーク)
- 同一労働同一賃金
- 影山社労士事務所
- 女性活躍社会
- 社会保険労務士個人情報保護事務所
- マイナンバー
- 有期雇用特別措置法
- 給与計算(代行)(アウトソーシング)
- 労働問題
- マタハラ
- パートタイム労働法
- 失業手当
- 年金事務所の調査
- 社会保険(健康・厚生年金)未加入問題
- 解雇
- 国民年金
- 人事制度、評価制度
- ワークライフバランス
- 退職金
- 労働相談 あっせん
- 遺族年金
- 賞与
- 限定正社員
- 健康保険
- 育児休業
- 雇用の規制緩和
- 是正勧告
- 懲戒処分
- 非正規雇用
- 出向
- 労働基準監督署
- 採用選考
- 派遣労働者
- セクハラ・パワハラ・マタハラ
- 労災
- 就業規則、作成・変更
- 失業率・就職率
- 労働力調査
- 春闘
- 労働安全衛生法
- 労働組合
- 労働基準法
- 水中写真
- マイカー通勤
- 生活保護
- 障害者雇用
- 厚生年金
- メンタルヘルス
- 社会保険
- 残業問題
- 助成金
- 高齢者雇用
- リストラ
- 最低賃金
カテゴリから記事を探す
影山正伸プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。